剣客商売・冬木立

「剣客商売・冬木立」について

池波正太郎は多くの作品を残していますが、なかでも
「鬼平犯科帳」「梅安針供養」「剣客商売」はシリーズ化されて
長く人気があります。

剣客商売は、江戸中期に老剣豪「秋山小兵衛」と息子「大治カ」
と歳の離れた女房「おはる」そして、老中・田沼意次の娘の
「佐々木三冬」のちに「大治カ」と結婚等が事件で活躍します。

小説は、ほとんどが短編で長く書き継がれてきました。
「大治カ」と「三冬」の結婚や子供「小太郎」の誕生と進みます。

作品集16冊と、2冊の番外長編が書かれています。

ドラマ化は3回です。
1973年に山形勲・加藤剛主演版(22作)
1983年には中村又五郎主演版(2作)
1998年からは藤田まこと主演版(6シリーズ・47作+5作)
で、一般には最後のシリーズが圧倒的に有名です。
ただ、6シリーズというのは、テレビのクールの関係で評判が
よいので、次のシリーズが作られるという性格です。
その為に原作とドラマで食い違いが生まれます。

台本について

私が保有している台本は決定稿の「剣客商売・冬木立」です。

題名:「剣客商売・冬木立」:2001年第3シリーズ6話放映
原作「剣客商売九・第6話:冬木立」池波正太郎
脚本:中村努
演出:井上昭

主なキャスト
秋山小兵衛:藤田まこと
佐々木三冬:大路恵美
おはる  :小林綾子
不二楼・おもと:梶芽衣子
四谷の弥七:三浦浩一
長次   :木村元
傘屋の徳治郎:山内としお
おみね  :佐藤恵利
ナレーション:橋爪功

小説「剣客商売」とドラマ「剣客商売・冬木立」について

テレビドラマの企画は通常、最近は1/4クール(10話前後)で
企画されます。その評判で続編・シリーズ化となります。
昔は、1/2クールの20話プラスでした。
従って、最初はシリーズ化の構想は無かったと思えます。
それは、キャストや作品の選択を見れば推察出来ます。
主役3名のキャストは以下です。
第1(10話)−2(11話)シリーズ
「小兵衛」:藤田まこと・「大治カ」:渡部篤郎・「三冬」大路恵美
第3(5話)シリーズ
「小兵衛」:藤田まこと・「三冬」大路恵美 >「大治カ」未登場
第4(11話)−5(10話)シリーズ・スペシャル
「小兵衛」:藤田まこと・「大治カ」:山口馬木也・「三冬」寺島しのぶ

撮影当時では、大路恵美の三冬は美少女剣士的なイメージです。
渡部篤郎の大治カは小柄でしっかりした性格つけです。
なぜ第3シリーズで登場しないのかは、スケジュールの都合でしょうか
とにかく、第3シリーズは大治カが登場しなくて良い作品を集めた
異色シリーズで、5話と短いです。

大治カと三冬が結婚して、やがて子供が生まれるのは、第4シリーズ
からです。恋と妻と母を演じるキャスティングで、寺島しのぶに変わり、
大柄な寺島しのぶとの絡みから山口馬木也のキャストが決まったと
思います。

従って、第3シリーズまでと、第4シリーズ以降は主役2人のイメージ
が異なり、それぞれにファンがいます。
作品としての作りからは、これで良いと思います。

所で、「冬木立」は「剣客商売九」に収録している様に大治カと三冬が
結婚した後の話が原作です。ただし、三冬の登場も少なく小兵衛ひとりの
活躍の話とも言えます。
従って、結婚以前で大治カが登場しない第3シリーズにドラマ化されたと
思います。

原作がある場合はそれも考慮します

色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります

ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます