「OUT」と作者について
桐野夏生は、ジュニア小説やコミック原作を複数の別名義 で書いていました。 作家が多数のジャンルで書いている事は珍しくないですが、 その当時の作品は、桐野夏生で江戸川乱歩賞を「顔に降り かかる雨」で受賞後に、逆に知られたと言えます。 個人的にもそこそこ古書店で購入したが、まともに読んで いないのが実状です。 江戸川乱歩賞は、ミステリーの公募賞であり、ハードボイルド スタイルで私立探偵・で、 新しい分野にデビューしました。 数年はこのシリーズと、女子プロレスラー・神取忍をモデル にした小説を発表していました。 その中で、ノンキャラクターの犯罪小説を書いたのが、「OUT」 です、そして日本推理作家協会賞受賞し、テレビドラマと映画で 映像化されました。 作品のスタイルが犯罪小説であり、複数のキャラクターを描く 事から、映像化で大きな変更が加えられている事は、しばしば ある事です。 この約2年後に、「柔らかな頬」で直木賞を受賞し、完全に 狭いミステリーから、エンターテイメントへと変わりました。 直後に会った、名古屋でのインタビュー会で、「柔らかな頬」 当初は村野ミロが主人公のミステリで書いたが成功せず、書き 直し、最後に犯人の名を書かないという編集者の提案を受けた と述べています。 理由は、犯人の名を書かない名を書かない事で得る事は多いが 書く事で得るものは少ないとの事です。 地の文がなく、だれかの視点で書かれており、芥川龍之介の 「藪の中」と同じでミステリー的には逆に、成立せずに得る 事は無いです。 それを受け入れた事は、本作「OUT」で既に犯罪小説に分野を 広げた事と、作品全体を謎解きミステリーから大きく舵を切る 事に躊躇が無かったと考えます。 結果的にミステリーは乱歩賞は知名度を上げ、その後の広い テーマの作品群で、独自の世界を広げて行きました。 逆に振り返ると、「OUT」という作品の意味の大きさが後に 振り返ると判ります。 現在は、狭いミステリー作家とは呼ばず、広いエンターテイ メント作家ですし、ジャンル分けするのがふさわしくない とも言えます。
台本について
題名:「OUT」 映画・準備稿 2001 原作:桐野夏生「OUT」 脚本・鄭義信 監督:平山秀幸 登場人物: 香取雅子:原田美枝子 城之内邦子:室井滋 吾妻ヨシエ:倍賞美津子 山本弥生:西田尚美 十文字彬: 佐竹光義:間寛平 山本健司: 香取良樹: 香取伸樹: 吾妻千代子: 広瀬正一: 衣笠警部補: 杉本巡査部長: 寺沢巡査部長: 金田敬徳: 他
映画「OUT」について
境遇や家庭の異なる者が、深夜の弁当工場に集まり、アルバイト をしています。 それぞれの家庭に問題を抱えているが、広い世間の様でも実は 頼る者もいなく、同じ職場で働く者が集まり、行動する事も 有り得る状況になります。 その中の1人が起こした殺人がきっかけで、死体遺棄を皆で、 行うが、脅迫者があらわれ、ヤクザに介入され・・・。。 どんどん深みにはまって行きます、そして結末へと進みます。 細部は、あるいは大きな部分も原作に従ってとも言えないですが 原作の雰囲気と個人の事情と問題が、仲間になるきっかけとか 骨格はそのまま存在しています。 このタイプの作品は、終わり方がいくつも考えられるし、何が。 良いとも言えません。 しかも、パッピイエンドという言葉が曖昧です。 一体どうなれば、パッピイで、どうなれば悲劇的なのか。 最初の方で、結末をきっちりまとめるのがミステリであり、 犯罪小説では決まった終わり方はなく、結論がない曖昧さも ありえる事と、似た内容を書きました。 本作も結末も、そしてそれ以降も読者・視聴者は終わりかも しれませんが、登場人物の幾人かは将来の予測は不可能です。 区切りも結末も、終わりもない世界・話しの一部を切り取った ものが犯罪小説・映像なのでしょう。
原作がある場合はそれも考慮します
色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります
ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます