「蒼い描点」について
松本清張は有名です。 現在の人気は不明ですが、現役当時はすさまじいでした。 なにより、周囲の期待に応える執筆量が大きな要因でしょう。 小説は、大量生産できにくいですが、それをある程度なしとげるのは 大きな才能ですし、ファンが拡がります。 松本清張は、一般に社会派推理と呼ばれていますが、同時に ドキュメンタリーの書き手でもあり、双方を混乱してみると姿を あやまります。 動機の社会性や神のような名探偵の廃止は有名です。 それが誤解を招くか、評論家の思い込みでミステリとしての謎や トリック・・特に機械的トリックの排除という表現までする人が いますが、それは間違いです。 偏ったトリックミステリや、古いレギュラー名探偵は、非現実と と捕らえていたと思えますが、全てを排除していた訳ではありません。 職業警察の捜査は多いですが、素人探偵もあります。 機械トリックも普通に登場します。 本作は、ひとめ長すぎる作品です。ちょっとバランスに不安が 生まれかねないですし、現実に書きすぎた感はあります。 主人公のヒロインは明らかにワトソン役で、探偵役のその恋人は ホームズ役の探偵です。 ただし、1回だけでレギュラー探偵にするつもりがなかっただけです。 複数の事件と背景の謎も、特に社会性とは言えないでしょう。 機械的なトリックもありますし、全国各地を素人が捜査しすぎます。 しかし、それがミステリ的には普通であり、ましてや社会派がどうこう という事は無関係です。 ただし、この内容を通常にドラマ化するのは時間の制約で難しいです。 従って、3回連続ドラマ化されました。
台本について
題名:「蒼い描点」 :決定稿? 2006年9月 原作:「蒼い描点」:松本清張 脚本:田中一彦 演出:松山博昭 キャスト 椎原 典子:菊川 怜 崎野 竜夫:田辺 誠一 村谷阿沙子:黒田 福美 赤沢 健二:真島 秀和 川村 広子:石橋 奈美 田倉よし子・池上香奈子:高橋ひとみ 白井 良介:小日向文世 田倉 義三:大杉 蓮
ドラマ「蒼い描点」について
連続ドラマ化のあとで、単発ドラマ化されたのが、この台本と ドラマです。 従って、原作通りには時間的に無理でした。 ヒロインと探偵役の恋人、主な登場人物名は同じです。 ホームズ+ワトソン的な、ふたりはキャラクターも小説と同じ だとも言える範囲です。 そして、背景のモチーフも同じ内容です(広義には)。 時間の制限は原作を元にするには、無理と判断したのでしょう。 上記2つ以外は、全て異なると言って良いでしょう。 同じ名前で同じ職業の登場人物も、異なる登場人物とも言えます。 そして、それ以外の登場人物は原作から消えて、ドラマで登場 します。 発生事件は変わり、被害者・犯人ともにかわります。 基本的には、モチーフ以外は、オリジナル台本といえる内容です。 勿論、日本各地へは行かず、東京と箱根だけで話は進み終わります。 原作を変えたいというのではなく、変えないと無理という事からの 要請のドラマ化だったのでしょう。
原作がある場合はそれも考慮します
色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります
ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます