「探偵小説研究会」の国内本格ミステリのランキング(1-10)
1:生ける屍の死
山口雅也
架空の世界の設定とその設定ならではの、謎と解明は推理小説 を遊びと創造と奇想の世界と考える人には、非常に興味のある テーマです。安易に考えると、何でも簡単にできそうに思えま すが制約が少ない程に期待も大きいのです。本作は死者が生き かえる世界での殺人事件です。この設定で一体何が起きるので しょうか?。設定の説明が簡単で、謎が深い、優れた作品です。
2:姑獲鳥の夏
京極夏彦
衝撃的なデビューと独自の世界で新風をおくりこんだ作者と作 品です。独自の世界自体が特徴であるので、これを評価するか は個人にゆだねられます。そしてそのミステリ度は作者には、 どうでも良い事のようにも思います。あえて言えば純推理小説 的には無理が感じられます。それは本作の読み方が違うと言う のが正しいのでしょう。
3:占星術殺人事件
島田荘司
突然現れた衝撃のデビュー作と言われています。本作について は一種の信仰のようなものがあり、正当な評価がされていない ように思います。本作の何が独創かといえば、特にないです。 しかし数学パズルの小説化・それに伴う細部の現実化・時代と 人物設定によるバランスの取り方等の組み合わせは、単発的な アイデアの独創よりも衝撃的です。
4:サマー・アポカリプス
笠井潔
史上でも珍しい哲学的な探偵役「矢吹駆」シリーズの第2作で す。リアルタイムに読んだ者には第1作を超える感動はありま せんが、後でまとめて読むとこのような評価になるのでしょう か。ただ連作ですので、第1作から読むことをお薦めします。 フランスを舞台にした、探偵を含めて謎の人物ばかりの作品で すが、久生・牧逸馬時代とは当然異なります。理解しにくい作 品群ですが、是非読むべきシリーズでしょう。
5:匣の中の失楽
竹本健治
内容の理解が難しい作品です。現在では半マンネリの特殊な構 成を評価する方向が強いです。個人的には雑誌掲載時に類似の 繰り返しを細切れに読まされたため、非常に印象も評価も悪い です。つくづく読む環境と時代と個人で異なると感じます。
6:亜愛一郎の狼狽
泡坂妻夫
このランキングは短編集を多く含みますが、これは短編集です。 和風チェスタトンとも言われた逆説と論理を展開する「亜」シ リーズ3集の第1集です。個人の好みは異なりますが、本格推 理短編集としては非常に粒揃いです。色々な場面で現れる探偵 役の推理は短編にぴったりのキャラクターです。そして、真価 は3集とも読む事でより明らかになるでしょう。
7:哲学者の密室
笠井潔
三部作と思っていたのが、続編が復活したのはやや驚きました。 それも初出の雑誌では、長い戦記シーンが続きましたので、意 表の展開でした。本作はこの部分と長さのボリュームに圧倒さ れて細部の印象は、逆に弱いです。推理小説の人工性・遊びと 哲学とは底辺で重なる部分があるように感じます。
8:霧越邸殺人事件
綾辻行人
館ものの印象が強い作者ですが、本作はシリーズではありませ んが同じ様な印象があります。ある種の見立て殺人と意外かア ンフェアかどうかが、個人での評価に関わります。昔からある タブー的なものを無視した新しい感覚と評価する事もできます。
9:空飛ぶ馬
北村薫
「日常の謎派」という言葉あるいは分類ができたのは、この作 品がきっかけでしょう。全てが推理小説の謎でつつまれた小説 、一方ではその謎が非常に薄く推理要素も論理的解決性が薄い 作品が存在しました。そこに小説のある部分では推理小説味が なく日常の描写をおこない、別の部分では論理的な推理小説を を展開します。結果的に一つのジャンルのようになりつつあり ます
10:戻り川心中
連城三紀彦
本作は短編集です。そして初出から幾たびか再版されて、最近 では収録作品が変わって来ています。元々は「花葬シリーズ」 として雑誌連載途中に、2作を残して雑誌が廃刊になり別の雑 誌に別の題名で掲載され、推理作家協会賞を受賞してから単行 本になったのですから仕方がないとも言えます。幸いな事に、 シリーズの全てが傑作といえる出来のため収録作が異なっても 評価は変わらないでしょう。推理小説の設定の限界を追い続け た歴史的作品群と言ってよいでしょう。
←「探偵小説研究会」の国内本格ミステリのランキング
山口雅也
架空の世界の設定とその設定ならではの、謎と解明は推理小説 を遊びと創造と奇想の世界と考える人には、非常に興味のある テーマです。安易に考えると、何でも簡単にできそうに思えま すが制約が少ない程に期待も大きいのです。本作は死者が生き かえる世界での殺人事件です。この設定で一体何が起きるので しょうか?。設定の説明が簡単で、謎が深い、優れた作品です。
2:姑獲鳥の夏
京極夏彦
衝撃的なデビューと独自の世界で新風をおくりこんだ作者と作 品です。独自の世界自体が特徴であるので、これを評価するか は個人にゆだねられます。そしてそのミステリ度は作者には、 どうでも良い事のようにも思います。あえて言えば純推理小説 的には無理が感じられます。それは本作の読み方が違うと言う のが正しいのでしょう。
3:占星術殺人事件
島田荘司
突然現れた衝撃のデビュー作と言われています。本作について は一種の信仰のようなものがあり、正当な評価がされていない ように思います。本作の何が独創かといえば、特にないです。 しかし数学パズルの小説化・それに伴う細部の現実化・時代と 人物設定によるバランスの取り方等の組み合わせは、単発的な アイデアの独創よりも衝撃的です。
4:サマー・アポカリプス
笠井潔
史上でも珍しい哲学的な探偵役「矢吹駆」シリーズの第2作で す。リアルタイムに読んだ者には第1作を超える感動はありま せんが、後でまとめて読むとこのような評価になるのでしょう か。ただ連作ですので、第1作から読むことをお薦めします。 フランスを舞台にした、探偵を含めて謎の人物ばかりの作品で すが、久生・牧逸馬時代とは当然異なります。理解しにくい作 品群ですが、是非読むべきシリーズでしょう。
5:匣の中の失楽
竹本健治
内容の理解が難しい作品です。現在では半マンネリの特殊な構 成を評価する方向が強いです。個人的には雑誌掲載時に類似の 繰り返しを細切れに読まされたため、非常に印象も評価も悪い です。つくづく読む環境と時代と個人で異なると感じます。
6:亜愛一郎の狼狽
泡坂妻夫
このランキングは短編集を多く含みますが、これは短編集です。 和風チェスタトンとも言われた逆説と論理を展開する「亜」シ リーズ3集の第1集です。個人の好みは異なりますが、本格推 理短編集としては非常に粒揃いです。色々な場面で現れる探偵 役の推理は短編にぴったりのキャラクターです。そして、真価 は3集とも読む事でより明らかになるでしょう。
7:哲学者の密室
笠井潔
三部作と思っていたのが、続編が復活したのはやや驚きました。 それも初出の雑誌では、長い戦記シーンが続きましたので、意 表の展開でした。本作はこの部分と長さのボリュームに圧倒さ れて細部の印象は、逆に弱いです。推理小説の人工性・遊びと 哲学とは底辺で重なる部分があるように感じます。
8:霧越邸殺人事件
綾辻行人
館ものの印象が強い作者ですが、本作はシリーズではありませ んが同じ様な印象があります。ある種の見立て殺人と意外かア ンフェアかどうかが、個人での評価に関わります。昔からある タブー的なものを無視した新しい感覚と評価する事もできます。
9:空飛ぶ馬
北村薫
「日常の謎派」という言葉あるいは分類ができたのは、この作 品がきっかけでしょう。全てが推理小説の謎でつつまれた小説 、一方ではその謎が非常に薄く推理要素も論理的解決性が薄い 作品が存在しました。そこに小説のある部分では推理小説味が なく日常の描写をおこない、別の部分では論理的な推理小説を を展開します。結果的に一つのジャンルのようになりつつあり ます
10:戻り川心中
連城三紀彦
本作は短編集です。そして初出から幾たびか再版されて、最近 では収録作品が変わって来ています。元々は「花葬シリーズ」 として雑誌連載途中に、2作を残して雑誌が廃刊になり別の雑 誌に別の題名で掲載され、推理作家協会賞を受賞してから単行 本になったのですから仕方がないとも言えます。幸いな事に、 シリーズの全てが傑作といえる出来のため収録作が異なっても 評価は変わらないでしょう。推理小説の設定の限界を追い続け た歴史的作品群と言ってよいでしょう。
←「探偵小説研究会」の国内本格ミステリのランキング
「探偵小説研究会」ランキング。
選ばれた作品の感想です。
あくまでも主観的なものです。
選ばれた作品の感想です。
あくまでも主観的なものです。