香落>上手1二飛:2+穴熊

香落>上手1二飛:2+穴熊

香落は、下手に急戦の選択権があります。
上手は、端の香がない事から急戦を封じる決定的な対策はありません。
しかし、下手が急戦に持ち込み難い形はあります。
そのひとつが、とりあえず端攻めを回避する、上手1二飛戦法です。
木村十四世名人の著書にも見られる、昔からの指し方です。
戦前のプロ間でも駒落が多く指されていた時は、かなり指されていたようです。
特に関西の棋士の採用率は高く思えます。実戦的でしょう。

下手の対応法は、
1:かまわず急戦で攻める。
2:上手からのすぐの攻撃がないので順急戦模様にする、具体的には
  3筋を飛で攻めるのが有効とされています。
3:最終的には、手得になり、上手の左翼の発展性が少ないので、下手
  の玉を固めてから勝負を狙う。

1:と3:は、上手の戦略に真っ向から対抗するもので、香落レベルでは成功も期待できます
が、上手とすればそれで負ければ仕方がないという事が言えます。

実は、上手が一番いやな、下手の戦略は2:なのです。
上手が三間飛車以外は、下手からの3筋の歩の交換から攻撃態勢を作るのはほとんどの
場合有効です。上手は、4三に金か銀が固定されますので作戦負けの危険性があるのです。

問題は、角交換からの捌きあいです。実はこれの対応が一番の勝負ところです。

上手の1二飛形は角交換が不利になりやすく、手損で飛の位置を変えるか
大胆な捌きにでるか、苦しい選択になります。

香落>上手1二飛:2+穴熊


下手は、上手の1二飛に対して、3筋攻撃の順急戦にでました。
上手は、決戦を狙って玉を穴熊に囲い、大捌きを狙う戦略です。

下手は、3筋の歩の交換後に角交換から2筋を破りました。
下手の成功です。

上手は、自陣を見ずに攻め合いに出ましたが、ここで下手がミスが出て、
ノーガードで攻め合いました。これは、上手穴熊が生きる展開です。

下手の中盤での、より丁寧な受けが要求される結果になりました。
上手の指し方はいかにも実戦的ですが、下手の3筋の歩交換は有効でした。