「探偵小説研究会」の国内本格ミステリのランキング(11-20)
11:乱れからくり
泡坂妻夫
この年代範囲では初期の作品です。極めて直球のトリック小説 です。そのストレートさが、分かりやすいので代表作にあげる 人は多いです。広いジャンルの中でも本格推理が圧倒的に多い 作者ですので、入手のしやすさや分かり易さが上位にランクさ れていると思います。ベストに選ばれない作品でも、どこかで 誰かが代表作と評価していると思います。分かり易いと言って も謎は難しく、小説の構造が分かり易いだけですので間違わな いで下さい。
12:双頭の悪魔
有栖川有栖
同名の主人公(語り手)が学生時代と作家時代でかき分けてい る作者です。けれん味がなく、古き時代の本格推理小説を現代 の時代背景で継承していこうとする作者です。謎を論理的に、 解明してゆくのが特徴でしょう。本作は学生時代の3作目にあ たり、複数の謎が段階的に解明されてゆく趣向があり代表作と 言われています。個人的にはシンプルな前2作の方が好きでは あります。学生という事でこのシリーズは多くの作品は書かれ ないと言われています。
13:夏と冬の奏鳴曲
麻耶雄嵩
作品の分かり難さでは代表的な作者です。逆にそれ故の意外さ 面白さ・独創性は強く愛読者も多いと思います。ただ、上記の ためかかなりの寡作です。どの作品も一筋縄では理解出来ませ んが、その代表が本作です。この作品を理解して投票した人が 多くいた事に驚くとともに、投票者の理解力のバランスの悪さ から(他の作品を含めて)理解度に疑問さえ持ちます。本作を 紹介する事は全く理解できていない筆者には無理です。
14:十角館の殺人
綾辻行人
現在の新本格のきっかけとも言われる作品です。島田荘司の登 場と同じく賛否が分かれました。賛成派は登場人物の匿名(覆 面化)の新しい手法の見方です。一方、反対派はメイントリッ クが推理小説ではタブーとして扱われていた安易な内容だった ためです。結局、古くからの読者にはアンフェアとしか思えな い作品になります。現時点ではスタンダード的に読まれていま すがタブーを打ち破ったのか、一時的な物かは時間が決めれで しょう。
15:葦と百合
奥泉光
未読です。
16:頼子のために
法月綸太郎
さっそうと登場して、繋がりをもった作品を発表していつか長 編の発表が少なくなった作者です。作品自体は単独でも読めま すが、どうしても全作品を読んだ場合と印象に差がでるのは仕 方が無いでしょう。個人的には本作が上位に選ばれた事は意外 です。この作品は本当に完結しているのかと考えてしまう事も あります。同名の作中探偵(作家)がこの作品ぐらいから長編 を書かなくなった事も何か影響があったのではないかと余計な 憶測もしてしまいます。
17:遠きに目ありて
天藤真
時代的には雑誌発表は1970年代ですが、単行本になるのが かなり後になりました。仁木悦子の「青白い季節」に少しだけ 登場する親子を譲り受けて主人公にした連作集です。頭脳は優 れているが、身障者で家からでられない少年が探偵役です。し かし、捜査のためはじめて外に出たりまだまだ不便で不公平な 社会をも的確に描いています。謎もきっちりしており、本格の 醍醐味も味わえます。
18:ロートレック荘事件
筒井康隆
いちおうSF作家ですが、その描くジャンルは多彩でその作品の 全貌を掴む事は不可能に近いです。当然、推理小説もその中に 含まれます。内容はオーソドックスなものではなく、奇想によ る物で有ることは容易に予想できます。本作はその内容につい て書く事が好ましくない作品です。類似の構想はいくつか書か れていますが、特に強い印象を残すのは作者の筆力によるもの と思います。
19:殺戮にいたる病
我孫子武丸
デビュー作や腹話術師の話しでそのユーモアが特徴と思われた 作者ですが、最近ではホラー・近未来・ハードボイルド的な作 品が目立ちます。本作はその中間の時代に属する作品で、やは り内容について触れにくいです。そして作者の作品群の中でも やや特異な位置を占めています。
20:バイバイ、エンジェル
笠井潔
作者のデビュー作で、リアルタイムで読んだ者には強烈な印象 を与えています。このランキングでは、矢吹駆登場作では3番 目ですが、今の読者にはそのようになるのかなと感じます。ま ず探偵役はしばしば謎の多い特異な考え方をする人物がなりま す。しかし、哲学的でフランスを舞台に日本人ひとりで表現の しにくい考察方法で謎を解く探偵の登場は衝撃的だったとしか 言いようがありません。
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泡坂妻夫
この年代範囲では初期の作品です。極めて直球のトリック小説 です。そのストレートさが、分かりやすいので代表作にあげる 人は多いです。広いジャンルの中でも本格推理が圧倒的に多い 作者ですので、入手のしやすさや分かり易さが上位にランクさ れていると思います。ベストに選ばれない作品でも、どこかで 誰かが代表作と評価していると思います。分かり易いと言って も謎は難しく、小説の構造が分かり易いだけですので間違わな いで下さい。
12:双頭の悪魔
有栖川有栖
同名の主人公(語り手)が学生時代と作家時代でかき分けてい る作者です。けれん味がなく、古き時代の本格推理小説を現代 の時代背景で継承していこうとする作者です。謎を論理的に、 解明してゆくのが特徴でしょう。本作は学生時代の3作目にあ たり、複数の謎が段階的に解明されてゆく趣向があり代表作と 言われています。個人的にはシンプルな前2作の方が好きでは あります。学生という事でこのシリーズは多くの作品は書かれ ないと言われています。
13:夏と冬の奏鳴曲
麻耶雄嵩
作品の分かり難さでは代表的な作者です。逆にそれ故の意外さ 面白さ・独創性は強く愛読者も多いと思います。ただ、上記の ためかかなりの寡作です。どの作品も一筋縄では理解出来ませ んが、その代表が本作です。この作品を理解して投票した人が 多くいた事に驚くとともに、投票者の理解力のバランスの悪さ から(他の作品を含めて)理解度に疑問さえ持ちます。本作を 紹介する事は全く理解できていない筆者には無理です。
14:十角館の殺人
綾辻行人
現在の新本格のきっかけとも言われる作品です。島田荘司の登 場と同じく賛否が分かれました。賛成派は登場人物の匿名(覆 面化)の新しい手法の見方です。一方、反対派はメイントリッ クが推理小説ではタブーとして扱われていた安易な内容だった ためです。結局、古くからの読者にはアンフェアとしか思えな い作品になります。現時点ではスタンダード的に読まれていま すがタブーを打ち破ったのか、一時的な物かは時間が決めれで しょう。
15:葦と百合
奥泉光
未読です。
16:頼子のために
法月綸太郎
さっそうと登場して、繋がりをもった作品を発表していつか長 編の発表が少なくなった作者です。作品自体は単独でも読めま すが、どうしても全作品を読んだ場合と印象に差がでるのは仕 方が無いでしょう。個人的には本作が上位に選ばれた事は意外 です。この作品は本当に完結しているのかと考えてしまう事も あります。同名の作中探偵(作家)がこの作品ぐらいから長編 を書かなくなった事も何か影響があったのではないかと余計な 憶測もしてしまいます。
17:遠きに目ありて
天藤真
時代的には雑誌発表は1970年代ですが、単行本になるのが かなり後になりました。仁木悦子の「青白い季節」に少しだけ 登場する親子を譲り受けて主人公にした連作集です。頭脳は優 れているが、身障者で家からでられない少年が探偵役です。し かし、捜査のためはじめて外に出たりまだまだ不便で不公平な 社会をも的確に描いています。謎もきっちりしており、本格の 醍醐味も味わえます。
18:ロートレック荘事件
筒井康隆
いちおうSF作家ですが、その描くジャンルは多彩でその作品の 全貌を掴む事は不可能に近いです。当然、推理小説もその中に 含まれます。内容はオーソドックスなものではなく、奇想によ る物で有ることは容易に予想できます。本作はその内容につい て書く事が好ましくない作品です。類似の構想はいくつか書か れていますが、特に強い印象を残すのは作者の筆力によるもの と思います。
19:殺戮にいたる病
我孫子武丸
デビュー作や腹話術師の話しでそのユーモアが特徴と思われた 作者ですが、最近ではホラー・近未来・ハードボイルド的な作 品が目立ちます。本作はその中間の時代に属する作品で、やは り内容について触れにくいです。そして作者の作品群の中でも やや特異な位置を占めています。
20:バイバイ、エンジェル
笠井潔
作者のデビュー作で、リアルタイムで読んだ者には強烈な印象 を与えています。このランキングでは、矢吹駆登場作では3番 目ですが、今の読者にはそのようになるのかなと感じます。ま ず探偵役はしばしば謎の多い特異な考え方をする人物がなりま す。しかし、哲学的でフランスを舞台に日本人ひとりで表現の しにくい考察方法で謎を解く探偵の登場は衝撃的だったとしか 言いようがありません。
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「探偵小説研究会」ランキング。
選ばれた作品の感想です。
あくまでも主観的なものです。
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あくまでも主観的なものです。