「座頭市千両首」と「座頭市」について
「座頭市」シリーズは、勝新太郎主演だけで２６作作られた 日本映画の代表的なシリーズのひとつです。 知らない人は少ないが、どれを見たかは覚えていない人は多いと 思います。実は私もその一人です。 台本には「原作・子母沢寬」と明記されていますが、原作は無い との噂もありました。 2002年に縄田一男編の「時代小説英雄列伝・座頭市」が出版されて 詳細に説明されています。 本書によれば、原作は「子母沢寬・座頭市物語」で原稿用紙15枚 程度の短編で、座頭市という人物のイメージの一部が書かれています。 第一作の「座頭市」の脚本も上記本に掲載されており、シリーズの ひとつのスタイルが出来ています。 そののち、作品を重ねるうちに、別の脚本・監督等でよりアクション 的なスタイルも同時に作りだされています。 「座頭市千両首」はシリーズ第６作で、アクション性の高い代表作 のひとつと上記本では、書かれています。 歴史上の人物を次々と登場させて、それらと座頭市を絡ませるのが ストーリーとしてのスタイルで、第一作で作られました。 第２作以後は、きっかけ等で過去の作品の出来事を利用するスタイル があり、また新しい登場人物もあります。 従って、ストーリー的には全てオリジナル脚本です。 同時に主人公の詳細設定も、第１作の脚本が原作的になっています。
台本について
私が保有している台本は「座頭市千両首」と上記本に掲載の 第１作の「座頭市」になります。 題名：「座頭市千両首」：台本 原作：「座頭市物語」：子母沢寬 脚本：浅井昭三郎・太田昭和 演出：池広一夫 主なキャスト（台本にはキャストは空白です） 座頭市： （勝新太郎） 国定忠治： （島田正吾） 仙場十四郎： （若山富三郎） 女馬子お千代： お吟： 紋次： 題名：「座頭市」 原作：「座頭市物語」：子母沢寬 脚本：犬塚稔 監督：三隅研次 主なキャスト 座頭市：勝新太郎 平手造酒：天知茂 飯岡助五郎：柳永二郎 笹川繁蔵：島田竜三 おたね：万里昌代
映画「座頭市シリーズ」について
第１作の、飯岡と笹川の抗争に座頭市が巻き込まれ、そこで 相手側の助っ人として平手造酒と出会います。 座頭市と平手造酒の出会いややりとりが、作品の中心にあります。 しかし、飯岡と笹川の抗争に双方が巻き込まれてゆきます。 同時に、その中で多数の死者がでます。 「切らなくても良い者を切ってしまった」という事で、座頭市 がそれらの人物の関係者や、地元等に行くと新たに抗争に巻き込 まれるのが、２作目以降のストーリーの主体となります。 無駄に殺したくない・居合い切りの腕は見世物ではないが、以降 の口癖あるいは決めせりふとなります。 第６作の「座頭市千両首」も、座頭市が第１作の抗争で殺した 人物の地元を訪れて偶然に、座頭市を仇と思う妹の馬子と出会う 所から、話は展開してゆきます。 ゲスト？は国定忠治が登場します。 鎖鎌や居合いで、銅銭を切るシーンや、吊り橋で囲まれて相手を 切った後で、吊り橋を切り落としてそれに掴まって逃れるシーン 等、色々なアクションシーンが登場します。 特徴的な主人公の誕生の履歴は、それ自体がドラマ性があり 代表的な英雄になっていったのでしょう。 本シリーズでは、脚本家の力が大きいでしょう。
原作がある場合はそれも考慮します
色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります
ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます