狂った計算

「狂った計算」について

東野圭吾作品に登場する、加賀恭一郎はデビュー当時の「卒業」
から学生で登場しました。
刑事になった第1作「眠りの森」を代表に、いくつかの作品に、
飛び飛びにかつ継続的に登場しています。

近作の「新参者」「赤い指」等のテレビドラマ化で、急に有名になり
ました。
従って、それ以前は、キャラクターとして必ずしも描かれていません。

短編集「嘘をもうひとつだけ」は、2000年刊行で5作からなります。
「嘘をもうひとつだけ」「冷たい灼熱」「第二の希望」「狂った計算」
「友の助言」です。

本短編を、2時間サスペンスに映像化したのが、「狂った計算〜
灼熱のニュータウン殺人事件 マーガレットはどこに消えた?
同時刻に起きた事件に挑む熟練刑事 乱れた夫婦愛の誤算」です。

映像では、近松丙吉刑事を主人公にした、多摩南署シリーズの1作
となっています。

多く映像化されたシリーズですが、所有している台本は、準備稿で、
(仮題)になっており、題名が異なる原作名になっています。

2011年では、加賀恭一郎作品として映像化していたでしょうが
時間の経過を感じます。

台本について

題名:「多摩南署スニーカー老刑事
     冷たい灼熱2(仮題)」:台本:準備稿
   2002年
原作:「嘘をひとつだけ」:東野圭吾
脚本:西村タカシ
演出:?

となっています。「2(仮題)」の意味が深長です。

実はこの前年に、「冷えた灼熱」が同じシリーズで映像化されて
います。
その続編いう意味なのか、紛らわしい事になっています。

映像化題名「狂った計算〜灼熱のニュータウン殺人事件 
       マーガレットはどこに消えた?同時刻に
       起きた事件に挑む熟練刑事 
       乱れた夫婦愛の誤算」
演出:西本淳一
です。

以下、脚本内容です。
主なキャスト
近松丙吉・多摩南著主任刑事:伊東四郎
坂上奈央子:細川直美
近松春子:市毛良枝
村越 実・多摩南署捜査1係長:角野卓造
山形 治・警視庁捜査1課管理官:三浦浩一
中川一夫・多摩南署刑事:八嶋智人

ドラマ「多摩南署スニーカー老刑事シリーズ」について

キャラクターは、2時間サスペンスでは、定番なっている刑事像です。
ノンキャリアで、長い期間のたたき上げの老刑事です。
署長や、キャリア組には評判が悪い。
捜査は、感が頼りの所があり、刑事課の方向としばしば対立します。
少数の理解者がおり、ひとりまたは少ない人数で捜査します。
いわゆる掟破りのはみだし刑事です。
何となく、この種が多く、日本人好みなのでしょう。

しかし、2010年近くから次第に刑事のタイプが変わって来ていると
感じています。
加賀恭一郎は、もっと昔から登場していますが、知的で論理的です。
最近の刑事にはこのタイプが増えています。

原作が短編ですから、登場人物を変えても、舞台を変えても充分に
描ききれる時間はあります。

小説は、有る程度、枚数にテーマを合わします。
ドラマ等は、放映時間に内容を合わします。
結局、長編原作は削られる事になります。

短編の原作は、丁寧に全てを描く事が可能です。

映像と原作の違いは、何を削るか、加えるかの結果の差になります。

しかし、紛らわしい台本でした。
準備稿とは、このような面もあると知りました。

原作がある場合はそれも考慮します

色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります

ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます