銅貼り電子回路材
電子回路板の加工方法は多岐に渡りますが、歴史的のも量的のも古く多いのは、サブストラクト法です。
これはベース絶縁材料と導電体の銅を貼り合わせた「銅貼り電子回路材」を出発に使用する方法です。
全面貼りの銅から不要部を、引く=除去する事で電子回路を形成します。
(2009/04/20)
銅貼り電子回路材の製法
単純には、ベース材料と銅箔とを貼り合わす方法があります。
シンプルですし、使用する場合もありますが一般的にはベースの素材料と銅箔を一度に貼りあわす方法が多いです。
ベース材料が厚い時や、特殊材料の時は、ベース材を作成してその後にそこに銅箔を接着材等で貼り合わせます。
貼り合わせ方法は、バッチのプレス機を使用する事がおおいです。
薄い材料では、ロール上で貼り合わす事も行われています。
絶縁材料は加工時には液状になり、成形されますが、その時に加工機や複数枚重ね加工した時の分離様に「セパレーター」を使用します。
「セパレーター」は、樹脂等が接着しない性質が必要です。
多くはシリコン等を表面に塗布した、または含侵させたフィルムを使用します。
この場合は、シリコン等が作成したベース基材の表面に転写します。
これが多いと、再度の接着作業を行う時に接着性を落とします。
一部ではセパレーターに銅を使用して、不要の時はエッチング除去するという無駄な作業をする事もあります。
一度の作業で、銅貼り電子回路材を作る事は、材料的にも無駄な作業や材料(「セパレーター」)を使用しないという意味でも有効な方法です。
これを延長すれば、両面銅貼りの銅貼り電子回路材を一度に作ってしまう事が、コスト的に有利な事が分かります。
サブストラクト法の普及と、両面銅貼りの銅貼り電子回路材のコストとは大きな関係があると言えます。
(2009/04/20)
フレキシブル銅貼り電子回路材の製法
ベース材料が、容易に変形する材料の時は「フレキシブル回路」と呼びます。
フレキシブルである為には、ベース材料のみでなく同時に銅箔材料と、両者の貼り合わせ材料も変形対応の必要があります。
フレキシブル絶縁材料は、通常はフィルム状と呼ばれる状態です。
銅箔や、貼り合わせ接着材もフィルム状の場合が多いです。
全てが、フィルム状の時はフレキシブル銅貼り電子回路材の製法自体も、フイルム状で行います。
この方法の方が、連続作業が可能であり効率を高める事が出来ます。
勿論、連続加工になりますから、設備面でも技術面でも高いものが要求されます。
連続加工の可否で製法を始めとして、最終材料の形状も大きく異なりますから、非常に重要です。
銅貼り電子回路材の形状は、当然に製作コストにも影響しますが、それとは別にその材料を使用して回路を形成する加工方法にも影響します。
単体材料ならば、原則は単体加工です。
しかしフイルム状(ロール状)の材料の時は、裁断して単体加工も可能ですが、そのままロール状で加工する製法を選ぶ事も出来るのです。
(2009/09/01)
銅貼り電子回路材の厚み規格
電子回路材には厚み規格があり、殆どの用途で重要です。
機械的強度・回路板の収納スペース・多層板の絶縁や導通品質・部品実装等の取り扱いなど沢山規格決定項目はあります。
標準規格が定まっていて、厚みと厚み公差での品質区分があります。
例えば、ガラスクロスを使用するガラスエポキシ電子回路基板の場合は、ガラスクロスの厚さで1層の厚みが決まります。
含侵させるエポキシ量での制御も若干は可能ですが、微調整の範囲です。
複数の厚さのガラスクロスを準備してエポキシ含侵1層材料を用意して、枚数の組み合わせで合計厚さが決まります。
従って、厚み規格がきっちりした数値であっても、実際の電子回路材の平均厚さは公差を含めた範囲であり、カタログ値とは異なります。
そして、公差規格の全てのどこかに回路基板が入るように規格は作られています。
元の材料が離散的な厚さの為に、製品も離散的になります。
それをカタログ値に振り分ける形になります。
規格上はメーカーが異なっても同じ様に思えますが、実際の厚さは異なる場合が普通です。
もし利用者が設計上の僅かな厚さに悩む時は、加工メーカーに実際の中心厚さと公差分布を問い合わすべきでしょう。
具体的な材料(供給メーカー品番)指定か、標準規格より精度の高い厚さ規格を取り決める等が必要です。
(2010/04/23)
銅貼り電子回路材のサイズ規格
同貼りを含む電子回路材一般に、サイズ規格があります。
バッチ加工で作る場合が多いですが、その時は加工機のサイズで最大製造サイズが決まります。
そして、製造効率から最大製造サイズが基本となります。
基本がバラバラでは、購入者は困りますので、自然と国際規格となります。
勿論、サイズには公差の設定も含まれて、バラツキ幅が規定されますが、公差表現は中心公差ではないのが普通です。
上限規格があれば、大は小を兼ねるという思想で、回路材は「規格値+Xー0」が基本になります。
マイナス側に小さいと、うっかりぎりぎりのサイズで設計したり、裁断ミスで小さめにきったりしたときに不具合になります。
従って、規格値が最低になる規格設定が使用される事が多いのです。
材料がロール状で供給される事も多くありますが、幅の公差では基本は同じ考え方です。
一方では加工後の製品での形状加工方法は、金型等の打ち抜き加工と、簡易裁断機加工があります。
前者では、精度がありますので種々の公差規格になりますが、後者では精度はおちますので、逆に「+0ーX」等になる事も多いです。
最終製品では、回路をはめ込むサイズですから、精度が落ちる加工では逆に上限を超えない事を選ぶ事が多くあります。
(2012/03/19)