「てのひらの闇」について
テレビ東京系放送のいわゆる「2時間サスペンス」作品です。 原作は、2007年に死去した藤原伊織です。 ミステリの分類上は、ハードボイルドになるのかもしれません。 具体的な内容的には、複数の要素が入った作品で特定のジャンルに 分類できないと思います。 藤原伊織は、純文学系の賞でデビューした後に、江戸川乱歩賞と 直木賞を「テロリストのパラソル」でダブル受賞した事で有名です。 作品は、兼業時代も専業時代も寡作です。 「てのひらの闇」は、過去と現在を結ぶ謎をつなぐ大作で、2時間 でドラマ化できる簡単な内容ではありません。 従って、原作に忠実に・・とは出来ない内容です。 原作が長編の時は、原作の内容を削る必要があり、逆に原作が短編の 時は脚本で肉つけする必要があります。 ようするに、原作とは異なる内容になることは仕方のない事なのです。
台本について
私が保有している台本は、決定稿でキャスト名もほとんどが記入 されています。 かなり傷んでいるものの、書き込み等はありません。 1冊で、コマーシャルを含めたタイムテーブルもついています。 題名「てのひらの闇 女と愛のミステリー」 放送「テレビ東京 日時不明」 制作「東北新社クリエイツ」 脚本「宮川一郎」 主なキャスト 堀江雅之: 館ひろし 石崎博久: 渡瀬恒彦 加賀美順子:涼風真世 佐伯貴恵: 麻生祐未 大原真理: 櫻井淳子 原作と同様に、過去と現在とを含む度々の場面転換が行われています。 小説では長くても、映像では短い表現が可能という事で非常に短い カットに別れています。 とにかく、原作をおおきく削るしかないので、梗概的な内容にまで アレンジされています。その中では、最低必要な所を使用しています。 細部が異なるのは、いうまでもありません。
原作・ドラマについて
映像化されたものは見ていません。台本から見るかぎり、 人物が突然あらわれたり、場面の切り替えが多いので、 映像的やフロップ的な工夫がされていたのではないかと思います。 原作は、堀江の1人称ですが映像では堀江の行動から事件の背景が 浮かぶように脚本されています。 そして、その対象も石崎と順子にほぼ絞りこまれています。 原作を削って、時間内の脚本を作るテクニックと思います。
原作がある場合はそれも考慮します
色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります
ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます