「完全なる飼育・秘密の地下室」について
松田美智子 原作の「完全なる飼育」シリーズは第1作単体 から、映画化で続編という形で増殖しました。 したがって、原作は第1作のみとされていますが第4作になる 本作も、原作があります。 原作の有無に関わらず、いわゆる異常心理・性癖を主題にした ものは、ジャンルをまたがって昔から多いです。 時代が現代になると、小道具や社会現象をストーリーに持ち込む 事になりますが、人間自体が大きく変わる訳でないです。 ただ、暴力や権力が絡むと昔の特に戦前を思わせ、自由奔放な 生き方として描くと現代風です。 特に女性側の描き方に変化が現れがちです。 古典から純文学・官能小説やアウトローそしてサスペンス・ ミステリへと描き方は多様です。 本作品は小説的には、ドキュメンタリー風の文体で官能と異常 心理とをミステリ的な手法で描いています。
台本について
題名:「完全なる飼育・秘密の地下室」 :2003年 原作:松田美智子 脚本:我妻正義 演出:水谷俊之 キャスト タケル(岡部芳彦):山本太郎 高山梨里:しらたひさこ 三杉隆子:加藤治子 ヒトシ:松山ケンイチ サラリーマン風の男:小宮骼 田代伸治:鈴木拓也 小林俊夫:和田聰 ヒトシの連れた女:湯浅奈央 大島春菜:しらたひさこ(2役) 正村:竹中直人
映画「完全なる飼育・秘密の地下室」について
この映画シリーズは、実際はドキュメンタリーを元に書かれた 第1作の原作小説「女子高校生誘拐飼育事件」の映像化である 「完全なる飼育」の「監禁された女子高生と犯人の間に愛が 芽生える」というプロットの翻案した再映画化が主体で、 各作品間にはストーリー上の連続はない。 しかも、映画は飼育女優と一時いわれた主演女優のヌードや 濡れ場が興行の売りという、官能映画ともいえる物に変わって いる。 逆に、主演女優の選考が話題になった節があり、本作も主演 女優としてはその流れで、「しらたひさこ」が選ばれた様です。 ただし、本作は映画的には異色作といわれ、物語の中心は 共演者の山本太郎とその母親役?の加藤治子の関係であって 「しらたひさこ」はダブル主演か助演的です。 しかも、他の作品と比べて性的シーンも少ない。 理由は、原作がありそれが映画の概略ストーリーになっていて 他のシリーズ作が狙った部分が少なく、原作とうりの異常心理や それが明らかになる過程をサスペンス的に次第に明らかになる 過程を多く描いているからです。 それでも、原作よりはシンプル化のために登場人物も、ストーリー もかなり省かれています。 ただ、極端に変えられなかった事で異色となりました。 題名から、そもそも飼育女優の事と思ったのが実は違うという所 が見所となっています。 官能映画のシリーズの中に隠された、サスペンスドラマとも 言うべきでしょう。 「木は森に隠せ」の一例とは言い過ぎでしょうか。
原作がある場合はそれも考慮します
色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります
ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます