湯布院殺人事件

「湯布院殺人事件」について

原作者の「内田康夫」は、浅見光彦や複数の探偵役を駆使する、作家
です。

本作は、JRの1989年からの「フルムーン・キャンペーン」のタイアップ
作品として原作が書かれました。
主人公の夫妻の、キャンペーン・キャラクターの二谷英明・白川由美
を起用してテレビドラマ化されました。
シリーズ化されて、9話まで制作された様ですが、一部しか見た記憶
はありません。

内田康夫の原作本は2作のみで、3作目からはオリジナル台本に
なりました。
この事情については、複数の(内田康夫を含めて)理由が述べられて
いますが、微妙に内容が異なり真相は、ここでは不明とします。

キャンペーン>主人公>トラベル>という流れで出来たものです。

オリジナル台本になってから、主人公の名前と職業が少し変わり
ました。
また、シリーズの終わりころに、キャンペーンキャラクターが変わる
と、ドラマの主人公俳優も変わりました。
いかにも、何が主体か判ります。

その後、2002/10に、別の俳優で再ドラマ化されています。
ほぼ原作通りです。

そしてまた、2010/11に「渡瀬恒彦・名取裕子」で3度目のドラマ化が
おこなわれました。

私が映像を見たのは、最初のシリーズの一部です。
そして、保有台本は、2度目のドラマ化のものです。

比較という意味では、困った食い違いです。

台本について

題名:「湯布院殺人事件」:台本:決定稿
   2002/10
原作:「湯布院殺人事件」:内田康夫
脚本:岡本 克己
演出:松島 稔
主なキャスト
和泉直人:橋爪 功
和泉麻子:いしだあゆみ
梨春香:宮本真希
竹西夏美:高瀬春奈
高梨竜太郎:鈴木瑞穂
宇田川 :犬塚 弘
谷口  :萩原流行
山内  :モロ師岡
田中  :西田 健

ドラマ「湯布院殺人事件」について

フルムーンカップルが主人公で、かつ全国対応のトラベルミステリ
という設定の要求があります。

法学部教授で、教え子が全国の警察・検察・弁護士等で仕事している
という設定は、いかにも全国トラベルミステリ的です。
しかも退官した後となりますとより自由になります。
この設定は、年齢・職業・知人・事件への絡みを含めて、非常に
目的にあった、優れたものです。
原作者の、うまさが発揮されています。

気が向いた所に、夫妻で旅行する事も、教え子から招かれる事も
ありますが、どちらもミステリに組み込み易いです。

浅見光彦シリーズの、ルポライターの兄が警察庁のトップという
設定と同じような、使い方が可能であり、内容的にもその様に
なっています。
好奇心の強い、うるさい老人と思って扱うと、その地方に赴任
していた、警察・検察等のトップが教え子で登場するパターン
です。
日本人好みというか、ドラマ向きという設定です。

素人としての事件への絡みも、警察等の組織の情報も入るのですから
そこそこ複雑な内容でも、シンプルに表現する事も可能です。
トラベルキャンペーンが目的ですから、舞台の紹介も必要です。
設定のうまさで、ドラマではその比率が自由に作れるメリットも
無視できません。

なお、主人公夫妻の性格もなかなか面白いのですが、原作とドラマ
それも、個別に異なる事は、普通の事で比較しても仕方ないです。

原作がある場合はそれも考慮します

色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります

ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます