下手の、銀多伝定跡の攻め方のひとつに次の考え方があります。
1:下手の4六銀と上手の5三銀を交換する。同時に歩の交換もあります。
2:次に、下手の4七銀を4六銀と立って攻め駒にする。
3:上手は交換した銀を守りに打つが、4六銀との交換を目指す。
4:上手が下手の大駒の利きを、銀を打って止めたら大駒を切る機会を探す。
確かに、この順で上手は受けが無くなるでしょう。
上手は原則は避けようとしますが、完全には無理なので、紛れを求める指し方
になります。
この指し方の問題点は、7八金が残ってしまう事と、玉の守りが4八金1枚に
なってしまう事です。
この状態で、下手が大駒を切ると寄せはありますが、同時に下手玉も危険な
状態になります。
大駒を切る機会を探すことは、二枚落ちの手合いでは、簡単ではありません。
これもひとつの指し方です。
実戦は、下手の一直線の攻撃が決まりました。
ただし、大駒を上手に渡した反動が下手の見落としに繋がりました。
下手の3八玉は、飛や角の王手のかかる位置です。
その筋を避けて攻める必要がありますが、なかなか難しいです。
本局は、完全に見落としがあり、攻め合い負けになりました。
少しの形の違いで、結果が大きく変わる攻め方と言えます。
攻めが決まるか、どうかで結果は全く異なる。
1局の結果だけで、棋力の判断が難しい戦型です。
上手は、避けようがないのが困るが陣形には注意が必要です。
多伝崩しが多く指される様になった背景のひとつの形です。