相克:警視庁失踪課・高城賢吾

「相克:警視庁失踪課・高城賢吾」について

原作者の「堂場瞬一」は、スポーツ小説と警察小説という異なる
ジャンルの小説を書き続けている現在注目の作家です。

警察小説の分野では、やや眺めの長編で特徴的な主人公と、警察組織
を駆使してシリーズ作を増やしつつあります。
完結した代表シリーズとしては、「刑事・鳴沢了 シリーズ」があり
ます。

「警視庁失踪課・高城賢吾」は、上記に続くシリーズです。
実は、2009年から始まったばかりで、2010年春にドラマ化
された時には、まだ3長編が発表された所です。
その後2作出版されて、まもなく第6作が2011年に出る予定です。

市民からの失踪人捜査依頼に対応する形で設けられたという架空の
「失踪課」が舞台です。
市民からの要望に対応する姿勢を見せるのが目的で、警視庁内では、
お荷物とも仕事をしない集まりとも言われていました。
主に、失踪人の受付とデータ管理・調査が仕事でしたが、「三方面
分室」の室長で上昇志向の「阿比留真弓」が実捜査も行うために、
捜査担当として加入させたのが「高城賢吾」と「明神愛美」です。

高城は離婚して、娘を失踪した状態で8年過ごし、再度捜査に戻り
ました。
「明神」は、庁内のトラブルで本庁への移動が人事のやりくりから
はじかれて失踪課にまわされました。

「阿比留」「醍醐」「法月」「森田」「六条」「小杉」がメンバーです。

スポーツ系の「醍醐」、心臓が弱い「法月」、ひきこもりがちな
「森田」、自分本位の「六条」と厄介な布陣です。
ハードボイルドは失踪から始まるといいますが、この警察小説も
同様に失踪から事件は始まります、しかし展開はこれにとどまりません。

台本について

題名:「警視庁失踪人捜査課・case5」:台本:決定稿
   2010
原作:「相克:警視庁失踪課・高城賢吾」:堂場瞬一
脚本:北澤 寛
演出:七高 剛
主なキャスト
高城賢吾:沢村一樹
醍醐 塁:北村有起哉
森田純一:黄田川将也
明神愛美:森カンナ
三浦真人:遠藤憲一
小杉公子:高畠淳子
法月大智:小日向文世

里田直紀:鶴見辰吾
田村  :坂田聖
中野あずさ:江口ともみ
塾の先生:若林秀俊

映画「相克:警視庁失踪課・高城賢吾」について

2時間ドラマでも足りない内容の長編が原作です。
とうてい1時間枠の1回完結では無理があります。
同時に原作数が、1クールの回数に不足しています。
必然的にオリジナル脚本が必要になります。

結果的には、4作の原作は全て使用されましたが、時間の短縮の
ためにストーリーも展開も犯人も解決も、異なる事になりました。

また原作の多岐の人間関係や組織の問題は、ほとんど省かれています。
ややこしい課長は登場せず、女室長は陣頭指揮の三浦室長に変更です。
存在感の薄い六条も登場せず、森田は役割が変わっています。
警察小説特有の、地味な捜査は、ニュースキャスター等の報道で
大幅に略す手法です。

失踪課の設定を使いたかったのですが、原作は1時間では無理です。
オリジナル脚本になりますが、設定部分のみは原作もあるものは使う
という姿勢です。

ドラマのシリーズでは、純オリジナル脚本に大きなミスが目立ち
失敗作が多くありました。
原作があるものは、それは緩和されていますが、原作よりは時間の
関係で薄味になってしまいました。

一般の刑事ドラマとすれば、脚本の出来が悪い欠点が目立ちます。
設定や展開はまずまずだけに、残念です。

原作がある場合はそれも考慮します

色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります

ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます