香落>相振飛車:1

香落>相振飛車:1

香落は、下手がいかに香のない所を利用するかにあります。
もし、香のない事を無視すると後手と同じになり、もし大駒交換から桂香を
とりあう展開になると香がない方が有利になります。
従って、香落は下手が何の戦略もないと、かえって香がない事が有利になります。

下手は如何に、香がない事を利用するか。
上手は如何に、香の有無が関係ない展開に持ち込むのかが重要になります。

上手にも幾つかの対策はありますが、それは他の棋譜に譲ります。

下手の戦略としては、
1:居飛車で直接に上手の香のない端を攻める。
2:相振飛車で香のない側に玉を囲う。
3:その他
となります。

戦略は進歩しますから、3:は多様になります。

香落>相振飛車:1


香落の、下手振飛車はほとんどが「相振飛車」になります。

本局は、まだ下手・上手共に「金無双」の囲いです。
それは昔の定跡でしたが、20世紀後半から21世紀初めにかけて、この
囲いは限定的な使用になっています。

金無双囲いは、壁銀という悪形です。
理論的にも良い囲いとは言えません。
ただし、囲いの手数が短いという長所もあります。

本局は、端が絡まない展開です。これは、下手の失敗例です。

金無双の囲いは、横からの飛の攻めに弱いです。
本局は飛角が飛び交う展開です。この展開では、金無双囲いは弱いです。
従って、中盤以降は上手のペースになっています。

上手の囲いもすぐに、弱体しましたが、7一銀と壁銀を解消して広くなりました。
しかし、下手の3七銀以降の柔軟な囲いを崩しても相手を押さえ込む戦略は、その
後の進歩の感覚に近いです。

相振飛車では、端に欠点があるがそれ以外が堅い囲いが向いています。
下手の戦略は、そちらに向いて行きます。