二枚落ちの3歩突き定跡に対しての、上手の5四歩不突き戦型は複数紹介
しました。
下手が、銀多伝定跡を目指した時もかなり有効です。
ただ、下手が3歩突き定跡から対抗して、5三の地点を狙った場合は、上手も
かなり受けは難しいです。
下手の3歩突き定跡に対して、やや限定的ですが、6三玉型もあります。
ひとめ、5四の地点が焦点になると困るので、下手が銀多伝の時は、好ましく
ない事が予想されます。
この形には、上手は6二銀・5二玉で待機して、下手の駒組を見てから、6三
に銀が上がるか玉が上がるか決めます。
次に、下手の攻めの狙いを見てから、5一銀から5二銀と5三の地点を強化
します。
組終わった形からでも、またよくありますが下手が5筋に攻撃の狙いを変えた
場合にも、上手は5四歩から5三銀とする、通常の定跡形に組替えることも
しばしばあります。
上手の5三歩+6三玉型は、あくまでも下手の駒組に対応して変容する、
変則的な変化球的な指し方といえるでしょう。
実戦は、下手の1直線の3歩突きから早くに6三玉とし、4四歩交換
に対して5二銀の組み替えになりました。
所が下手の2五桂からの攻めに6筋で角道を止める為に突いた6五歩
から一気に戦いになりました。
下手には不満はない筈の攻め合いですが、攻め合いの絡みから、上手に
巧妙に立ち回られて頓死的な結果になりました。
下手は、攻め自体は成功しているのですが、本来が相手にしては
いけない筈の上手の3二金・2二銀・2一桂が全て働く形の為に
意外と下手の間違い易い終盤になったようです。
上手としては、全ての駒が働いたので仕方がないというか、形勢は
別にしても望む展開になったと考えた方が良いでしょう。
あまり、上手も指さない形なので力戦的な内容になりやすいでしょう。