香落の上手独特の構えが不自然と思う人は、下手の引き角からの
端攻めを考えていないと思えます。
上手が無警戒だと、自然に破れます
3五歩として、角道を止めるとか、1二飛とするか、早くに5筋を争点
にしてしまうか。
あるいは、囲いに工夫して端を焦土化するかでしょう。
本局は穴熊にして、下手の玉頭に反撃ねらいですが、冷静に見ると
やはり苦しいそうです。
下手はどこで行くか、平凡に応じられた時に馬が出来るが、と金等の
小駒の成り駒が出来ないので、攻めの方針がどうするかです。
上手はひたすらの捌きが目標ですが、仕掛けが早いと駒の出方が
遅れているので、現実は難しいです。
下手、上手共に、明確な方針と速度計算が難しい事になりました。
下手は、囲いと守備の方針が曖昧になりやすいです。
上手は、使える駒の少なさを如何にカバーするかが課題です。
2次駒組になると、下手の方が指したい手が多いです。
上手の端の焦土戦術から、飛の単騎出動で進みました。
下手は、じっくり2次駒組で固める方針もありました。
本譜は飛先の歩を突いたり、持ち駒で7筋を受けたりしては
上手を切らす方針でしょう。
ただ、玉形があまり良くなく、最後の4三角を見落とし攻めが
繋がりました。
下手の引き角からの端攻めは、玉の囲いとの兼ね合いで、仕掛け
時期が難しいようです。
それと、その後の飛の活用と、と金造りの目処の問題があります。
結局、上手の7筋の攻めを切らす方針になりましたが、7筋の
守備が元々弱いために、水が漏れました。
ただ、上手はいやな仕掛けで、原則はもう少し攻めを遅らせます。
本局は、穴熊囲いでの焦土化作戦ですが、成功とはいえないでしょう。
上手の方が実戦で勝ちやすい、形で戦ったのが結果に繋がった
ようです。