電子回路の製造技術:回路被覆工程
電子回路板の製造工程の、重要工程に電気回路のパターンを被覆する工程があります。
この工程によって、電気回路が外部と絶縁されます。
この工程は、回路材の銅の劣化・酸化を防ぐ役目もあります。
絶縁被覆材料は多数あり、それぞれに異なる方法・工程があります。
銅回路の被覆は絶対に必要ではありませんが、比率的に基本的な工程と言えるでしょう。
(2010/12/05)
被・被覆部の密着処理工程
絶縁体の被覆は、電子回路を形成した回路板の上に施します。
機能的な要求は多数ありますが、被覆層の密着性は基本的に重要です。
被・被覆部の材質は、多種類あります。
銅を取り除かれた部分は、ベース材すなわち絶縁材・絶縁材と銅との接着材のいずれかがほとんどです。
逆に言えば、ベース材または接着材の種類だけ被覆材との密着性の良否があります。
全ての相手側に対して、万能な被覆材は無いと思う必要があります。
銅回路部との、密着性も需要です。
絶縁材と、金属の銅とは性質が異なりますから、双方ともに密着性が良い材料は多くはありません。
性質的に予想できることは、ベース材と被覆材は絶縁材どうしでたぶん相性は良いであろうという事です。
ベースと銅の接着材も、多くは類似材料ですので、多くはまずまずの相性でしょう。
しかし、金属の銅との相性は工夫が必要です。
ひとつは耐熱性・温度係数・屈曲性等の物理的性質の差です。
それ以前に、まずいかなる方法で被覆するかが重要です。
工程により加熱や圧力、乾燥など色々なひずみがかかります。
工程のひずみを少なくするために、銅の表面を接着処理するなどの緩和策がとられます。
(2010/12/05)
レジストレーション
電子回路板の製造工程では、各所に位置合わせ工程があります。
2種類のもの(あるいはそれ以上)を、位置合わせして重ねあわす工程です。
製造方法や回路の種類によらずに、殆どの種類で存在するのが、被覆工程です。
位置合わせは、その精度が重要です、人の技術に頼っていた時期から次第に機械化・コンピュータ化されてきています。
この位置合わせを、英語で「レジストレーション」という言葉を使う事が多いです。
位置をあわせて重ねあわす作業と、その精度です。
そして、その作業のずれは、「ミス」をつけて表します。
「ミス・レジストレーション」「ミス・パンチング」「ミス・カット」等です。
被覆工程では、非被覆部を如何に設計位置どうりに位置合わせできるかが重要です。
フィルム上のオープン部が存在する材料を重ね貼りするとき、貼り合わせてからフォトマスク等で取り除く工程。
液状被覆材料をスクリーン印刷するとき、も同様です。
ひとつは耐熱性・温度係数・屈曲性等の物理的性質の差です。
一つ前の工程に、回路パターンの形成がありますから、被覆は重ね加工になります。
難しい工程と言えますから、被覆材を設けない回路も存在します。
ただし、寿命や絶縁や部品実装等の機能面からは現在では、殆ど必須になっています。
(2011/02/03)
液状レジスト・被覆
被覆材料として、液状材料があります。
粘度調整>パターンスクリーン等で印刷>乾燥という工程です。
スクリーン印刷という方法が主流です。
スクリーン材料は、メタルスクリーンと、メッシュ状へのレジスト塗工スクリーンがあります。
双方ともに、材料やスクリーンの製法や種類は多数あります。
同時に、印刷精度は面積・製品ギャップ・レジスト特性・印刷機性能等に依存します。
コスト的には、面積の広いメッシュの荒いスクリーンが有利ですが、精度上は逆になります。
スクリーン上に、レジストを転写するパターンを形成する方法は、フォト加工が主流です。
フォト加工ですから、フォトマスクを使用します。
被覆工程は、銅等の導電パターン形成後の工程ですから、印刷物には凹凸が出来ています。
その上に印刷する事は、なかなか精度は落ちやすいです。
液状レジストは粘性によって作業性や、形成厚みやシミだし等が異なります。
液状レジストの印刷工程は、一般論と個別ノウハウが必要な工程です。
対象の回路板にとっての、材料の選定も含めて重要な設計ポイントです。
(2011/03/23)
フイルム状材料の被覆
フイルム状の材料で被覆する事は、絶縁性と対機械的摩耗性に優れています。
あまり使用されない理由は、技術的な難度が高い事と、コストが高い事があります。
フイルム状材料にも色々あります、フィルムを接着材で接着する場合が主体です。
次に、作業上はフィルムであるが、最終的には作業用のフィルム部分を取り除く場合です。
また、フイルム状材料自体が接着性の性質を持つ場合もあります。
もしフイルム状材料を、貼り合わせた後で部分的に銅回路を痛めずに取り除く方法が無ければ、全て貼り合わせ前の加工が必要です。
回路には、外と接触する部分が必要ですので、そこに対応する被覆材は貼り合わせ前に取り除く必要があります。
その方法には、通常は金型打ち抜きとドリル加工があります、最近はレーザー加工も選択肢になっています。
ドリル加工には、形状の制限がありますし、レーザー加工はコストの問題があります。
金型加工は通常ですが、専用金型と加工プレス等の設備が必要です。
その結果、性能に優れかつコストが高くても、選択出来る用途に限定されます。
例えば、フレキシブルなプリント回路板や多層板や小型で、非被覆部分が小さいか位置精度が要求される用途です。
一言で言えば高級用途、特殊特性が必要な用途に限られます。
性能にはアウトガスの量(有無)もあります、例えば電子機器(ハードディスク等)では回路板から出るガスの量が大きな問題です。
(2011/11/05)