香落の下手は、早仕掛け定跡が基本です。
この場合には、上手は半囲いとか、片美濃とかがやっとです。
本美濃囲いまで囲えれば、上手は成功と見る場合もあります。
こんな状態で、上手穴熊囲いは普通は考えにくいのですが、下手との
駆け引きで成立する事があります。
具体的には、下手に早仕掛けをさせない。
下手にも玉の囲いの手を指させる。
等です。
下手が我が道を行くなり、割り切って囲い競争をすれば、上手に
メリットはないのですが、下手が迷うと上手のチャンスになります。
上手の1二飛型はそのひとつですが、他にもいくつかあります。
5三銀型中飛車は、下手の端攻めより中央が早いと言う主張です。
下手は、端攻めをせずに中央を固めました。
その結果、上手穴熊が出来たのですが、流石に駒が偏り過ぎています。
それ故に下手が、1−3筋攻撃をしても焦土的な対応になりました。
こうなっては、下手の「と金攻め」が間に合うので、普通は楽勝です。
しかし、色々と紛らわしい事をするのが上手です。
駒の差し違えは、その損得やその後の展開を読む事が複雑になります。
本局は、下手が駒交換の結果の判断を間違ったようです。
上手の2枚飛の攻めが非常に早く、一気に形勢が逆転から上手勝利に
なりました。
上手穴熊は、駒が偏るので平手では膠着状態になりやすいとされています。
香落では、端に傷があるので、そこを攻めれば手詰まりにはなりません。
あくまでも、下手に対する上手の陽動作戦的な面が多いと思います。
逆に、上手は囲った後で直ぐに動ける形が必要でしょう。