陰画の構図

「陰画の構図」について

1986年に出版された内田康夫の「盲目のピアニスト」は長編の多い
作者の第2短編集です。
ただし第1が連作短編集なので、純粋な短編集としては最初です。

「死者の木霊」で自費出版デビューした内田康夫は、短い期間で
プロの長編のベストセラー作家になりました。
短編自体が非常に少ないのですが、プロになった最初は幾つか書いて
います。
それらを集めたのが「盲目のピアニスト」です。

内田康夫作品のキャラクターは一応は複数いますが、数的には「浅見
光彦」作品が圧倒的に多いです。
それに次ぐのが初期の作品に多く登場した「竹村警部」です。
他には「岡部警部」「フルムーン夫婦」等がいます。

「陰画の構図」は初め雑誌に「二千四百円のカレーライス」という
題名で掲載されました。
テレビ番組のレポーターの「高山冬子」を主人公とするノンシリーズ
作品です。
上記の「盲目のピアニスト」という短編集に入る時に「陰画の構図」
に改題された様です。

ドラマ「陰画の構図」は2時間サスペンスで、「竹村警部」シリーズ
で「岡部警部」も登場します。
従って大幅な内容の変更と追加がされています。

台本について

私が保有している台本はテレビドラマの決定稿です。
ただし多数の変更や、追加の書き込みや挟み込みがあります。

題名:「信濃のコロンボ 事件ファイル:12
     陰画の構図」
原作:「盲目のピアニスト」収録『陰画の構図』より
     内田 康夫
脚本:佐伯 俊道
演出:江崎 実生
主なキャスト(原作に登場=「*」)
竹村岩男(長野県警警部): 中村梅雀
竹村陽子(同上の妻): 原 日出子
岡部和雄(警視庁警部): 松村雄基
高山冬子(テレビレポーター): 小田茜(*)
吉井(長野県警部長刑事): 加藤純平
小林(松本中央署警部): ?(*)
川島(警視庁刑事): 伊吹康太郎
松崎一郎(テレビ信濃AD): ?(*)
立花カオル: ?(*)
前山雄司(テレビ信濃TD): ?(*)
佐藤源治(テレビ信濃CD): ?(*)
広野宗昭(テレビ信濃部長): ?(*)
大森修治(長野県警刑事部長): 里見浩太郎

小説「陰画の構図」とドラマ・「陰画の構図」について

小説の舞台は東京のテレビ局で、小林刑事以外は殆どが関係者
です。
ドラマ化ではノンシリーズを信濃のコロンボシリーズ+岡部警部
登場に変えていますので中心人物は大幅に追加されています。
場所は長野の松本で、そこのテレビ局になっています。
決定稿と言っても、小説に登場する人物でキャストが決まってい
るのは、小説の主人公の高山冬子のみです。
小説では、高山冬子は写真を使用しながら事件のレポートを
テレビ行いますが、ある時に写真が2枚不足します。
ドラマでは、写真レポートではなく、再現ドラマでのリポートに
変わります。如何にも映像的ですし、長編ドラマに向いています。
そしてその後半部が削除されてしまっています。
細部の構成は、大幅に異なるので省略しますが、過去の事件に
ついては、別の事件を設定しています。
偽装心中?の部分は、ほぼ同じです。

中心的な暗号トリックは数値が変わっています。
長野は物価が高いのでしょうか。

竹村警部シリーズは、長編小説原作を全て映像化したあとに、
同じ作者のノンシリーズを竹村シリーズで映像しています。
原作のあるオリジナル台本と言えるでしょう。

致命的なミスの多いと言われるオリジナル台本の、テレビドラマ
のミステリやサスペンスやその他ですが、原作の部分を忠実に
使用すると、ミスは少なく出来ると思います。
脚本家もディレクターもプロですから、ミスは本来あってはなら
ないのですが・・・・。

原作がある場合はそれも考慮します

色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります

ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます