角落は作戦の幅が広い。
下手の３手目６六歩は、争点になるか大きな位になるかを上手にゆ
だねました。
上手は争点にせずに、向飛車を選び、また下手の選択です。
下手はあまり凝らずに、シンプルに相振飛車を選びました。
上手は、対居飛車風に指して、そこでは玉は中住まい的になるが、
左に囲うというやや変則的です。
バランスを取るのが角落ちの基本ですが、全く異なる駒組になり
ました。
そして、その結果は下手が簡略な囲いを選び、攻撃重視の判断を
した事で、上手の囲いの欠陥が大きく表に出ました。
これ程の上手の駒組まけは珍しいです。
角落ちの性格、相振飛車の性格のどちらとも反した上手の駒組
は大きな欠陥がありました。
相振飛車を選ぶと、玉の場所は右が普通です。
上手は、４四銀・５三銀・４三金・３二玉の駒組です。
全て左辺で、下手の攻撃陣を守るのは７二金だけでした。
この形で、下手が囲いを簡略にして、上手の右辺を攻めると単純に
数で破れます。
その結果、上手の守りは異様になりました。
５三銀が７一に、４四銀が６二へ、２一飛が６一へ守りに戻り
ました。
ついに３二玉が、４二に戻ると一体何をしていたのか？。
あまりの好転に下手は、勝ちを急いでしまいました。
指し手では、２七銀から２六飛が早い反撃で、逆転しましたが
正確には、下手の攻め急ぎと切れ筋が理由です。
上手の駒組ミスと、下手の攻め急ぎというミスの多い内容になり
ましたが、序盤に生じた上手の隙を攻めたサンプルと言えます。