けものみち

「けものみち」と作者について


松本清張は、説明するまでもない社会派ミステリやドキュメント
等の人気作家です。
作品数は膨大で、かなりの数の作品が映像化されています。

ただし、全ての作品の網羅ではなく、人気作は繰り返し映像化
されています。

「けものみち」も代表作ですが、映画1回、テレビドラマで
3回映像化されています。

貧しい生活と、負担の夫から逃げようとするヒロイン・
それを利用して何かを企む男・
経済界・政治界等で力を持つ老人・
老人を取り巻く権力を狙う者・
ヒロインの夫殺しを執念深く追う刑事(ただその本音は多様に
 描かれる)
老人の元妾で屋敷の取りまとめ女・
殺し屋・
・・・・・

原作と映像の違いという面では、本作は変えられる部分が多数
あり、特に後半は原作と4映像で変わります。

終わり方というか、誰が死ぬのか、誰が生き残るのかという
計画犯罪ならそもそも決まっている筈の構想部が変わります。

それが可能な話しととらえるべきなのでしょうか。

ヒロインというからは、表向きの主人公ですが、本当の主人公
誰かが、結末と連携する筈ですが、それがはっきりしない。

ただ、どの終わり方でも、本当の主人公は同じ人物だろうとは
思います。
生きるか、勝ち残るかは、関係ないでしょう。

ヒロインは、物語の視点であるので、真相が見えては困ります。
話しの中心であっても、本当の主人公ではなり得ないです。

ミステリ的には、久恒刑事が中心となってもおかしくないが、
現実は物語の1ピースというのが、無難な見方です。

台本について

題名:「けものみち」
     ドラマ・決定稿 1991

題名:「けものみち」
     ドラマ 1991
      使用稿??

原作:松本清張「けものみち」

脚本・中島丈博
監督:深町幸男

登場人物:

成沢民子:十朱幸代
鬼頭洪太:大滝秀治
小滝英正:草刈正雄
久恒幾三:河原崎長一郎
正木米子:江波杏子
秦野繁武:名古屋章
成沢寛次:森本レオ
捜査1課長:谷村昌彦
黒谷卓:高品剛
香川:山崎満
岡橋:根上忠
女中キヌ:山脇登美子
女中美代子:上原恵子
小滝秘書:新里和美
檜原映子:沢綾子
他


ドラマ「けものみち」について


映像化を並べます。
映画:1965年:150分
監督:須川栄三
脚本:白坂依志夫・須川栄三
成沢民子:池内淳子
小滝章二郎:池部良
鬼頭洪太:小沢栄太郎
久恒義三:小林桂樹
秦野重武:伊藤雄之助

テレビドラマ
1982年版:210分
演出:和田勉
脚本:ジェームス三木
成沢民子:名取裕子
小滝章二郎:山崎努
鬼頭洪太:西村晃
久恒義夫:伊東四朗
秦野重武:永井智雄

1991年版:100分
演出:深町幸男
脚本:中島丈博
成沢民子:十朱幸代
小滝英正:草刈正雄
鬼頭洪太:大滝秀治
久恒幾三:河原崎長一郎
秦野繁武:名古屋章

2006年版:445分
演出:藤田明二・松田秀知・福本義人
脚本:寺田敏雄
成沢民子:米倉涼子
小滝章二郎:佐藤浩市
鬼頭洪太:平幹二朗:
久恒春樹:仲村トオル

役名が違うと言う人には、大した問題でないと答えますが、
映像時間が異なるのは大きな差に繋がります。
特に長きなると、原作や他のものと離れた所へ進まざるを得
ません。
サスペンスと見れば、終わり方や誰が死んで誰が生き残るかは
大きな問題ではないです。
誰が計画して何を狙っていたかです。
ヒロインについては、何を夢見ていたになります。

原作を含めて同じにはならない。
取りあげた台本作(1991年版)はかなり原作に近い方です。
主題が描かれているかは、多分どれも該当するでしょうし、
影の主役も、ヒロインの夢も同じと見れるでしょう。
ならば、サスペンスの後半・結末は映像的な好み・テクニック
かと思います。

原作がある場合はそれも考慮します

色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります

ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます