アートワーク・製造設計・工程設計
作業分担から見ると、配線設計までを需要側で行い、それ以後の製造を専門メーカー・部門で行う事が多いです。
通常は以後の作業も、設計と呼びますが、実際は配線設計を終えた図面・仕様等に従って作業を行います。
これが設計か、製造かは意見が分かれます。
設計が自由に機能を実現する作業ならば、需用者の図面等に従いその範囲のみで製造を実現させる作業は、設計とは言えないとの考えもあります。
(2007/04/08)
アートワークは、技術か技能かしばしば問題になります。
少なくても、CAD化が進むまでは多くの経験を持った少数の人の手作業で行う特殊作業との認識でした。
これでは、個人による所が多く、技能なしで再現する事もなくマニュアル化もできません。
このような状態から移行したという意味で、コンピュータ化(CAD)は非常に大きい技術革命です。
コンピュータでのアートワークや、各種設計は基本はマニュアル化できます。
しかし、必ず例外事項や全てを満足できる解を得る事が出来ず、個人の能力で選択したり新しい設計指針を作り対応する事が生じてきます。
この部分の設計等は、いつまでも作業者の技術と技能と設計センスともいえる能力を必要とします。
(2007/06/05)
アートワーク・製造設計・工程設計は経験と個人のセンスを含めたきわめて微妙な作業です。
経験者と未経験者では全く理解が異なります。
そして、相互に繋がりがあります。
コンピュータ化は要求技術を変えましたが、必要な能力やセンスは変わりません。
ただし、実作業の習得に要する時間は極端に短縮しました。
それではセンスとは何でしょうか?。
実は不完全な図面から完全な回路図をイメージできる能力・回路図から製造工程や品質レベルをイメージできる能力です。
これには、絶えず実際の製造設備・工程・新装置・・・・その他の製造現場の情報を得る必要があります。
ところが、アートワーク・設計は専門職的な性格があり特殊な能力を持つ代わりに上記の情報が不足しがちです。
(2008/06/03)
製造ツール・ドキュメント・検査書
アートワーク・工程設計は、1度しか行いませんが、回路板の量産は繰り返し作業です。
したがって、繰り返し作業で同じ製品・機能・品質を作るためのツール・ドキュメント・検査表は重要です。
これらも、1度のみの作業になります。
従って、製造設計・工程設計と同様の扱いで行うのが合理的です。
(2007/04/08)
これらは、非常に大事な作業ですが、実はアートワークや製造設計・工程設計の内容で決まってしまう内容です。
逆に言えば、製造ツール・検査ツール・方法等の技術が向上すれば、直ぐに上記設計等に反映させる必要がありますし、これらが製作できない製造設計は結果としての製品コストや品質に影響を及ぼし致命的な問題となります。
従って、これらの担当と上記のアートワークや製造設計・工程設計の担当部門は同じにするか、作業的に密接な打ち合わせ・意見・技術交換が出来る状態にある必要があります。
(2007/06/05)
方法としてはいわゆるデザインレビューを念密に行う事があります。
これは全体の情報の共有化と、技術レベルの向上が期待できます。
欠点は、時間的に余裕が作りにくい・併行作業が行い難い等です。
別の方法は、製品設計・製造設計担当者を個々の製品に設けます。
その担当者がアートワーク・製造ツール・ドキュメント・検査書等の担当に指示・指導を行いながら進めます。
この方法は効率的には非常に良いです。
設計以外の担当が必要最小限の仕事と能力に限られますので新人・派遣・外注等が可能です。
逆に言えば、個別担当の設計へのレベルアップは通常の作業の中からは生まれません。
(2008/06/03)
工程設計に必要な情報
製品設計と工程設計は密接です。
同時に、製造技術と製造能力と品質管理と材料管理と工程管理・・・その他とも密接です。
情報はその時に集める事は、特殊例のみで、普段から各種標準類の収集と応用の準備が必要です。
工程設計は、製造から見るとトータル工数の最小化と、各工程の負荷の平準化になります。
前者は、基本は足し算ですから通常は簡単ですし、実は見積もりはこれに近いです。
したがって、製造から見ると後者の各工程の平準化が重要になります。
電子回路板の様に工数が多く、長い場合は工程設計で変えられる可能性が高く、重要です。
(2013/09/10)
工程平準化設計
通常は多数の製品を併行生産します。
1製品事に工程と、工数が必要ですが、そのトータルの工数が各工程に必要です。
工程毎の工数は、ある程度の変動に対応は出来ますが、限度を超えると大幅な見直しか、計画遅れが発生します。
見直しには時間は必要であるし、継続性の判断も重要です。
逆に言えば、工数が余る工程が生じる可能性も高いです。
工程設計者は、絶えず工程毎の工数の平準化を設計に盛り込む必要があります。
製品の工程毎の工数平準化は、生産の計画・安定や、受注傾向による納期のバラツキも減らします。
(2013/10/16)
新技術対応設計
製造工程と使用ツールと製造技術は、密接な関係があります。
新技術が開発されたり、新製造方法や装置が導入されると製造ツールや製造工程も影響される事が多いです。
それらはいきなり導入される事は希で、開発・試作を経て量産試作を行い導入されます。
設計部門や窓口部署は、開発・試作過程からツール製作や工程設計や試作作業で参加します。
そしてその多くは、その後の量産へ対応する事を前提にしています。
工程やツールが、新工程専用の時は、旧工程とは分離出来ますが、通常は重複利用期間を作る設計が望ましいです。
そして、その場合は決定されたツール仕様や工程仕様は、新旧共用になるように設計して、早期から量産品に対応させておくのが有効です。
(2013/12/10)