電子回路の材料

基本材料は、1:絶縁材料>ベース材料、2:導電体>主として銅、3:導体被覆材料=絶縁体です。
これに、露出導体部(外部との接続部)の表面処理材料、1:2:3等の材料の貼り合わせ材料、多層回路の場合の複数の導体間の接続材料、ヒートシンク材料、その他が有ります。
(2007/04/08)

絶縁材料>ベース材料

回路板は、被覆導線から進歩した形が出発ですので、基本構成は導体を2種類の絶縁体で挟んだものになります。
回路加工工程上は、ベース材料に導体を貼り合わせた構成で導体に電子回路を形成します。
従って、ベース材料は最終製品で絶縁体として機能すると共に、電子回路加工中及び最終製品で機械的な強度を受け持つ働きをもつ事となります。
絶縁体と言っても、特性は色々です。
また耐熱性、対燃焼性、その他要求機能は沢山あります。
そしてコスト面の要素も大きいです。
それらを合わせて、標準的な規格が作られています。
(2007/04/08)

リジッド板回路板の絶縁材料
一番標準的なのは、単層・2層(両面)のリジッド板でしょう。
当然ながら、要求特性から多くの材料が供給されています。
ただ、標準的な仕様にすれば非常に安価に入手できるので汎用として、「ベークライト」「ガラスエポキシ」「ガラスマット」「コンポジット(ガラス繊維+ガラスマット)の使用量が多いです。
材料の基本特性・規格は、国際規格・JIS規格等で定められています。
同時に各メーカーもそれを基本にしてカタログを作成しています。
規格自体が主な材料・特性を直ぐに分かるように名称を決めています。
「材質」「ガラス転移温度」「難燃性」が主な内容です。
「ガラス転移温度」とは高分子絶縁材料が固体的特性から液体的特性(実際は軟化する)へ移行する温度で、幅をもった温度範囲で次第に変わります。
当然ながら、使用(加工)温度とも関係します。時間的要素もあります。
「難燃性」は代表的には「UL規格」等で定められた、燃焼するか自己消化するかの特性を示します。
実用的には「厚み」「そり」その他カタログで調べる項目は多数ありますが、特殊な用途以外は実用的に問題があるカタログ値は無いといえるでしょう。
ただし、通常「実験値であり保証値ではありません」という注釈が入っています。
これは確認は必要です。
しかし、カタログに記載されていない各メーカー特有の特性がありますので、いわゆる「試作」を行って問題の有無を確認する作業は必要です。
意外と差があるのが、「加工性」です。
(2007/05/14)

フィルム基材回路板の絶縁材料
リジッド板以外にフィルム基材の回路板も多く使用されています。
目的は、その変形性の利用及び複雑な配線のミスを無くすための配線材料としてがひとつです。
用途によれば、回路板のコストダウンが目的の場合もあります。
例えば電卓用のメンブレン回路板は、フィルムのロール状での加工で製造コストの低下を目的にします。
また、フィルムの軽量性や薄さが目的の場合もあります。
モバイル用途では、回路板も軽量・薄型が必要です。また多層用途でフィルム基材を重ねる事もあります。
回路板とそれ以外の接続方法は多数開発されています。
フィルム基材として見れば、まずはその耐熱性が選択の項目です。
接続の一番多いのが半田接続です。
その場合は、半田の作業温度260度の耐熱性が必要になります。
フィルムでそれを持つのはポリイミド系のフィルムです。
高分子フィルムですのでその組成は類似した多数が存在します。
長く開発元のデュポン社の特許で独占的でしたが、特許の期限切れで多くのメーカーが参入しています。
ポリイミド系のフィルムの欠点はコストです。
組成が異なってもいずれも高価な材料です。
耐熱性が不要の場合は、ポリエステル系が多く使用されています。
こちらはフィルム価格は非常に安価ですが、回路板加工工程にも耐熱性が乏しいので制約があります。
この2種類のフィルムの中間的なものがないのが、フィルム基材の弱点とされる事があります。
フィルム基材では、導電体との貼り合わせ方法が問題です。
糊接着では、接着材の特性が重要になります。
直接張り合わすにはポリイミドフィルム製造の技術が必要です。
フィルム上に導電体を形成する時は、導電体の性質に制限が生じます。
(2008/12/22)

導電体

通常の回路板では、導電体は「銅」です。
最近は、色々な発展をしていますので用途・製法に従って多様化してます。
まずは「銅」です。
回路板では「銅箔」というべきでしょう。
そして、これにも複数の種類があります
ベース材料と銅との構成を作る方法として、アディテイブ法とサブストラクト法があります。
前者は、文字通りなにも無いベース材料の上に銅箔または銅電子回路を形成する方法です。
近年進歩が激しいですが、歴史的には後者が主体です。
サブストラクト法は文字通り、全面の銅箔材料から出発してエッチングで不要な銅を除き電子回路を作る方法です。
この時の銅箔形成方法も複数ありますが、初期から銅箔を貼り合わせる方法が古くからある標準的な方法です。
銅箔貼り合わせ方法は、銅箔単体を製造するので機能・コストの異なる色々の種類の銅箔の品揃えが出来る事があります。
従って、銅箔の選定作業も重要になります。
(2007/04/08)

一般的な回路板の導電体は「銅」です。
この中でも「銅箔」をエッチング加工して回路を形成する方法が基本です。
銅箔は製法上は、「電解法」>「電解銅箔」と「圧延法」>「圧延銅箔」に別れます。
電解銅箔は、チタン等の回転ドラムに銅メッキを行い厚みが設定に達した物をロール状に巻き取って製造します。
装置的に簡単で作り方は容易ですが、性能的には「厚みがコントロールしにくい」「高速メッキの為に箔がポーラスになる」「ポーラス部にメッキ液が残り自然放置でも腐食する(絶縁体との高温の貼り合わせや、回路加工した場合は多くの洗浄工程・乾燥工程を通りかつ除去する銅の面積が多いので腐食が起きる事は基本的にはありません。)」「厳密には完全な連続メッキではない為に層間剥離力が劣る」等の欠点が有ります。
また用途がフレキシブルの場合は、メッキ多結晶粒塊の集まりのため折り曲げに弱い欠点も有ります。
逆に工程が単純な為、コストが低い事や粒塊表面の凹凸で絶縁体との接着力が出やすいなどの長所があります。
圧延銅箔は、巨大な圧延放置が必要です。
放置に銅の塊を入れて徐々に箔上にのばしてゆきます。
温度・圧力その他多くの制御が必要な巨大産業です。
理論的に銅の量と、完成銅箔長さが比例するので厚みのコントロール精度は高いです。
元の粒塊は長く押しつぶされているのでポーラス部も無くなり折り曲げにも強くなります。
いわゆる装置産業生産のため、電解銅箔よりも高価で表面に凹凸が無いために絶縁体との接着力を上げるには、工夫が必要です。
圧延直後は歪みがかかっているので、アニールと呼ばれる加熱工程が必要です。
絶縁体との貼り合わせや回路加工工程でこの加熱工程がある場合は、圧延直後の銅箔を使用します。
それぞれ「アニール箔」「アズロール箔」と呼びます。
(2007/05/15)

導体被覆材料

被覆材料は、多くは「カバー材」「カバーコート」「カバーレイ」などと呼びます。
被覆する方法や材質で呼び方が異なります。
多くは、導電体の電子回路を形成したあとで表面に露出しない部分を絶縁体で覆います。
部分的に被覆部がない物を塗布・貼り合わせ・熱硬化等の手段で最終的には固体状・膜状の被覆を形成します。
一般に、ベース材料よりは絶縁性に劣る場合が多く使用条件によっては被覆材料・方法の選択は回路板全体の特性を決まる重要な要素となります。
(2007/05/02)

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