飛落での、古くから飛落の本定跡と言われてきた「右四間飛車・腰掛銀」ですが
急戦を目的としては指導将棋・定跡研究用と言えるでしょう。
上手からの攻撃が難しいのが「飛落」であり、「角落」からは上手からの仕掛けも
手段はあります。
飛落で、上手からの攻撃がないのであれば、下手はじっくり要所を押さえて、次第に
玉を固めて最善形を目指すという考え方が生まれてきます。
そのひとつが、「右四間飛車・腰掛銀」から3七桂を跳ねずに(傷を作らない)で
6五歩の位を取る指し方です。
この位を、取る事が出来れば下手は、自由に充分に堅く囲いを行い、上手は玉周囲
(7筋)方面は駒を働かす事が出来ません。
上手は、3筋方面に位を取る事は出来ますが、双方の玉から遠く下手の位と比べて
働きが弱いです。
飛落以下では、上手の玉は多くは、角の交換から打ち込みを自ら防いでいます。
従って7筋を放棄すると、下手から角交換を狙われます。
下手が6筋と7筋の位を取り充分に囲いました。
上手には勝てる要素のない状態になりました。
事実、実戦譜でも7二金と打ったあとで、6二金と取りゆっくり指せば完勝でした。
実戦は、9五歩からの攻め合いが強引で、しかもその後の上手の玉を入玉に
誘い込む攻撃が無謀で、命からがら入玉に逃げ込み持将棋になりました。
最後は、厳密には上手の勝ちでしょう。
指導将棋では、このような流れでは上手は無理に勝たない面もあります。
上手が序盤で、6五歩の位を許さない指し方が問題ですが、それは双方共に
怖い局面でひとつのテーマです。
本局の様に完全に組んでしまえば、下手が有利です。