香落>下手・鳥刺し:1

香落>下手・鳥刺し:1

香落は、どの程度のハンデかは諸説あります。
少なくても、上手・下手共にある程度安定した実力が無ければハンデとは言えません。
実力があるどうしで、はじめてハンデと言えるでしょう。
ただ、角落以上と上手の作戦は決定的に異なります。
上手に多くの選択権があるので、上手の慣れ・向き不向きも大きく影響します。

上手には、居飛車からひねり飛車の作戦もありますが、多くは振飛車です。
振る位置は、中飛車から端飛車まで全てあります。
ただ向飛車はほとんど見かけません。

下手にも多くの選択肢があります。
左の香のない所を攻めるのが本筋ですが、無視して指せばいつかは影響が出るという考えもあります。
しかし捌き合うと香がない方が有利という説もあります。
下手相振飛車は、玉を囲った時の端から攻めてこないという考えです。
これも有望です。

とにかく、直接端を攻めて破れるという考えは、研究者向きですがいつも有望です。
得か損かは、このくらいのハンデでは個人差になります。

香落>下手・鳥刺し:1


香落の、下手居飛車急戦の最初が、珍しい「鳥刺し」というのは変則です。
実戦集であって、定跡集でないので、了解して下さい。

「鳥刺し」は元々は香落下手用に、四宮金吾という江戸時代の棋士が考案したと
されていますが、下手の主流戦法ではありません。
ただし、理論的には有望です。
1:角道を空けないので、上手の角交換の捌きを抑える
2:急戦なので、下手の弱い左端が弱点になりにくい
3:引き角は、上手の香のない弱点の1三を直接に狙っている
4:通常の居角定跡より、下手の銀が攻撃に参加できる
等です。

本局は、下手の急戦の成功例です。
飛で端歩を交換できれば、引き角と香が直接に1三に利き、破れ形です。
本局は上手がそれを気にしすぎて、銀損の順を見落としました。
その後、上手があばれますが、少ないハンデという事で下手が過信気味に
上手をきらしに行き、最終的に失敗しました。
長い攻防でしたが、上手が下手の4二成桂を取った時点で逆転しているでしょう。
その後は上手の安定した攻めが有利を拡大したと思います。