銅貼回路材の銅箔

銅貼回路材を購入して加工する時は、銅箔は基材の仕様となります。
選定に際して、重要な項目になります。
種類・厚み・アニール度などの基本特性は最低限必要です。
回路板に特殊な特性を要求する場合は、詳細な検討とテストが必要です。
銅箔を購入して、基板と貼るなどの回路材製作から行う場合は重要材料扱いです。
アデティブ法では、自作と同じなので材料開発と同じ考えが必要です。
市販の銅箔には、国際規格や各国の規格があります。
それは最低限で、メーカーのカタログ値に疑問があれば個々の交渉もありえます。
導電体として、回路板と外部との接続部分として銅箔は重要です。
(2015/08/01)

銅箔の製法による分類

銅箔の製法は、基本は「電解法」と「圧延法」があり、「電解銅箔」「圧延銅箔」と呼びます。
電解法は、チタン等の金属ドラムを電解メッキ浴内で回転しながら、メッキさせて目的の厚みで剥離して巻き取ります。
装置はあまり大きくないですが、厚みのコントロールや付着銅の組成等の安定性はコントロールが難しい。
電解メッキそのものだから、その性質は引き継ぐ事になります。
厚付けメッキで浴の銅は減るので、追加は絶えず必要ですが、それでも安定性は難しい。
一方で圧延法は、銅の塊を大型の圧延装置で徐々に薄くして行きます。
次第に膜にして、最終的に銅箔を得ます。
装置は大きく技術も必要だが、製品の均一性や厚み制御は優れる。
バルクを伸ばして製造するので、電解箔とは全く異なる性質になります。
2種類の製法での銅箔の性質とコストの違いの理解が、機能性回路板の場合は重要になります。
(2015/08/01)

電解銅箔製造

金属を電気メッキで作る事の歴史は古く、出来たものは膜状です。
膜を厚付けすれば箔と呼べる厚さになりますが、通常は下地との歪みが発生して剥離します。
厚い膜が綺麗に剥離すると箔になります、当然にバッチ>単品ですが、ロール状にする発想が浮かびます。
そして作られたのが電解銅箔ですが、原理的には厚付け電気メッキが可能なものは作れる筈です。
現実は長尺化は簡単でなく、銅ではチタンドラムに高速電気メッキして回転させて均一化させます。
そして目的の厚みで剥離して巻き取る、これを可能にする為にドラムは鏡面で、剥離した銅もそれが転写される。
本当に長尺になるのかと思うが、見かけは可能な技術になっている。
厳密には異なる状態だと言うべきだが、それは使用目的で判断される。
高速電気メッキは電解浴の銅を消費するので、補給が必要だが、連続にしろ間欠にしろ浴成分は変動する。
それが銅膜にも反映されて、特性は変動する、用途の要求特性に入るかどうかで判断される。
(2015/09/30)

圧延銅箔製造

電解銅箔製造は小規模製造だが、圧延箔製造は大規模製造装置が必要です。
圧延技術は金属加工での基本技術の一つです。
平鋼板材料は、多くの金属用途の出発点でそれは金属塊を、巨大な圧延装置内で大がかりな制御で板状に伸ばします。
制御温度で加熱しながら、金属の塊を押しつけ伸ばしながら機械の間を通す事を往復で繰り返します。
そして設定厚さの鋼板を作ります、銅販も同様に製造しますが、それをもっと薄くする技術が箔製造です。
製鉄工場の延長上の巨大設備と、制御技術とが必要なのです。
投入材料の量に対して、出来上がる板や箔の量(長さ)は理論的に決まります。
その厚さ制御は測定のフィードバックで行いますが、箔になるとレーザー測長器使用が一般的です。
出発材料は電解金属が多いが、延伸すると粒界は押し伸ばされ薄く長くなり、バルクの性質から膜の性質になります。
電解銅箔と、圧延銅箔はその特性はかなり異なり、製法からコストも異なります。
(2015/11/30)

銅箔の加熱処理

金属の加熱処理は、焼き入れ・焼き鈍しを始め性質の変質方法として知られる。
銅箔は製法によらず、歪みが大きく掛かった状態だ。
それ故に、加熱処理で性質が変化する。
電子回路板はその製造過程で、基板製造・接着工程・ラミネート工程・半田処理工程・部品実装工程など加熱される事がある。
精密材料として見ると、導電体の銅箔の性質が変わって欲しくない工程もあるし、完成品用途もある。
その場合は、その工程以前に熱処理的に安定させる必要がある。
一番シンプルな考えは、銅箔単体での熱処理だ、通常はこれを終えるとアニール済み銅箔と呼ぶ。
その他には、基板製造工程の加熱でアニールされる銅箔や、回路板加工工程中でアニールされるタイプの銅箔がある。
工程中の加熱条件とその結果でアニールが終わるかの確認が必要だ。
回路加工後の出荷時にアニールが終わっていない場合は、実使用上の問題がない事の確認が必要だ。
(2016/01/29)

銅箔の表面処理

金属箔はその表面状態は重要だ。
箔状は、バルクと異なり表面の占める性質の影響が大きい、しかも表面は分子結合が不安定で通常は活性化されている。
安定な金属箔が使用量は多く、銅箔もその1つだが、箔はバルクとは異なる性質もある。
理由は色々でも、銅箔単体で使用しなく、何かと貼り合わせて使用するのが普通だ。
その場合は、接着面と露出面があるが、それぞれの表面状態への要望は異なる。
片面毎に異なる表面処理が出来るか、両面処理になるかは個別に異なる。
最初は、接着強度を高める表面処理が求められる、それには防錆処理の事もあれば、接着面を大きくする処理もある。
接着面を大きくする処理とは表面を荒らす処理だ、化学的なメッキやエッチング処理と、物理的な研磨や荒らす処理が主流だ。
実験レベルでは多数あるが、商業的には限られ、箔の供給者が行う事はもっと限られる。
それは、供給・時間経過で効果が落ちない処理で採算性が高いものに限られる。
(2016/03/29)

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