「探偵小説研究会」の国内本格ミステリのランキング(21-30)
21:11枚のとらんぷ
泡坂妻夫
初長編です、従って「乱れからくり」よりもやや古いです。 秀作ですが、最初の作品に偏った選考には疑問があります。長 く幅広い長編群を書き続けている作者の他の作品はどうなった のでしょうか。ただ単に入手のしやすさだけの問題でしょうか。 トリックと技巧と拘りの作者の神髄は、多くの作品に接する事 で近づく事が出来ます。本作にもそれは現れていますが、まだ まだ始まりを告げるだけです。
22:警視庁草紙
山田風太郎
本作者が明治物を書きはじめたころは特に評判は高くなかった です。ただ年代を区切ると75年以降は明治物が殆どですので 選ぶとすれば選択の余地がなかったのでしょう。幅広いジャン ルで多くの作品を残している作者のごく一部を選ぶことしか出 来ない所に企画自体の問題があるとおもいます。ただし、ミス テリーで明治が多く取り上げられることになったのは、本作者 の功績であり、一連の作品群の重要さは変わることはありませ ん。
23:北の夕鶴2/3の殺人
島田荘司
推理小説は理科の教科書ではないにしても、あまりにも現実を はなれた内容は否定するべきです。その代表が本作です。本作 をベストに選ぶ人は、推理小説を語る能力自体に疑問がありま す。本作は物理トリック以外の部分を評価する人がいますが、 物理トリックの部分に致命的欠陥がある以上は、作品的に成立 は無理といわざるを得ません。
24:キッド・ピストルズの冒涜
山口雅也
これもパラレルワールドと言ってよいでしょう。この作者の世 界はいつも特殊です。これ自体が作品の、良否を決める訳では ありません。しかし、独自の世界を築いていると言って良いで しょう。ただ、その手法がどこまで長く続くのかです。どこか で作風の転換か拡大があると思われます。それは、通常以上に 重要な事だと本作者には言えます。
25:時計館の殺人
綾辻行人
館シリーズの第5作で、日本推理作家協会賞の受賞作です。 館を主人公にするには、その特殊建築性と必然性が必要です。 本作はこれを実現させる極めて大きな仕掛けと歴史が存在しま す。とても平均的とか無難とかからは離れた世界ですが、現実 とは言えなくても推理小説の世界での謎としては充分に成立す ると思います。
26:暗色コメディ
連城三紀彦
現在では幅広いジャンルで活躍している作者です。その出発は 推理小説からでした。数多くの名作を書いていますが、現在で も時々発表される推理小説は依然として高いレベルを維持して おり、本作者の才能の限界はおしはかる事が出来ません。推理 小説に関しては、トリックに前例があれば変更する・作品を廃 棄する・前例の作者に了解を取る等の徹底ぶりです。本作は、 初長編で多くのトリックが含まれていますが、上記の理由で版 が変わるたびに細部が変更されていると言われています。
27:明治断頭台
山田風太郎
未読です。
28:99%の誘拐
岡嶋二人
二人の合作のペンネームですが、現在はコンビを解消しており 片方の井上夢人が作品を発表しています。 本作者の作品群は日本の推理小説の歴史で特異な位置を占めて います。はっきりとした類似傾向の作者が、前にも後にも見つ かりません。高いレベルの作品ですので、後継者がいてもおか しくないと思います。本作は通信情報時代を先取りした誘拐物 で発表時の技術レベルでは驚く内容です。
29:クラインの壺
岡嶋二人
本作者はコンピュータや情報技術もののみを書いている訳であ りませんが、連続して並びました。本作者の特徴として幅広い ジャンル・テーマ・手法を使用している事がありますので、や や複雑です。本作に関しては、後の別の作者に影響を与えてい ると思います。ヴァーチャルリアリテイの世界は現在では非常 に多いです。
30:斜め屋敷の犯罪
島田荘司
昔はしばしば登場した、仕掛けのある家が本作で、再度登場し て普通に使われるようになりました。その面で、賛否が非常に 分かれた作品です。ただ、昔の作品を知らない読者が多かった のは作者に幸いしました。ただ、本格推理ベストにあまりにも 同じ傾向の作品が並ぶことに、選考に疑問を感じます。本作に ついては、復活のきっかけとしての評価と思います。
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泡坂妻夫
初長編です、従って「乱れからくり」よりもやや古いです。 秀作ですが、最初の作品に偏った選考には疑問があります。長 く幅広い長編群を書き続けている作者の他の作品はどうなった のでしょうか。ただ単に入手のしやすさだけの問題でしょうか。 トリックと技巧と拘りの作者の神髄は、多くの作品に接する事 で近づく事が出来ます。本作にもそれは現れていますが、まだ まだ始まりを告げるだけです。
22:警視庁草紙
山田風太郎
本作者が明治物を書きはじめたころは特に評判は高くなかった です。ただ年代を区切ると75年以降は明治物が殆どですので 選ぶとすれば選択の余地がなかったのでしょう。幅広いジャン ルで多くの作品を残している作者のごく一部を選ぶことしか出 来ない所に企画自体の問題があるとおもいます。ただし、ミス テリーで明治が多く取り上げられることになったのは、本作者 の功績であり、一連の作品群の重要さは変わることはありませ ん。
23:北の夕鶴2/3の殺人
島田荘司
推理小説は理科の教科書ではないにしても、あまりにも現実を はなれた内容は否定するべきです。その代表が本作です。本作 をベストに選ぶ人は、推理小説を語る能力自体に疑問がありま す。本作は物理トリック以外の部分を評価する人がいますが、 物理トリックの部分に致命的欠陥がある以上は、作品的に成立 は無理といわざるを得ません。
24:キッド・ピストルズの冒涜
山口雅也
これもパラレルワールドと言ってよいでしょう。この作者の世 界はいつも特殊です。これ自体が作品の、良否を決める訳では ありません。しかし、独自の世界を築いていると言って良いで しょう。ただ、その手法がどこまで長く続くのかです。どこか で作風の転換か拡大があると思われます。それは、通常以上に 重要な事だと本作者には言えます。
25:時計館の殺人
綾辻行人
館シリーズの第5作で、日本推理作家協会賞の受賞作です。 館を主人公にするには、その特殊建築性と必然性が必要です。 本作はこれを実現させる極めて大きな仕掛けと歴史が存在しま す。とても平均的とか無難とかからは離れた世界ですが、現実 とは言えなくても推理小説の世界での謎としては充分に成立す ると思います。
26:暗色コメディ
連城三紀彦
現在では幅広いジャンルで活躍している作者です。その出発は 推理小説からでした。数多くの名作を書いていますが、現在で も時々発表される推理小説は依然として高いレベルを維持して おり、本作者の才能の限界はおしはかる事が出来ません。推理 小説に関しては、トリックに前例があれば変更する・作品を廃 棄する・前例の作者に了解を取る等の徹底ぶりです。本作は、 初長編で多くのトリックが含まれていますが、上記の理由で版 が変わるたびに細部が変更されていると言われています。
27:明治断頭台
山田風太郎
未読です。
28:99%の誘拐
岡嶋二人
二人の合作のペンネームですが、現在はコンビを解消しており 片方の井上夢人が作品を発表しています。 本作者の作品群は日本の推理小説の歴史で特異な位置を占めて います。はっきりとした類似傾向の作者が、前にも後にも見つ かりません。高いレベルの作品ですので、後継者がいてもおか しくないと思います。本作は通信情報時代を先取りした誘拐物 で発表時の技術レベルでは驚く内容です。
29:クラインの壺
岡嶋二人
本作者はコンピュータや情報技術もののみを書いている訳であ りませんが、連続して並びました。本作者の特徴として幅広い ジャンル・テーマ・手法を使用している事がありますので、や や複雑です。本作に関しては、後の別の作者に影響を与えてい ると思います。ヴァーチャルリアリテイの世界は現在では非常 に多いです。
30:斜め屋敷の犯罪
島田荘司
昔はしばしば登場した、仕掛けのある家が本作で、再度登場し て普通に使われるようになりました。その面で、賛否が非常に 分かれた作品です。ただ、昔の作品を知らない読者が多かった のは作者に幸いしました。ただ、本格推理ベストにあまりにも 同じ傾向の作品が並ぶことに、選考に疑問を感じます。本作に ついては、復活のきっかけとしての評価と思います。
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「探偵小説研究会」ランキング。
選ばれた作品の感想です。
あくまでも主観的なものです。
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あくまでも主観的なものです。