猪苗代湖殺人事件

「猪苗代湖殺人事件」について

津村秀介は、多数のアリバイ崩しを中心にした、「トラベルミステリ」
と呼ばれるジャンルの作品を多く書きました。
その品質は高く、特に時刻表ものでは第1人者と言える作家で、早くの
死去は惜しまれます。

殆どの作品は、フリールポライターの浦上伸介を主人公とします。
雑誌「週刊広場」のフリールポライターであり、編集長の細波等の
ディスカッションも多く登場します。
後期の作品には、アルバイトの女学生・前野美保がアシスタントに
なります。

全国紙「毎朝日報」の横浜の谷田実憲と、その全国組織と協力します。
谷田は、神奈川県警の淡路警部と知り合いという設定です。

役割を割り当てる事で、主人公の不自然な全国旅行の回数を
減らしています。

浦上伸介シリーズは、フジテレビの「弁護士・高林鮎子シリーズ」と
テレビ東京の「事件記者・浦上伸介シリーズ」でドラマ化されて
いますが登場人物はどちらも殆ど変えられています。

後者はストーリーも、かなり変えられています。

ミステリ的には、トリックをかなり再現している「弁護士・
高林鮎子シリーズ」に注目が高いです。

小説「猪苗代湖殺人事件」は前野美保登場以前の作品です。
上記登場人物以外では、「毎朝日報」郡山支局とそこの
新米記者・小川みゆきが登場して浦上のアシスタント役をします。

台本について

私が保有している台本は、テレビ東京の「事件記者・
浦上伸介シリーズ」の1作です。
決定稿です。

題名「事件記者 浦上伸介パート6 
        会津・猪苗代湖ー赤べこ殺人事件ー」
原作「猪苗代湖殺人事件」津村秀介
脚本:橋本以蔵
演出:伊藤寿浩

主なキャスト
浦上伸介:高島政伸
深井裕子:遠野凪子
結城麻衣:黒坂真美
深井康也:神保悟志
黒江貢:乃木涼介
管生芳樹:遠山俊也
西田耕介:西川忠志
三島耀司:萩原流行
曽根実:曽根悠多
梅崎理美:宮脇理恵子
大内まこと:大石吾郎
長野真紀子:伊佐山ひろ子
小宮俊吉:大出俊
岸田百合子:柏木由紀子
細波元編集長:蟹江敬三

「ドラマ:会津・猪苗代湖ー赤べこ殺人事件ー」について

原作はありますが、ミステリ的にはほとんど原作が残っていない
脚本です。
登場人物しかり、事件の詳細・展開しかり・トリックしかりです。
トラベルミステリではなく、「トラベル」+「サスペンス」+「
社会派?」的な内容です。

何故に、あらゆる事を変える必要があったのかは、全く不明です。
ドラマは、オリジナル脚本といってもよいでしょう。

細部の違いを検討すると、いわゆるネタばらしになりますので
省略しますが、不思議な脚本です。

あえて言えば、犯罪の動機の面を再構成して表現したかったの
ではないかと推察します。

原作がある場合はそれも考慮します

色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります

ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます