「探偵小説研究会」の国内本格ミステリのランキング(31-40)
31:ウロボロスの偽書
竹本健治
読者や現実を巻き込むとメタミステリに分類される事がありま す。本作はこの作者のシリーズの最初でミステリ界の裏話とも 受け取れない事はありません。作中の作者の竹本健治が書いて いる芸者シリーズがまた面白いというか、こちらを楽しむ人も います。このジャンルには完成形が存在するのかどうか不明で す。ひとつのスタイルを持った作品と思います
32:キッド・ピストルズの妄想
山口雅也
正直言って、このシリーズは優れていると思いますが、どの題 名が何番目で何が収録されていたか忘れています。レベルは高 いが飛び抜けて記憶に残る作品は多くはないという事でしょう。 これは短編集の宿命でもあります。逆に、次々に登場する事は 選者には区別が出来ていると言うことで、すっきりしない面は あります。
33:百舌の叫ぶ夜
逢坂剛
影の存在の「百舌」を主人公にした作品の一つです。この作者 としては、少数派に入るジャンルですが内容は凝っており、他 の作品にも見られるサスペンス感が、強く打ち出されていて、 印象に残ります。分かったようで分からない「百舌」の存在は 作者の充分な計算の上にあり成功しています。
34:放課後
東野圭吾
次々と好作を発表する作者のデビュー作です。構成としては、 オーソドックスで、以後次々と実験作を発表する作者の面影は まだ見られません。逆に、意外な結末を持たせて、正統的な手 法で謎とその解明を描いた内容は、無難を通りこして既に、安 定性を感じさせます。
35:大誘拐
天藤真
独特の作風で固定ファンを持つ作者が広く名前が知られた作品 です。従って特別な代表作ではありませんが、そのユーモアと スケールの大きい内容は多くの読者に印象を残しました。基本 は本格ですが、早くから犯人側からも描く手法を取り、それに よるサスペンスを加えて、作品により強い個性を出す事に成功 しました。本作はその成果の大きい一つです。
36:絃の聖域
栗本薫
多作家の作者のデビュー作です。容易周到に書くよりも、書き ながら考えてゆく書き方です。したがって、本格にはやや不向 きとも言えます。雑誌連載>中断>時間をおいて書き継ぎ完成 させた本作は、沢山だった伏線のいくつかが使用されずに残る 事になりました。作者も自認ですが、やむをえないとも言えま すが、完成度で劣ると言わざるを得ません。もって生まれたス トーリーテラーですので内容的には豊富です。
37:退職刑事
都筑道夫
ジェームス・ヤッフェの作品を目標として書かれた、完全な安 楽椅子探偵物のシリーズです。選考が1作目を指すのか、シリ ーズを指すのかは不明ですが、シリーズの初期ほど良い作品が 多いのはシリーズ作の宿命でしょう。息子の刑事が、退職した 父の元刑事に事件を話し、その話だけで解決してゆきます。多 ある類似設定作のなかでも、代表的な安楽椅子物です。
38:ぼくらの時代
栗本薫
江戸川乱歩賞作品です。あとで2作書かれて、3冊のシリーズ になっています。栗本薫という青年が登場します。(作者は女 性)これも本格ですが、本格としてはあまり面白くない内容で す。発表当時の時代性を反映している点を評価されたと思いま す。作者はこの後、本格を含めて幅広い分野で活躍しますが、 印象的には本格分野は印象が他よりも弱いです。
39:翼ある闇
麻耶雄嵩
特異な作風で読者を煙にまく作者のデビュー作です。今に思え ば一番すなおな作品ですが、読んだ時はかなりけれんの多い作 と感じました。でも全くの序章でした。複数の主人公・死んだ 探偵の再登場(設定年の順序の影響)という紛らわしさの始ま りでもありました。本作のみで作者の多くを知ることは出来な いと言っておきましょう。
40:ぼくのミステリな日常
若竹七海
しだいにライトノベル的に変わってゆく作者の初期の作品です。 かなり個性的ともあくのある作品とも言えます。本格ミステリ を目指しているようですが、変化技が多く謎を解いてみろ的な イメージが表面に出てきていません。影の本格ミステリとの表 現はあまりにも、個人的な感想ですが少なくても直球勝負とは いえないと感じます。
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竹本健治
読者や現実を巻き込むとメタミステリに分類される事がありま す。本作はこの作者のシリーズの最初でミステリ界の裏話とも 受け取れない事はありません。作中の作者の竹本健治が書いて いる芸者シリーズがまた面白いというか、こちらを楽しむ人も います。このジャンルには完成形が存在するのかどうか不明で す。ひとつのスタイルを持った作品と思います
32:キッド・ピストルズの妄想
山口雅也
正直言って、このシリーズは優れていると思いますが、どの題 名が何番目で何が収録されていたか忘れています。レベルは高 いが飛び抜けて記憶に残る作品は多くはないという事でしょう。 これは短編集の宿命でもあります。逆に、次々に登場する事は 選者には区別が出来ていると言うことで、すっきりしない面は あります。
33:百舌の叫ぶ夜
逢坂剛
影の存在の「百舌」を主人公にした作品の一つです。この作者 としては、少数派に入るジャンルですが内容は凝っており、他 の作品にも見られるサスペンス感が、強く打ち出されていて、 印象に残ります。分かったようで分からない「百舌」の存在は 作者の充分な計算の上にあり成功しています。
34:放課後
東野圭吾
次々と好作を発表する作者のデビュー作です。構成としては、 オーソドックスで、以後次々と実験作を発表する作者の面影は まだ見られません。逆に、意外な結末を持たせて、正統的な手 法で謎とその解明を描いた内容は、無難を通りこして既に、安 定性を感じさせます。
35:大誘拐
天藤真
独特の作風で固定ファンを持つ作者が広く名前が知られた作品 です。従って特別な代表作ではありませんが、そのユーモアと スケールの大きい内容は多くの読者に印象を残しました。基本 は本格ですが、早くから犯人側からも描く手法を取り、それに よるサスペンスを加えて、作品により強い個性を出す事に成功 しました。本作はその成果の大きい一つです。
36:絃の聖域
栗本薫
多作家の作者のデビュー作です。容易周到に書くよりも、書き ながら考えてゆく書き方です。したがって、本格にはやや不向 きとも言えます。雑誌連載>中断>時間をおいて書き継ぎ完成 させた本作は、沢山だった伏線のいくつかが使用されずに残る 事になりました。作者も自認ですが、やむをえないとも言えま すが、完成度で劣ると言わざるを得ません。もって生まれたス トーリーテラーですので内容的には豊富です。
37:退職刑事
都筑道夫
ジェームス・ヤッフェの作品を目標として書かれた、完全な安 楽椅子探偵物のシリーズです。選考が1作目を指すのか、シリ ーズを指すのかは不明ですが、シリーズの初期ほど良い作品が 多いのはシリーズ作の宿命でしょう。息子の刑事が、退職した 父の元刑事に事件を話し、その話だけで解決してゆきます。多 ある類似設定作のなかでも、代表的な安楽椅子物です。
38:ぼくらの時代
栗本薫
江戸川乱歩賞作品です。あとで2作書かれて、3冊のシリーズ になっています。栗本薫という青年が登場します。(作者は女 性)これも本格ですが、本格としてはあまり面白くない内容で す。発表当時の時代性を反映している点を評価されたと思いま す。作者はこの後、本格を含めて幅広い分野で活躍しますが、 印象的には本格分野は印象が他よりも弱いです。
39:翼ある闇
麻耶雄嵩
特異な作風で読者を煙にまく作者のデビュー作です。今に思え ば一番すなおな作品ですが、読んだ時はかなりけれんの多い作 と感じました。でも全くの序章でした。複数の主人公・死んだ 探偵の再登場(設定年の順序の影響)という紛らわしさの始ま りでもありました。本作のみで作者の多くを知ることは出来な いと言っておきましょう。
40:ぼくのミステリな日常
若竹七海
しだいにライトノベル的に変わってゆく作者の初期の作品です。 かなり個性的ともあくのある作品とも言えます。本格ミステリ を目指しているようですが、変化技が多く謎を解いてみろ的な イメージが表面に出てきていません。影の本格ミステリとの表 現はあまりにも、個人的な感想ですが少なくても直球勝負とは いえないと感じます。
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「探偵小説研究会」ランキング。
選ばれた作品の感想です。
あくまでも主観的なものです。
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あくまでも主観的なものです。