上手5五歩止め定跡は、上手は無理をしています。
しかし、下手が知らないか対応を間違えた場合は、上手の成功になり易いです。
その中でも、下手が一番注意が必要なのが「上手2枚金」定跡です。
上手が、5四金と5三金と2枚の金を早くに繰り出してきます。
この形のみの特徴は、次に4四歩・同歩・同金とする狙いです。
これが成立すると、完全に力戦模様になり、下手は定跡から外れて戦う事に
なります。
定跡は、下手は、7六歩>4六歩>4五歩>4八飛>3八銀>3六歩>
3七銀>4六銀と一直線に繰り出す事です。
丁度上手が4四歩と突いたときに、4六銀と出る事が出来ます。
1手でも遅れると4四歩・同歩・同金の力戦になります。
力戦になっても上手陣は隙が多いですが、2枚落ちの手合いではすでに
混戦になっています。
上手の5五歩突きは、はっきり不利と結論は出ています。
しかし、下手がとがめなければ厄介な戦型です。
上手が2枚金で、中央を制圧する作戦は、下手に大局観を要求します。
駒落ちでは、これは既に大変な局面です。
中央を制圧されない=4五歩を保つ定跡があります。
しかし、定跡を知らずに4五歩まで位を消されるとすでに力戦です。
本局はその典型で、隙だらけの上手に下手が色々と攻めますが
徹底した方針がまとまらず、局地戦にもちこまれて成果が少ないです。
上手の局地戦で、決戦を避ける戦いは、1手の価値が異なる駒落ちでは
手数が長い程、上手が有利になりやすいことを示しています。