電子回路の製造技術:アディティブ法

電子回路板の回路形成方法は、サブストラクト法が主流です。
全面の銅箔から、不要な部分を選択エッチングして、回路を形成します。
逆の方法に、「アディティブ法」があります。
何もない所に、選択的に銅等の導電体を形成する方法です。
引き算か足し算かという分類で、実際の工程は多岐が提案されています。
(2012/09/14)

選択銅メッキ

電気伝導が高い金属は、銀>銅という事で、価格的に銅の使用が考えられます。
これは、サブストラクト法と同じ考えです。
もしも、回路が全て繋がって一端が周囲にあれば、そこをリードとしてメッキ等が出来ます。
現実の回路は、それは期待出来ないし、制約が多いのでリードレスの方法になります。
まずは、コスト的・歴史的に進んでいる、湿式メッキ法があります。
メッキは導体に付着しますので、薄い導電体膜が形成されておれば選択メッキが可能です。
その薄い導体膜の形成方法が、この方法の中心技術です。
例えば、両面以上のバイアホールの形成方法がこの技術に関連します。
それと選択付着方法です。
マスキング方法が多いですが、部分的な活性化の可否も検討対象です。
そして、その後の銅厚みの必要な形成方法です。
(2012/09/14)

高速無電解メッキ

湿式でリードレスでは、最終的には高速の無電解メッキ技術が必要です。
絶縁体の上に、何らかの方法で無電解メッキが付着させる必要があります。
それは、メッキの種になる物で必ずしも厚みや付着速度・効率は必要ありません。
しかし、その上に形成してゆく電気導体になる部分は、電力によって異なるが厚みが必要です。
しかも、現実の量産性を考えれば、コストや時間的な要素が重要です。
電解メッキは、電極の金属をメッキ溶液に溶融させて、それを反対の電極に金属として付着させます。
従って、電極金属の補給で対応出来ます。
無電解メッキでは、メッキ液自体の金属イオンが目的電極に付着するので、メッキ液自体が変化します。
それに対する対策が必要です。
何をどの様に補給するか、メッキ液自体の変化が形成する金属膜の性質に影響しないか等です。
無電解メッキが少量の研究では簡単で、量産には難しいとされたのはこれらの理由からです。
(2012/10/30)

電解銅箔と圧延銅箔

導体の銅は電子回路板の本質であり、その品質は極めて重要です。
例えば、ベース絶縁体との接着性・・剥離試験等・・は線膨張率の異なる材料であり需要です。
材料は銅と言っても、その純度や空洞の有無や粒界の相互密着性は、多くの性質に影響します。
例えば、クラックの発生や電気伝導率や線膨張率が変わる事があります。
電子回路板は、主に接続ケーブル的な用途ですが、他の導体と接触して電気的に繋がる必要があります。
接触相手は多岐に渡りますし、銅の上にメッキ等を施したり、半田で繋ぐ事もあります。
この時に、銅・銅箔のバルクと表面状態は大きく影響します。
純度が高いと全てが良い訳でないですが、一般に合金や不純物は導電体では伝導率を下げます。
また、粒界で構成されますが粒界の形状や大きさが、性質に影響する事は多いです。
銅箔には、金属ドラムに高速電気メッキで箔を形成する電解箔と、バルクの銅の塊を圧延機で箔上に薄くした圧延箔があります。
圧延箔が銅箔としては(使い易さは別です)品質は高いですが、アディティブ法は勿論電解銅箔であり、しかも形成に制約が多いく品質が劣りやすいです。
(2012/12/13)

ドライ・アディティブ法

電子回路板の製造は、ウエット方式(湿式)という液状中で行ってきました。
ドライ法は、研究・開発的には非常に向いていますが、量産には向いていないとされて来ました。
それは基本的に、真空技術の量産スケール稼働が必要だったからです。
電子産業で、半導体へのドライ・プロセスの普及から、技術開発が進みました。
液晶等での、透明導電体の形成や、透明電子回路形成が行われました。
そして、それのスケール拡大が進みました。
部分的であろうと、全体的であろうと、ドライ・プロセスでの量産が必要になりました。。
その中には、導電体の形成も含まれます。
ドライ・アディティブ法による、導電体電子回路形成が現実化しています。
もはや造船場レベルでしか、制作できない巨大な真空装置を使用しての製造機器になります。
無電解メッキのみが、アディティブ法ではない時代になっています。
(2013/01/27)

このページの先頭へ