角落の定跡としては、「下手・三間飛車」「下手・中飛車」「下手・矢倉」が有名です。
その中でも「下手矢倉」は現代では、本定跡とも言えます。
昔は、下手三間飛車が本定跡と呼ばれましたが、下手としては消極的で
上手に待たれると、手詰まりになりがちです。
その結果、現在ではより積極的な「矢倉」「中飛車」が中心になっています。
いずれにしても、角の差は大きいので下手定跡としては問題はないのですが
上手が裏定跡で、下手の攻めを外してきた時に、下手から攻撃しやすい積極性
の強い戦法が広がっています。
下手矢倉は、
・下手が玉を囲う事を、上手は妨害しにくい。
・上手の玉が、下手の飛車先の防ぎで固定されやすい。
・下手の布陣が外の駒落ちや、平手に応用が出来る。
・守りの駒と、攻めの駒が分かりやすい。
・定跡が普及している。
等のメリットがあります。
上手は、定跡としては居飛車・右四間飛車・その他となるでしょう。
本局は、典型的な下手の失敗局です。
通常は下手は、6八玉>7八玉>8八玉の早囲いです。
上手の攻撃力の少ない角落ちでは問題なく囲えます。
本局は、それをせずに囲いを進めてその上に囲いが終わる前に仕掛けました。
これは上手の思う壺でした。
下手玉が囲っていないと角落ちの差でも難しいです。
上手が右四間飛車で対抗する形も多いです。
これは下手の隙を狙っています。現実は飛銀桂の攻めで無理ですが、下手が8筋を
受けて、次に8八歩を受けるという弱気な形では流石に勝てません。
その不利な形のままで、2六角からの攻撃態勢を目指しましたが流石に反撃されて
玉の囲いが弱いままに攻め合いになっては、上手のペースです。
角落ちでは、玉の囲い・攻めの体勢の順で組んで行く事が大切です。
また、あまりに上手を怖がると流石に作戦負けになります。