時計の針がナイフに変わるとき

「時計の針がナイフに変わるとき」について

笹沢佐保は、膨大な数の作品を書いています。
長編だけでも、300作とも言われています。

ジャンルは幅広く、ミステリーでも本格からサスペンス・アクシ
ョンと幅広く、それらの混合の幅広いエンターティメント作家
とも言えます。

ドラマでは、時代物の「木枯らし紋次郎」が有名ですが、ミステ
リー分野でもドラマ向きの原作になる物は多いでしょう。

「時計の針がナイフに変わるとき」は、1987年の長編です。
表面的には、誘拐テーマに思えますが、実は誘拐ミステリー特有
の身代金受け渡しがありません。
従って、誘拐テーマのミステリーではありません。

題名から、時間がナイフのような凶器になるといういう意味です
ので、いわゆる「タイムリミット・サスペンス」テーマです。
同時に、子供の誘拐により、それを助ける為に素人が警察の協力
なしに短いリミットで、真犯人を捕らえる必要があります。

必然的な素人探偵の巻き込まれ型です。
同時に過去の犯罪を、後で解決するタイプのミステリーでドラマ
も小説も、過去のフラッシュバックが多く登場します。
実は暗号テーマでもあります。

台本について

題名:「時計の針がナイフにかわるとき」
    :決定稿(仮題) 1992年

サスペンスドラマ特有の長いタイトルもあります。
「48時間の恐怖 〜時計の針がナイフにかわるとき、親子の絆が
引き裂かれる! 長野・菅平 無実を信じて走る女に迫る
タイムリミット〜」

原作:「時計の針がナイフに変わるとき」:笹沢佐保
脚本:佐伯俊道
演出:山本邦雄

台本1:青表紙
キャスト
笹森真知子・夏八木千里の妹:池上季実子
八重樫紅代・八重樫孝司の妻:中島宏海
井筒杏子:渡辺典子
井筒裕一郎・杏子の夫:堀内正美
坂口隆・市ヶ谷署刑事:浜博文
雨宮祐子・井筒杏子の母:谷口香
片桐・大洋テレビ ディレクター:河野洋一郎
河合・大洋スポーツ 編集:森下哲夫
田所奈穂子:早川絵美
夏八木千里・夏八木の妻:須部浩美
後藤誠二・警視庁1課警部:田山涼成
夏八木鉄人・大洋テレビ 報道部:益岡徹

台本2:茶色表紙
キャスト
笹森真知子・夏八木千里の妹:池上季実子
八重樫紅代:中島宏海
八重樫孝司・紅代の夫:宇梶剛士
井筒杏子:渡辺典子
井筒裕一郎・杏子の夫:堀内正美
坂口隆・市ヶ谷署刑事:浜博文
雨宮祐子・井筒杏子の母:谷口香
田所奈穂子:早川絵美
後藤誠二・警視庁1課警部:田山涼成
夏八木鉄人・大洋テレビ 報道部:益岡徹

ドラマ「時計の針がナイフにかわるとき」について

サスペンスドラマは、どれが題名か判らない長いものが多いです。
台本は、(仮題)となります。

個人的には、台本は準備稿・予定稿・決定稿のどれかを、普段は
目にしています。
本台本では、個人的に始めて、2種類の「決定稿」に出会い
ました。
キャストの埋まり方が微妙に異なります。
内容の細部が追加・削除されて、少し短いカットが異なります。

一番異なるのは、犯人逮捕後のエンディング部の場所が異なり
ます。
それなら、どちらが本当の決定稿かは判る筈ですが、小説・
ドラマ・台本を同時に読む・見る訳でないので、よほどの大きな
差異でないと憶えていないのが現実です。

エンディング部が、東京か信州上田なのかは、台本を読んだ
時点で忘れています。
ましてや、1カットの追加や台詞1行の差異は、判らないです。

とにかく、「決定稿」はドラマで変更はあっても、台本の最終稿
と思っていたのは間違いと気づきました。

最後の犯人逮捕を誘拐犯に知らせるリミット時間が間に合うかの
サスペンスは、小説よりは映像が向いている事も感じます。
過去のカットバックは、年齢の変化が見えない小説が圧倒的に
有利です。
改めて、笹沢佐保のエンターティメントを感じます。

原作がある場合はそれも考慮します

色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります

ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます