CAD化について:電子回路の製品設計技術

現在はコンピュータ・パソコンが普及しています。
これらは電子回路板が部品となる製品の大きな例でもあります。
CAは、コンピュータ・エイディドの略でコンピュータに助けられて・利用してのような意味があります。
従って、その後に何をに当たる部分を加えると多くの略号が出来ます。
CATは、teaching で教育、manufacturing で生産となります。
設計はデザイン(design)で、CADとなります。意味的には広い設計全般に適応されます。
一番最初でかつ進んでいるのが、回路の論理結線や実際の回路板のデザインのアートワークです。
この狭い意味で、CADと言う意味を使用する事も有ったようです。
確かに、この部分の進歩は非常に大きいし、設計作業の中心的でもあります。
現実にその部分を足がかりに、設計作業全般にCAD化を広げてゆく場合も多いです。
(2008/11/04)

自動結線

論理結線図は、単純に電気的な接続に限っても可否を保証していません。
過去は、そこから目標とする回路板条件で実現する作業は人間が行っており職人芸ともいえる知識と経験を必要としていました。
目標条件を設定すれば、回路板条件で結線が可能か調べ、現実の可能な結線図を出力します。
その精度は日々向上しています。最新情報は極秘なのでしょうが100%に近いでしょう。
それでは不可能と判定された時は、精度に問題が有るときは人間の見直しになりますが、精度が高いときは目標とする回路板条件の変更での再結線か、条件の見直しになります。
目標条件とは例としては、・2層を3層にするとか、・0オームのジャンパーを利用するとか・・色々とあります。
ここも大きなノウハウとなっています。
日々技術とノウハウが進歩しているジャンルで、現場の人間でないと実状についてゆけないのが現状ですし、その内容が公表されにくいのも事実です。
(2008/11/04)

マスク原図作製

電気結線図から、フォトマスクを作製するためのデータ・原図を製作するのもキャド化で大きく進歩しました。
それ以前は幅の異なる赤・黒等のテープを使用して手作業での原図作製が主体でした。
文字通りのアートワークで、職人技ともいえます。
透明フイルム上に作られた原図をカメラワークで縮小と複製並べを行い、マスクを作りました。
透明フィルムと色付きフィルムを貼り合わせたものにハーフカッターで結線パターンを作る機器も一部使用されていました。
キャド化されると、・データをフォトプロッターで描く方法と、・上記の貼り合わせフィルムを自動プロッターでカッティングして原図を作る方法に別れました。
現在は主流の、ベクトル-デジタル変換して高速でスキャンさせる「レーザフォトプロッタ」はコンピュータの記憶容量が増えて大量のデータをデジタル変換してピクセル単位で黒白に塗り分ける技術が発達してからです。
フォトプロッター用のデータと、カッティング用のデータは異なりますがキャドには変換プログラムが付属している場合が普通でした。
もし変換が出来ないならばキャドで原図を作製する前に方法を決めておく必要があります。
それは、キャドの製図作業を「幅なし線(境界線)」「幅付き線(タレット)」で行うかの違いです。
作業的に長短ありますがそれは重要な選択です。
(2009/02/05)

幅なし線(境界線)

電子回路板の電気回路パターンの原図は、写真で言えば白と黒の部分に塗り分ける作業です。
ポジで作業するのが人間は理解しやすいですので導電部を黒、絶縁部を白に塗り分ける事が多いです。
ただし、CADを使用してのアートワークでは、塗り分け方法に境界線を幅なし線で描く事で製作する事も多くあります。
理由としては、一部の安価なCADソフトでは幅付き線をサポートしていないか線種(タレット)の数に制約があります。
従って幅なしの境界線を使用する必要があります。
次に規模の小さい回路では、平行線機能を使用すると直感的に分かりやすく作業が出来ます。
そして、最大の利点は信号線のみではなくベタ導電部が存在する場合は、幅付き線では広い面積部の塗りつぶしは意外と大変な作業ですし、塗り忘れを見落とす可能性があります。
あとは、CADデータをどの様に利用するかの問題です。
カッティング用のデータとして使用する時は幅なし線に変換する必要があります。
なお、データの通信や記憶メディアでの送付時には、幅なし線を一時幅付きに変換して行います。
(2009/05/28)

線種(タレット)

コンピュータを利用するアートワーク以前は、メインは幅付きの専用テープをプラスチック(透明+罫線)に貼り合わせて電子回路を形成していました。
勿論、アース・パターン等の塗りつぶし目的等には境界線方式も併用はします。
この方法は、作業時間が長いですしやり直しが簡単には出来ません。
テープ貼り作業前の厳密な計算と、電気回路になるテープ幅の選定が極めて重要です。
特殊な場合を除いて、テープ幅は一定の規格で飛び飛びに作られています。
アートワーク原図が、拡大図であり写真技術で縮小するとしても、完成マスクの回路幅はある程度の規格幅に制約されます。
このアートワーク用テープを、線種(タレット)という幅付き線に変えた方法もアートワークの基本です。
タレットは、ソフト購入時にでデフォルトである程度は用意されています。
しかし、コンピュータの記憶容量等の向上とともに多くの設定が可能となりました。
作業者が許容範囲で自由に新しく追加設定することもできます。 勿論、既に設定済みで未使用のものを変更する事も可能です。
タレット使用の有利な点は、アートワークで重要な回路パターン幅=導電部幅=電流容量)を間違えにくい事です。
直角・平行の回路は別にして、曲線が多く存在する回路では曲線部のパターン幅の配線は間違い易いです。
また、多層回路板の場合の層間接続部のような複数の要素を部品化して使用する時に、幅付き電極パターン等は分かり易く使用しやすいです。
(2009/10/24)

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