「沈まぬ太陽」について
山崎豊子氏の死去は、2013年の文学界の大きなニュースです。 小説は数か長さか密度か?。 社会派モデル小説の、フィクション小説の評価は?。 そして、その影響は?。 実名小説ではないが、モデルが存在する背景に、フィクションを 重ねて小説化する手法は、ひとつの社会派小説モデルだと言えます。 作品によって、モデルの明確さは異なりますが、「沈まぬ太陽」は 実名小説に近いインパクトがあります。 山崎豊子は、作品数は膨大では無いが、1作事の密度・ボリューム は膨大で、通常小説の数倍から10倍の大きさがあります。 連続テレビドラマには向いていますが、映画は長さ的に映像化 が困難だと言えます。 「沈まぬ太陽」も現在発売されている、文庫版で5分冊です。 中身は、第1部が2巻、第2部が1巻、第3部が2巻です。 日本の国策航空会社が舞台で、労働組合の幹部仲間が、袂を 判り、出世を目指すもの、左遷されるもの、冷遇される者、 異なる道を歩みます。 そこに起きた「御巣鷹山、航空機墜落事故」とその対応が、 それぞれの立場と、遺族の立場で描かれます。 その中から、出て来た社外人を入れての会社改革と国家の 関係ですが、モデル事件なのか、フィクションなのか、考え させる内容が続きます。 みかけは外見的な解決をつけた形ですが実際の問題は解決 出来たのかは読者にゆだねられます。 少なくとも主人公や事故遺族らの個人レベルではどうか、 終わらせられるか、読者に問いかけます。 小説の完全映像化は、連続ドラマでないと無理ですが、映画で どこまで限られた時間に刈り込まれたでしょう。
台本について
題名:「沈まぬ太陽」 準備稿 キャストの記入はありません。 原作:山崎豊子「沈まぬ太陽」 脚本・西岡琢哉 監督:若松節朗 登場人物:(台本にキャスト記入なし) 恩地元:(渡辺謙) 行天四郎:(三浦友和) 三井美樹: 恩地りつ子:(鈴木京香) 竹丸欽二焉F 十時征成: 池坊保友: 海野昇: 三成通夫: 石黒研介: 八木和夫:(香川照之) 利根川泰司:(加藤剛) 竜崎一清: 国見正之:(石坂浩二) 以下多数
映画「沈まぬ太陽」について
映画は黒沢明は2時間までと言っています。 3時間越は、見るのが厳しいとの見方です。 本作は、半ば過ぎに休憩時間が入っています。 そして、小説の2部から始まり、主人公の回想で1部に戻り ます。 一部はかなり削った印象です(全体に短くする必要があります から)。 舞台となる航空会社の歴史を振り返る様な、第1部は仕方なく 縮小されざるを得ない判断です。 とにかく、第2部の航空機事故を中心に、映画は構成されました。 社会的にも大きな事件は、会社のみならず、国家や経済界や報道や 社員にも影響が大きいです。 何と言っても、大事故の遺族には悲しみと怒りをどこにぶつけるか 判らない状況ですし、時間が経っても消えないものというのが作者 の解釈で、あえて言えば同じ境遇の者と共有するか、自分自身を 含めて忘れるしかないのでしょうか。 それに対応し、会社改革を目指し挫折の形になった主人公の、 再度のアフリカへの左遷と思いは、事件とも切り離せないもの でしょう。 かくて、航空機事故を全面に描き、そこに断片的に他を肉付け する形で、映画の時間に押し込めました。 時間があれば、いくらでも描く事はあるが、如何にテーマを絞り ひつとの形でまとめるかが、課題となったのが映画でしょう。
原作がある場合はそれも考慮します
色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります
ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます