電子回路の種類

ここでは特殊回路は除いて、リジッド板回路(片面、両面、多層)、メンブレン、フレキシブル回路、テープキャリア等を主として取り上げます。
(2007/04/01)。

リジッド回路板

基本的には、変形しない板状の絶縁体に銅箔を貼り合わせて、その銅箔を加工して電子回路を形成した回路いた全体をさします。
回路板の基本形状ですが、絶縁体の材料・及び厚み・銅箔との貼り合わせ方法・電子回路の層の数・銅箔の種類・被覆絶縁体の種類等多数のバリエーションがあります。
これらは、用途・コスト・特性などを考慮して選ばれます。
(2007/04/01)

リジッド回路板は、実質的に単に回路板と呼ぶときの製品です。
理由は、開発の歴史と現在の使用量からです。
回路板が生まれた背景には、電線接続を部品を並べた板状のもので部品を繋いだ事から発展したとされています。
その製品が大量に作られるならば、1枚1枚電線を繋ぐかわりに、部品をならべてある板に導体で接続が描かれている事が望ましい。
しかし、これは容易ではないですが色々な技術的な発展の結果として現在の回路板が生まれています。
特に、絶縁基板にフェノール系材料・エポキシ系材料を使用したものは用途も広く、安価で国際的に規格化が進んで、普及しています。
基本的な発展の順序としては、材料の価格・入手容易さ・加工性などの条件が揃っていることがあります。
特殊なものは技術・材料絡みの権利問題で、用途が限られます。
これは、あらゆる回路板に共通しています。
(2007/09/13)

リジッド回路板のうち、多層以外は技術的に熟成しています。
すなわち、高歩留まり・低コスト・生産量が多くてその伸びは少なくなっています。
この事は既に、多くの急成長国でも生産上レベルが十分に対応できる事を示しています。
日本国内でも多数の企業がひしめいていますが、製品性格上の少量多品種での対応システム構築が課題となっています。
中量生産で特別な技術が要求されないものは、ほとんどが中国・東南アジア生産を行っています。
企業の多きさにもよりますが現地の生産企業への外注方式が中小企業では中心です。
理由は生産高の向上・設備投資の抑制です。
大手の需要企業では、小生産設備を保有しており開発レベル・特殊技術品を生産して、安定生産になれば上記の中小企業に発注する形態が多いです。
従って、このタイプは生産構造が複雑になっており特定の企業レベルで生産経験があっても、全容をつかみにくい分野です。
(2008/04/28)

フレキシブル回路板

フレキシブル回路板のリジッド回路板に対する特徴は、変形できる・絶縁体を薄くできる・重量を軽くできる・フィルム状加工によりロール状の連続生産が可能・ロール状で納入する事で利用者もロール状の連続での製造工程を組む事が可能などです。
回路板の製造自体は専用の装置が必要で比較では高価になりやすいが、部品単体ではなく、全製品で見ると機能・コスト共にメリットがある場合も多い。
(2007/04/01)

フレキシブル回路板(以下、FPC)はその使用目的が明確に有る場合にのみ使用されています。
理由はコストの問題です。
色々な絶縁材料が研究されていますが、実質は「ポリエステル」「カプトン(デユポン社の商品名)」がほとんどを占めています。
両者には耐熱温度とその他特性に大きな違いがあり、同様に価格も大きく異なります。
そして困った事に両者の中間が見つかっていません。
そして高機能化時代になると、後者が主流となっています。
簡単にいえば高価な部品です。
そして、需要は多いがリジッド回路板と比較すると少ない。
製造技術はリジッド回路板とは全く異なり、転用できる部分は限られています。
すなわち、専門メーカが存在する分野です。
(2007/09/13)

フレキシブル回路板を使用する目的は、複数あります。
電子部品の動作部の接続が一番機能性が高いです。
具体的には、古くはフロッピィデスクドライブの直線駆動部です。
次はハードディスクドライブのロータリエンコーダーの屈曲です。
また、プリンターのヘッド駆動部の接続です。
そのた円盤状媒体を使用する機器には欠かせません。
最近では、携帯電話等の表示部の開閉部のも使用されます。
もうひとつは、自由な形状の接続配線としての使用です。
マルチメディアを代表とする小型機器では、設計の最後に配線が決まります。
それに対応できるのはフレキシブル回路板です。
ほかでも述べましたが、最後に仕様が決まり最初に使用する部品になるのはこれが原因です。
上記と類似ですが軽量化目的もあります。
ケーブル状ですので誤配線も防ぎますし、個別接続よりも遙かに軽量です。
モバイル用途の高機能ではかかせません。
(2008/04/28)

メンブレン

極端なイメージは、フレキシブル回路板の安価版のイメージがあります。
勿論、製法も特性も用途もコストも異なります。
一般的な構成は、絶縁ベースフィルム+導体ペーストの印刷回路形成+カバーコート印刷又はカバーフィルムの貼り合わせです。
カバー材は、省略される場合もあります。
導電体が露出する事になりますが、用途の全体設計で許容されるならば問題にはなりません。
とにかく、コストが安価なのが最大の特徴です。
他の回路板は他の部品等の設計結果で要求特性が決まる性格がありますがこれは最初に材料が決まっており、その可能な機能・構成の範囲内でほかの部分の設計が行われます。
代表的な用途は、電卓です。
(2007/05/01)

リジッド回路板は高価だから、もっと安く製造したい。
特性はぜいたくは言わないというような歴史を持つ製品です。
FPCと類似のイメージを持つ人もいますが、それは全くの誤りです。
極端に言えば、リジッド回路板からコスト重視で作られたのがメンブレンで、ある特性重視で作られたのがFPCと言えます。
双方に詳しい人は意外に少なく、お互いに他方のイメージが出来ない製品です。
(2007/09/13)

メンブレンの製造工程は印刷です。
絶縁性・耐屈曲性・寿命等で劣りますが、コスト的には非常に差があります。
具体的な用途として、電卓があります。
技術的に熟成して、最大限にコストを追及した姿です。
これも技術的に突き詰めたひとつの姿です。
(2008/04/28)

テープキャリア

ベース材料がフィルム状の回路板は、ロール状で加工される事が多くあります。
それならば全部の工程をロール状で加工して完成製品自体もロール状にする発想で出来たものがテープキャリアです。
当然ながら、個々の製品は小型ですが、ロール状の両再度にスプロケット穴を設けて回路加工と完成品の使用時に使用します。
これにより位置合わせの精度が非常に向上します。
微細加工の用途に使用されます。
簡単にいえば、能動部品のパッケージ用に使用されると言って良いと思います。
(2007/05/01)

半導体のパッケージ方法は、古くは金属等のハーメチックシールがありますが、急激に樹脂封止に移行しました。
ただし今でもCPU等のVLSIでは、発熱量と寿命等でハーメチックシールを使用する事があります。
メンブレンで、フレキシブル回路板の安価用途と言いました。
それでは、樹脂封止の安価版は何でしょう。
テープキャリアの思想の基本は、テープ状のフレキシブル回路板に微細なパターンを形成してそれを半導体の接続に使用する事です。
接続もボンディングではなく半田ボール使用です。
そして連続加工で樹脂封止まで行います。
加工方法は高度な技術が必要ですが、樹脂封止という面では安価版といえます。
テープキャリア自体は、広くは利用されていませんが、全工程をテープ(リール・ロール)で行う事は、フレキシブル回路板の特性を生かしています。
フレキシブル回路板の製造において、どれだけ多くの工程をロール状加工出来るかは、加工技術での課題ですし、テープキャリアの思想を受け継いでいます。
(2008/04/28)

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