「劒岳 点の記」について
歴史小説作家・山岳小説作家の新田次郎の原作小説 「劒岳 <点の記>」は、歴史山岳小説と言えるでしょう。 山岳を背景にした、歴史小説ですが、資料には詳細は多くは 残されていないです。 時代は明治時代末期で、陸軍参謀本部陸地測量部 (現在の国土地理院)がまだ空白だった北アルプス・立山連峰 の実際の測量を行うプロジェクトを行いました。 軍事上の地図の空白を埋める目的と、劒岳への初めての登頂 が目的でした。 地元の山の信仰から必ずしも全面協力とは行かない事情と、 初登頂を目指す民間の、日本山岳会との先陣争いとしても 描いています。 現在でも状況が、大きく改善されていない劒岳登頂は、原作 通りの映像化は、技術的にも自然環境的にも、そしてドラマ 的にも困難であり、それが成功に繋がらない条件です。 人間のみを描くならば、原作を追う事も可能かも知れないが 、自然を全面的に取り入れる事は、人間の作為以上で無理 ですし、映像という特徴も生かせない面もあります。 自然が、その明治にどのようだったかは不明であり、また 今後どうなって行くかも不明です。 映像はあえて、劒岳をロケ地にして、四季を巡る複数回の 撮影を行ったとされています。 現在の現地での撮影と、歴史的な当時との比較はそもそも 出来ないし、小説と映像の一番異なる部分です。 小説と、映像の比較ではなく、それぞれの良い所を別々に 楽しむべきものでしょう。
台本について
題名:「劒岳 点の記」 準備稿 原作:新田次郎「劒岳 <点の記>」 脚本・演出者の表記はなし。 スタッフを「仲間たち」「劒岳へ」の分類で併記。 出演者: (測量隊) 柴崎芳太郎:浅野忠信 宇治長次郎:香川照之 生田信:松田龍平 木山竹吉:モロ師岡 宮本金作:螢雪次郎 岩本鶴次郎:仁科貴 (日本山岳会) 小島鳥水:仲村トオル 岡野金次郎:小市慢太郎 林雄一:安藤彰則 吉田清三郎:橋本一郎 (日本陸軍・陸地測量部) 大久保穂昭少将: 矢口誠一郎中佐:: 中井省吾少佐: 玉井要人大尉:小澤征悦 佐伯永丸:井川比佐志 行者:夏八木勲 その他、省略 <三角点> の説明 <陸地測量部> の説明 劒岳 付近の地図
ドラマ「劒岳 点の記」について
ドラマですからストーリーは必要ですし、歴史小説ですから創作 だけに偏る事も出来ない事情もあります。 その中で、未踏の山の登頂を目指す2つの団体であり、1つは 測量と地図製作という目標が存在する中での、人間ドラマが ひとつです。 たぶん、映像ではそれ以上に大自然の撮影の比重が大きいです。 たぶん、出演者も判らない所から撮影したと思われる映像が多数 あります。 美しく、自然のドキュメントとしても困難と思われる撮影と情景 は、時として登頂する人物が点のように小さく写します。 それは、大自然とその中の人間との比較にも見えます。 そもそも原作は何を描こうとしていたか文字では表せないものも あります。 そして映画は何を描こうとしたかは、素晴らしい大自然の映像の 前に、それ以外がどうしても忘れがちです。 映画は、両立させた筈でしょうが、後は観る人がそれぞれの主観 で読み取り事になるでしょう。 映画が、DVDという媒体で見る事が出来る時代で、その表現が 見る人の映像環境で変わる時代です。 映画の大スクリーンと、それ以外のたぶん小さな画面で見た場合 で、感想が変わる事が自然に判る映画と言えるでしょう。
原作がある場合はそれも考慮します
色々な呼び方があり、少しずつ意味は異なります
ここではやや影の部分といえるシナリオを読みます