「ネタ元」について
松本清張賞は、設立以後対象作品の範囲は変わっていますが、 既に定着した感のある新人賞です。 新人賞の知名度は、受賞者のその後の活躍によって影響するとも、 言われています。 その意味では、受賞者の一人の横山秀夫の活躍は大きいと言えます。 横山秀夫は、同時に作品の映像化率の高い事でも知られています。 地方新聞記者出身の経験を生かした、作品群は新しい分野と見る 事も可能なものです。 一つは、警察組織内の各種事件や競争であり、一つは新聞記者の リアルでかつ過酷な記事集めや特ダネ競争です。 警察官への夜討ち・朝駆けや、情報提供者の話なども、かなり新鮮 です。 情報提供者は新聞記者個人が持つ情報源であり、同僚にも秘密 らしい。 それを「ネタ元」と呼び、すなわち本作品のテーマです。 作者は、幾つかの長編も有名ですが、短編の名手としても知ら れています。 その短編が、一話の映像化がかなり多いです。 本作もそのひとつですが、2時間ドラマ枠なので原作のままでは ありません。
台本について
題名:「ネタ元」 :決定稿(仮題) 2005年5月 原作:「ネタ元」:作品集「動機」より:横山秀夫 脚本:西村タカシ 演出:中山史郎 キャスト 水島真知子・信濃日報新聞記者:沢口靖子 佐伯美佐江・長野地裁刑事部庶務:あめくみちこ 宇佐美利勝・長野県警刑事部長:田山涼成 草壁静三・東京毎朝新聞記者:岡田浩揮 東田直也・信濃日報社会部キャップ:飯田基祐 矢崎慶太・信濃日報記者:長谷川朝晴 進藤明敏・信濃日報社会部デスク:内藤剛志
ドラマ「ネタ元」について
本作は、連作では無くて独立した短編で作られた短編集のなかの 1作です。 原作から、登場人物名は同じですが、舞台の地名は仮名から、 実在の地名に変わっています。 また、登場する警察も地名に合わせていますし、複数登場する 新聞名は全て、変えられています。 それが、何を意味するかは俄には判りませんが、映像のロケに は、実在の地名が作り易いのかも知れません。 一方、ストーリーはたぶん量的に、短編は1時間物向きなので しょう。 2時間ドラマにする為に、大幅に加えられています。 何よりも、わずかにしか触れられなかった過去の事件が、発端 となり半分程度を占めます。 原作にかなり忠実に作られている後半の現在の事件も、かなり 変更せざるを得なくなっています。 地方弱小新聞社の競争、大手の支局との絡み、男職場に入った 女性の思い、そして特ダネ争いと特オチ(1社だけがネタを逃す )競争、東京という中央との対照、そしてネタ元の謎という 多数のテーマが、日々の事件の背景に流れます。
原作がある場合はそれも考慮します
色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります
ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます