電子回路の製造技術

電子部品は製造技術の革新競争と言われます。
通常の製品は、良品率を高くする事が最大の製造技術課題とされています。
電子部品の場合は、二面性がありひとつは製造技術的には熟成した製品で一般と同様に良品率向上が課題となります。
もう一つは、製造技術の革新が激しいもので、良品率よりも製造工程の革新により工程変更によるコストダウンが勝る製品群です。
後者は、古い製造工程で高い良品率で製造した場合のトータルコストが、新しい工程で良品率は劣るが革新的な製造方法のトータルコストよりも高い場合が生じる事を示しています。
製造技術の向上で、良品率は向上してゆくのが通常ですのでこの場合は、絶えず製造工程の革新を選ぶ必要があります。
(2007/04/10)

電子回路板では、製品がルーチン的に製造出来る場合または作業工程と、個々の製品で個別設計が必要な製品または作業工程があります。
前者は主として、製造課・生産技術課の担当になります。
後者は、技術課・設計課の担当になります。呼び名は個々のメーカーで異なるので一般的にイメージして下さい。
革新的な製造工程の変更は、基本的には既成製品には顧客の承認が必要です。
従って新設計品からの対応になる事が一般的です。
部分改良と、革新的変更の区別は明確に区別しておく必要があります。
なぜならば、工程変更は必ず製品の特性・品質評価が必要だからです。
これは、技術・設計で行われて、全部門(含む製造課・品質課)での討議の後に承認・認可されて製造に移行されます。
対外的には、建前と現実が存在します。
購入者には製造工程は基本的には重要ではなく、特性・品質・コストが重要です。
後者を完全に規定する事は困難な為に前者の工程変更にも敏感になります。
現実に後者の確保を行う為には、回路板自体の使用状況を製造側が如何に知っているかが重要です。
図面・仕様書に書かれていない部分も含めて後者を維持・向上出来れば、現実的には何も問題は起きません。
しかしその様な理想的な事は少なくメーカーのトータルの実力で現実は変動します。
(2007/07/05)

よほど一般的な製品以外は、「試作」を行います。
この時、いかに量産の製品の機能を再現しているかが問題です。
特殊な製品以外は試作は外注や異なるメーカーで作る事もしばしば有ります。
この場合は、回路製造技術が機能に影響しない事が条件となります。
コスト重視のユーザーで、製品機能に詳しくない時は量産時にトラブルになり易いと言えます。
試作と量産の違い、製造メーカーでの違いを理解していないと絶えず危険が伴います。
試作段階から量産メーカー対応・事前打ち合わせがあればリスクは少なくなります。
(2008/02/08)

基本工程

製造工程は、電子回路基板の数だけあります。
詳細は、個々に述べるとして基本技術を羅列します。
1:ベース材料製造、2:銅箔材料製造、3:被覆材料製造、4:貼り合わせ材料製造、5:回路パターン形成、6:エッチング技術、7:導体表面処理技術、8:バイアホール形成技術、9:被覆技術、10:その他追加工。
回路板の製造において、各所で二つのものの位置合わせが必要とされます。
この方法で分類が出来ます。
位置あわせは、回路パターンを基準にする方法と、パンチングガイド穴を基準にする方法に別れます。
(2007/04/10)

実は、この部分は各メーカーのノウハウの集まる所です。
あらゆる製造・設計・品質・特性等の要素と密接に関連します。
そして、同時に周辺の製造技術に影響されます。
回路板製造メーカーと言っても製造装置の多くは外注です。
新しい製造装置が開発されたり、新しい精度等の要求特性が必要になりそれに対応出来る製造装置が全体の工程の変更を必要とする事もあります。
基本工程はあくまでも要素であって、工程順序まで基本で定まってはいません。
(2007/07/05)

製品規格には「製造条件の変更」通知項目が通常はあります。
実はこの解釈が一定していないのが実状です。
製造設備や製造消耗材料が一定である事は通常ありません。
製造側で、管理して完成製品を同じ機能にするためにコントロールします。
これは条件変更とは言いませんし、現実的に一定でない事を固定する事は生産をしない事になります。
しかし、製造側が製品に要求される機能を理解していない時はこの範囲を広く考えすぎます。
製造条件変更に関しては色々な第3者規格で規定します。
一方では、絶え間ないコストダウンの改善もその規格が含む事も多いです。
条件変更は認定後に行うとの、建前はありますが、製造側・購入側双方ともに担当グループが複数あり、しかも製品自体に詳しい担当者が長期にわたって存在しないのが普通です。
現実はトラブルがない事を前提に、内部処理しがちです。
(2008/02/08)

位置合わせ方法

ほとんどの回路板では、加工上ガイド穴が必要です。
最初にガイド穴を空けておき、これを基準に残りの工程の位置合わせを行う方法があります。
これと全く逆に、最初に形成した回路パターンを基準に工程を進め、最後にパターンに位置を合わせガイド穴を空ける方法があります。
そして、両者の中間の方法(加工工程の途中でガイド穴を空ける)方法があります。
(2007/04/10)

製造上のずれ、バラツキの多くは位置合わせ精度によるものです。
作業は基準となる物(ガイド穴・基準パターン等)に対して行われます。
その位置合わせ作業の精度がほとんど製品のずれ等の精度・特性に直接に反映すると言ってもだいたいは合っています。
いわゆる抜きずれ・カバーずれ等ですが、英語ではレジストレーション(位置合わせ)を使用してずれはそれをミスするという表現になります。
ミス・レジストレーション、ミス・パンチング等です。
(2007/07/05)

位置あわせは、試作・量産・大量生産で微妙に変わります。
試作は人間がほとんどを行う事が多いですが、個人差が大きい欠点はありますが、熟練者は非常に高い精度を出します。
量産は、昔は技能者が行っていましたが現在はほとんどが、機械的に行います。
ガイドピンによる位置決めが初期は多いですが、次第に画像処理技術を利用した光学的なパターン認識方法に変わっています。
現状は、合う物は合う。
合わない物は平均的なバラツキを起こさせる工夫で対応する。でしょう。
合わない理由は、材料の寸法的不備・位置あわせ穴やパターンの形状不備・位置あわせ装置の機能制限等があります。
その中には、位置あわせ時間や加工サイズといった要素を含む事が多くあります。
(2008/02/08)

バッチ加工・ロール状加工

回路板の材料構成にもよりますが、長尺でロール状に出来る回路材料ではロール-ロールの連続加工が有効です。
ロール加工は、非常に量産性に優れますが、多くの工程が新しい技術を必要とします。
従って、中間の所までのみロール状加工の場合も多いです。
一般には、バッチ加工ですが1加工単位に、いくつの製品が含まれる(配列できるか)かが、量産性からは重要です。
一般的には、加工単位の大きさは自由度が少なく設定されています。
その形状の制限内で如何に材料効率よく製造するかもポイントです。
ただしこれは。工程設計上の問題と言えるでしょう。
基本製造技術は、先に製造技術があり、これに合わせて工程設計を行うのか、工程設計が決めた製法にあわせて製造技術を整備するのか?。
現実は微妙で、どちらに分類するのかは単純にきめられません。
(2007/04/10)

工程管理面からいえば、建前は1個流しですが、現実はロット単位以上になります。
バッチ加工は原則はロット単位ですが1回の注文単位が1.2ロット分の時には1ロットの枚数をかえるか、2ロット(1.2ロット)を1管理単位で生産します。
逆に特殊工程で、半裁等が行われる事があります。
ロットの枚数が2倍等に増えます。
この当たりは工程管理体制を詳しく定めていないと混乱します。
ロール状加工では、1ロールが可能な範囲で長い程工数には有利です。
従って複数ロットをまとめて生産する事が常識です。
ロール状加工工程が複数あるときは、例えば5ロット分をまとめて生産すると、1工程ごとに先頭が1ロット目と5ロット目が入れ替わります。
これも工程管理上で決めておく必要があります。
途中で裁断してバッチ加工に切れ変わる時があれば、裁断がどのロット順になるかは重要です。
ロール工程での不良が後で発見された時に、対応ロットが不明では余分な検査工程と不良の混在を招きます。
(2007/07/05)

ロール加工は量産仕様ですので、試作では通常は行われません。
加工条件の連続性の面で、ロール状加工は安定しやすい面が多くあります。
製品的にバッチ加工になる場合でも、管理的にロール加工的な方法をとることは多くあります。
大量の不良発生の可能性よりも、ロット>製造条件管理のしやすさを優先します。
余分な分別作業は一番避けるべき事です。
この部分はノウハウの固まりで、外部からは分からないのが実状です。
(2008/02/08)

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