電子回路の製造技術:シート加工工程

電子回路板は部品実装等を顧客側で行う事が多い。
部品実装に限らず、後工程がある場合は、外形加工で個別にしない方が有利な事がある。
部品実装は回路板に部品を半田で貼り付ける作業だ。
電子回路板の用途では、急激に実装部品の小型化と部品点数の増加が起きた。
それに対応する技術が開発された。
そこでは従来の穴端子への挿入型の部品から、面実装タイプの部品への変更が進んだ。
面状実装の小型部品は納入方法の技術開発がされて、カセット状やシート状で納入される。
そこでは回路板もシート状や大きなサイズのブロック状での納入を求める。
部品の自動実装機と、関連技術が開発されて急激に普及した。
そこでは回路板もそれに対応した半加工の形状での納入が必要になった。 (2018/01/14)

顧客が行う外形加工方法

シート納入は、顧客にとっては部品実装等の追加火口には有利な手段で開発された。
ただし、追加加工の後で、外形加工を顧客が行う必要があり、その工数ダウンも需要だ。
本来の金型による外形打ち抜きや、ルーターやドリルでの加工は装置や工具的にも避けたい。
顧客は加工装置も技術も通常は持たないので、部品実装が容易でも外形加工が律速しては意味がない。
シート状では、材料により切り離しの容易度が異なる。
薄くて切り離しが易しい材料では、外形の一部だけを残した加工を納入前に行う方法がある。
顧客は、部品実装後に残った繋ぎ部を除く事で外形加工する事になる。
薄い材料では切るという作業で行う、必要最小部分のみでシート状に繋ぐ回路板加工技術が必要だ。
厚みがある材料では、例えばドリル加工で切り離す方法がある、それはある程度の速さを確保出来る。
厚みのある材料では「抜き戻し」方法がある、金型の種類によっては、打ち抜いた外形加工後に元の位置にはめ込める。
この後に、外形加工を省く為に、別の材料でシート状に保持する方式が考えられた。
(2018/03/18)

シート納入の目的

シート納入の形態や加工法や品質は、全てシート納入の目的で決まる。
シート納入が、製造側の理由だという事も希にはある。
製品が小さい時や、色々な理由でハンドリングが難しい時がある。
シート納入の時の製品以外の部分は捨てる事になるが、包装材と考える事になる。
シート納入では、発生した不良部の扱いが、問題となる事はおおい。
納入側は、不良マークを付けるだけを望む、部品として使う側は加工効率から不良が無いか少ない事を望む。
単純に1シート作業をおこなった時に、実加工数は良品数になる、例えばクリーム半田印刷ではインクペーストが無駄になる。
納入仕様の取り決めでは、その仕様を決める事になるが、経験を積むと互いに効率を路買い出来る。
例えば、不良品数が多いシートは、1製品の単価を下げる事もあり、不良として捨てるか、効率が悪くとも加工するかの判断となる。
ユーザーがシート状で加工したい事が、シート納入の目的の最多だ。
部品実装を容易におこなう事が目的の1つだ。
手半田の時代から部品点数が多くなり、装置実装に変わり、半田処理方法から変わった。
リフロー半田や半田レベラーはシート状が行い易い、クリーム半田印刷からの表面実装は小型部品技術の進歩が激しい。
回路板と部品と、外部回路との接続方法は進歩していて、回路板製造もそれに合った技術が必要になる。
部品実装を含めて、電気チェックは重要性が増した、条件はあるがこの工程もシートでおこなうことも多い。
回路板がケーブル用途から、それ以外の機能性を持つ事になったきた。
回路板が機能を持つと、それぞれにユーザーの求める仕様が増えて、同時にシート納入も増える。
回路板メーカーの加工サイズは、実は定まっていない。
それぞれが総合的に判断して、ノウハウを積み上げて来た。
そのそれぞれがユーザーのシート納入の要望に応えている。
そこには万能の加工方法は不明であり、それぞれが模索している。
(2018/05/08)

ハーフカット

シート状に配列した状態の維持方法にハーフカットがある。
商品・部品が厚みがあるときは、はめ込みやきしめ等もあるが、薄い部品では使用出来ない。
薄い材料での特有の方法に、外形を部分的に残す方法がある。
接続されている部分を、挟みやカッターで切ると分離できる。
専用の型で最終加工する方法もあるが、容易に最後に切り離せるイメージだ。
この外形の一部を、厚み方向に置き換えた方法がハーフカットだ。
イメージは厚み方向に、一部の加工を残す意味だ。
実際は、外形加工の周囲の一部で行う事になるだろう。
または複合材料では、厚み方向に異なる材料を貼り合わせた形状の時に、一部の材料の種類だけで繋げる。
セパレーターという、シート状の保持材料を使用する事もある。
あるいはセパレーターに弱粘着剤が塗布されていて、それで部品がセパレーターの上に載っている形状もある。
弱粘着とは、容易に剥がす・分離する事が可能であり、しかも粘着剤が部品に転写しないものだ。
実際の外形加工は、部品シートとセパレーターを弱粘着ではりあわしてから一括加工する。
外形加工は、部品部のみを切断して、セパレーター部は切らず、弱粘着剤部は部分切断する。
従って加工型は、刃物であり厚み方向に精度良く加工深さ制御が必要だ。
刃型は引きはがし方法でなく、切る方法で加工する、その切断面は綺麗だ。
バリやひげの発生が抑えられる刃での加工は、クリーンな部品の要求からも使用が増えている。
外形加工方法の変化の1つだ。
(2018/07/07)

サポートシート

ハーフカットの多くは、製品シートとそれを支えるサポートシートとを貼り合わせる。
そしてそれをまとめて刃でハーフカットして、製品が全切りするが、サポートシートはハーフカットされる。
刃でハーフカット後に、製品とサポートシートとを分離すれば、商品単体が取り出せる。
その分離前に、別の加工工程を行うと、それはシート状での作業となる。
追加の加工工程を、ハーフカット作業の前か後かは個々で検討が必要だ。
サポートシートの条件は多数ある。
製品シートとの貼り合わせが容易で有ること。
刃でハーフカットが可能な事、刃にダメージを与えてはいけない。
もしも追加の加工工程があるならば、その工程での作業性や品質保持性が必要だ。
そして最終的には、サポートシートが容易に取り除ける必要がある。
サポートシートは再使用は通常は難しい、それ故にその費用・価格は問題だ。
そして捨てる材料だから、廃棄物処理の容易性と無害性が重要だ。
プラスチックシートに製品シートを載せただけで使用する方法もあるが、刃でハーフカットで保持されるかが問題だ。
その場合の工夫もいくつかあるが、個々に検討が必要だ。
商品とサポートシートを貼り合わせる方法は有効だが、最後の分離の可否が問題だ。
そこで弱粘着剤が開発されて、弱粘着サポートシートが作られて使用されている。
弱粘着サポートシートでは、加熱温度や、加工薬品類等には、制限がある。
そこでは、弱粘着サポートシートを使用する加工技術も開発される。
(2018/09/10)

弱粘着

サポートシートの上に製品を貼り合わせた時に、接着又は粘着しておれば、製品は全切りが可能だ。
貼り合わせた製品を全切りして、サポートシートをハーフカットする事で可能だ。
製品がバラバラになる事は、接着又は粘着される事で避ける。
最終的に製品をサポートシートから分離するが、その作業性が課題だ。
粘着剤は粘着テープに使用される材料だが、その中には剥がし易さを目的にした弱粘着材料がある。
一般的は表面保護を目的とした粘着テープ用に開発された。
粘着力が弱いと共に、粘着剤が剥がした後に転写しない特徴がある。
弱粘着シートのフィルムと粘着剤の合計厚さの範囲でハーフカット作業を行う。
粘着剤は貼り合わせに、熱は不要だ。
実際は泡の巻き込み防止の為に、いくらか加熱する事もある。
いずれにしても、フイルムも粘着剤も高温使用は出来ない。
弱粘着剤は露出していても、高分子材料の多くは直接に重ね合わせる事が可能だ。
通常の粘着剤は、セパレーターを挟む必要がある。
サポートシートは廃材になるが、それを減少させる事になる。
(2019/02/06)

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