雑誌・幻影城のベスト99(74-84)
74.海の牙
水上勉
今では推理小説のイメージがほとんどない作者の初期の作品です。いわゆる社会 派推理に分類される小説です。初期はこの系統が多く、次第にミステリ要素より も叙情・人情を主題にした小説が増えて、推理小説とは離れました。本作は、水 股病をそれほど知られていない時期に、訴えた代表作です。事実から取材して書 いた作品が多い事からも、このジャンルに拘る事には限界があったとも思います。
75.虚像
大下宇陀児
未読です。
75.石の下の記録
大下宇陀児
2004年1月5日の日記参照。
75.危険な関係
新章文子
現在で言えば人間心理と人間関係の謎をサスペンスタッチで描いたと感じます。 第5回江戸川乱歩賞作ですが、当時の評を読むと「ユーモア」「ハードボイルド」 等の言葉がでてきます。いささか、意味が分かりませんが作品自体は現在でも面 白いといえます。このタイプの作品ではしばしばですが、事件が後半でようやく 起きるので本格推理小説好きの人には向かないかもしれません。
78.黒の試走車
梶山季之
未読です。
78.背徳のメス
黒岩重吾
多方面で優れた作品を書いている作者の直木賞作です。社会派推理ともハードボ イルド推理とも言えます。また、医学推理・二重人格推理でもあります。全体が 融合して成立しているので、無理にジャンル分けは無理で必要ないと思います。 謎の要素は薄いですが、被害者=探偵=復讐の犯人の複数構成はその後度々使わ れています。その面での興味もあります。
78.五十万年の死角
伴野朗
江戸川乱歩賞第22回受賞作です。2004年3月作者の訃報に接したばかりで この後続出する歴史ミステリの一つとして、特に中国・東アジアを舞台にした作 品が多い特徴は、作者の得意の分野でもあります。歴史の謎とサスペンスを基調 としているために謎の深さや本格味は薄いと感じられますが、読んで面白い作品 であり、事実と虚構の混合と言う面でも特徴的な作風です。
78.密航定期便
中薗英助
スパイ小説に深く関わってきた作者です。以前は日本を舞台にする事があまり多 くないときもありました。本作の舞台は、対馬付近です。舞台はどこでも小説的 には変わりありませんが、地名等になじみがあります。エンターテイメントに、 留まらずに現実の国際情勢を取り入れ、その後の展望まで入っているため海外で も訳されて読まれているとされています。
78.金狼
久生十蘭
未読です。久生は大ファンで多く読んでいますが、なぜか本作は未読です。
78.仮面法廷
和久峻三
推理小説を書くために弁護士になったとも言われる作者です。法律小説になって しまっている物もありますが、推理と情報とがバランスした作品も多くあります。 乱歩賞受賞の本作は、法律があまり全面に出さず、真相には大きくかかわる構成 でそのバランスは優れています。犯人の設定はある意味では意外であり、そこに は法律的知識が関わっています。
84.日本一周カーラリー殺人事件
石沢英太郎
短編の名手である作者は、後期には次第に長編も手がけました。ただ、短編程の 他の作家を凌駕する切れ味は出すことが出来ませんでした。本作は初期の長編で 探偵役が自動車レースの盲人ナビゲータと言う設定になっています。全国岬巡り レースに紛れ込んだ容疑者を捜します。作品自体より、作家のファンが多かった などと言うと怒られそうです。私もその一人ですが。
84.支倉事件
甲賀三郎
未読です。
84.女相続人
草野唯雄
色々なスタイルの数多くの作品を書いている作者です。現在ではユーモア味を、 特徴とされる場合もあります。本作は初期の作品ですが、紛れもなく純本格推理 小説で完全に直球勝負です。優れた作品ですが、逆に伝統的で特徴がないとも言 えます。安定して、多くの作品を発表していますがその質・量からは評価は似合 った物とはいえない作家の一人です。
84.からみ合い
南條範夫
未読です。
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水上勉
今では推理小説のイメージがほとんどない作者の初期の作品です。いわゆる社会 派推理に分類される小説です。初期はこの系統が多く、次第にミステリ要素より も叙情・人情を主題にした小説が増えて、推理小説とは離れました。本作は、水 股病をそれほど知られていない時期に、訴えた代表作です。事実から取材して書 いた作品が多い事からも、このジャンルに拘る事には限界があったとも思います。
75.虚像
大下宇陀児
未読です。
75.石の下の記録
大下宇陀児
2004年1月5日の日記参照。
75.危険な関係
新章文子
現在で言えば人間心理と人間関係の謎をサスペンスタッチで描いたと感じます。 第5回江戸川乱歩賞作ですが、当時の評を読むと「ユーモア」「ハードボイルド」 等の言葉がでてきます。いささか、意味が分かりませんが作品自体は現在でも面 白いといえます。このタイプの作品ではしばしばですが、事件が後半でようやく 起きるので本格推理小説好きの人には向かないかもしれません。
78.黒の試走車
梶山季之
未読です。
78.背徳のメス
黒岩重吾
多方面で優れた作品を書いている作者の直木賞作です。社会派推理ともハードボ イルド推理とも言えます。また、医学推理・二重人格推理でもあります。全体が 融合して成立しているので、無理にジャンル分けは無理で必要ないと思います。 謎の要素は薄いですが、被害者=探偵=復讐の犯人の複数構成はその後度々使わ れています。その面での興味もあります。
78.五十万年の死角
伴野朗
江戸川乱歩賞第22回受賞作です。2004年3月作者の訃報に接したばかりで この後続出する歴史ミステリの一つとして、特に中国・東アジアを舞台にした作 品が多い特徴は、作者の得意の分野でもあります。歴史の謎とサスペンスを基調 としているために謎の深さや本格味は薄いと感じられますが、読んで面白い作品 であり、事実と虚構の混合と言う面でも特徴的な作風です。
78.密航定期便
中薗英助
スパイ小説に深く関わってきた作者です。以前は日本を舞台にする事があまり多 くないときもありました。本作の舞台は、対馬付近です。舞台はどこでも小説的 には変わりありませんが、地名等になじみがあります。エンターテイメントに、 留まらずに現実の国際情勢を取り入れ、その後の展望まで入っているため海外で も訳されて読まれているとされています。
78.金狼
久生十蘭
未読です。久生は大ファンで多く読んでいますが、なぜか本作は未読です。
78.仮面法廷
和久峻三
推理小説を書くために弁護士になったとも言われる作者です。法律小説になって しまっている物もありますが、推理と情報とがバランスした作品も多くあります。 乱歩賞受賞の本作は、法律があまり全面に出さず、真相には大きくかかわる構成 でそのバランスは優れています。犯人の設定はある意味では意外であり、そこに は法律的知識が関わっています。
84.日本一周カーラリー殺人事件
石沢英太郎
短編の名手である作者は、後期には次第に長編も手がけました。ただ、短編程の 他の作家を凌駕する切れ味は出すことが出来ませんでした。本作は初期の長編で 探偵役が自動車レースの盲人ナビゲータと言う設定になっています。全国岬巡り レースに紛れ込んだ容疑者を捜します。作品自体より、作家のファンが多かった などと言うと怒られそうです。私もその一人ですが。
84.支倉事件
甲賀三郎
未読です。
84.女相続人
草野唯雄
色々なスタイルの数多くの作品を書いている作者です。現在ではユーモア味を、 特徴とされる場合もあります。本作は初期の作品ですが、紛れもなく純本格推理 小説で完全に直球勝負です。優れた作品ですが、逆に伝統的で特徴がないとも言 えます。安定して、多くの作品を発表していますがその質・量からは評価は似合 った物とはいえない作家の一人です。
84.からみ合い
南條範夫
未読です。
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選ばれた作品の感想です。
あくまでも主観的なものです。
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