推理小説読書日記(2026/01)
2026年01月03日
三階に止まる<石持浅海>
2013年の作品集だ。連作ではなくて、個別の短編8作を集めた短編集だ。「宙の鳥籠」は書き下ろしで、「転校」「壁の穴」「院長室」「三階に止まる」はアンソロジーに 発表した短編で、「ご自由にお使い下さい」「心中少女」「黒い方程式」は雑誌に掲載された短編だ。
2026年01月03日
うたかた 吉原面番所手控<戸田義長>
2025年の作品で、連作長編のスタイルを取っている。題名からは「吉原面番所手控」の主人公の同心・木島平九郎と花魁に代わって、同心・湯田余七郎と花魁が主人公になった 続編の様子だが、内容的にはそれは微妙だ。江戸時代の吉原を舞台にした不可能・不可解犯罪を描いた時代ミステリとして共通点がある。
2026年01月03日
イーハトーブ探偵 ながれたりげにながれたり<鏑木蓮>
2014年の作品集で、長い題名にさらに副題「賢治の推理手帳1」がつく。主人公は岩手の作家・宮澤賢治で、友人・藤原嘉藤治がワトソン役だ。賢治が残した作品等を作品内に含んだ 構成の短編4作が掲載されている。時代背景にのった不可能・不可解犯罪に対して物理的トリックを中心に解明されてゆく。
2026年01月03日
ファラオの密室<白川尚史>
2024年の作品で、2025年に文庫化された。ツタンカーメンの頃のエジプトを舞台にした歴史ミステリであり、さらにはミイラ処理された死体が生けかえるという架空設定ミステリでもある。 背景が特殊である影響で話自体が珍しいが、登場人物もその時代ならではの人物であり、作品中でどのような働きをするのかもツカミにくい。
2026年01月03日
岩鼠の城<山本巧次>
2023年の作品だ。江戸時代の同心・瀬波新九郎が、戦国時代にタイムスリップして同心の能力で事件を調べて謎を解く。そのシリーズの2作目で副題は「定廻り同心新九郎、 時を超える」であり、1作目で知り合った青野城の姫を再度助けて不可能状況の事件を解明する。
2026年01月03日
十津川警部 西武新宿線の死角<西村京太郎>
2012年の作品で、電子書籍で読んだ。十津川警部シリーズの1作だが、その中でも十津川班の西本刑事の視点で多く描かれている。西武新宿線で死者が出て近くにいた男が状況から 拘束されたが、黙秘状態だった。男は西本刑事の知人で無実を信じて、被害者と容疑者との接点を調べ始めた。被害者は交通事故調査会に所属しており、扱った事件をさらに調べ始める。
2026年01月09日
競争の番人 内偵の王子<新川帆立>
2022年の作品だ。主人公・白熊楓は公正取引委員会の本部から福岡の第4審査課に異動し、そこには内偵の王子と呼ばれる常盤もいた。呉服業界の不正を調べる内に本部との共同調査に なり、前の仲間らと再会する。さらにその中で死亡事件が起きて巻き込まれ、複数の容疑の案件に担当と応援と協力との形で関わってゆくことになる。
2026年01月09日
銀色の国<逸木裕>
2020年の作品だ。NPOの田宮晃佑は自殺対策で仲間・井口や市川らと働く、さらに外部の仲間・城間らとも働く。浪人生・外丸くるみはゲームで「銀色の国」に入る。小林詩織は 拉致されて暮らす内にゲームねの参加とそこの案内人にさせられた。晃佑は自殺ゲームの存在を追う中で「銀色の国」に近づいてゆく。
2026年01月09日
降り止まぬ雨の殺人<床品美帆>
2025年の作品で、副題は「京都辻占探偵六角」で、第1作は作品集だったが本作は長編だ。六角法衣店主で占師の六角聡明が探偵役でカメラマン・安見直行がワトソン役のオーソドックスな 本格スタイルのミステリだ。中京署刑事・菊郷が回したしつこい通報者・森沢レミの依頼で、六角はレミの妹の昔の死と、傘の持ち主探しや、ゴーストの謎を調べ始める。
2026年01月09日
ぼくは、昨日のきみとデートする<七月隆文>
2014年の作品だ。主人公の学生のぼくは、偶然にであった女学生にひとめぼれした、不思議なことに奇跡的に女性とつきあい始めることができた。だが奇妙なこともあった。そして、 女性の秘密を聞くことになってゆく。ミステリかどうかは微妙だが、恋愛小説のなかに別の要素が絡められている。
2026年01月09日
腐肉の基地<大河内常平>
1960年の作品で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。主人公の民間警備員・中鳥恒雄は米軍施設で働くことになった。班長・長谷川らと意見が合わないが務めた。その内により 厳しい部署の特別地区に異動になり班長・真瀬らと出会う。赤鬼と呼ばれる米兵が幅を利かせるなかで、謎の死が起きる。占領下の米軍基地という特殊な場所での事件が描かれる。
2026年01月09日
華麗なる探偵たち<赤川次郎>
1986年の作品で、電子書籍で読んだ。副題が「第九号棟の仲間たち1」で、主人公・鈴本芳子が病棟に閉じ込められると、そこには自称の有名人たち探偵・ホームズや、剣士・ダルタニアンや、看護婦・ナイチンゲールや、モンテ・クリスト伯等の多数がいた。それが第1話で、その後芳子はその仲間らとともに現実の事件を解決する事になった。
2026年01月15日
合作探偵小説コレクション5<>
2024年に復刊された、1930年頃の合作探偵小説を詰めた作品集だ。5巻目の本書は、横溝正史が参加した合作を集めている。「覆面の佳人」「吉祥天女の像」「六代都市小説集」 「越中島運転手殺し」「1932年」が収録されて、座談会が資料として収録されている。
2026年01月15日
軍艦探偵<山本巧次>
2018年の作品だ。6話にプロローグとエピローグがついた、連作長編だ。主人公・池崎幸一郎は帝大卒業後にその能力から軍艦の主計兵として短期予定で乗船して働いた。そこで起きた 事件を推理で解決した。その後も船が代わり、次第に激戦地へと移り、それぞれでも事件を解決してゆく。エピローグの生き残った戦後に、最後の事件を解明する。
2026年01月15日
人面屋敷の惨劇<石持浅海>
2011年の作品だ。連続幼児失踪事件の被害者家族6人は、犯人と信じる投資家・土佐の館「人面屋敷」に乗り込んだ。だが不思議な少女が現れて混乱する。土佐が殺害され、少女は 6人に犯人探しを条件に警察通報を遅らせた。考えかたがバラバラの6人が対立してゆき、さらには過去が明らかになってゆく。
2026年01月15日
死の絆 赤い博物館<大山誠一郎>
2025年の作品集だ。警視庁犯罪資料館、通称赤い博物館の館長・緋色冴子と館員・寺田聡が、資料から過去の事件の真相を突き止めてゆく、シリーズの3冊目だ。作者が設定したテーマで 、短めの短編6作が収録されており、作者自身の解説が「あとがき」として書かれている。
2026年01月15日
わたしがいなくなった世界に<七河迦南>
2025年の作品だ。作者のデビュー作「七つの海を照らす星」等に登場する、児童養護施設・七海学園とそこの保育士・北沢春菜が登場する6話からなる連作長編だ。怪我で入院した春菜を 児童らが見舞う。以降は、その児童らが入れ替わり視点(わたし)として、事件や出来事、さらにはフィクションや演劇等が描かれてゆく。
2026年01月15日
宇治川殺人事件<山村美沙>
2002年の作品で、電子書籍で読んだ。非シリーズの長編で、被害者の妻・映子とひとり事故を事件として疑う笛木刑事が探偵役となっている。非シリーズ故に、ストーリーの展開は自由で、 場所・人物・時間・事件・トリック等が奔放にあちこちに乱れ飛ぶ。第二次対戦後の大陸からの引き揚げの時のことが大きく浮上してゆく。
2026年01月21日
六人の笛吹き鬼<三津田信三>
2024年の作品だ。六人の子供らと、その母親らと、その周囲の人々、先生や町内会らから始まる。そして子供の行方不明事件があって、神隠し?だろうか引っ越しだろうか。 23年後、子供の一人がホラー作家・背教聖衣子となって登場して、当時の事件を調べ始める、すると事件も動き始める。
2026年01月21日
芦辺倶楽部 第4号<>
2025年の同人雑誌だ。安萬純一の短編「宝暦JK用心棒」「黄の祝祭」「折り畳み式パンツ」「パーティの事件」のバラエティに富むを収録する。そして、恒例のミステリ漫画と、 芦辺拓の旧作?の清朝を舞台にした「紅毛欽天監」を収録する。
2026年01月21日
一日署長<大倉崇裕>
2023年の連作集で、2025年に文庫化された。資料編纂室の五十嵐いずみは、退職した前任者とパソコンに操られるように、過去の事件の所轄の署長に乗り移り、その捜査を行う ことになる、解決すると記録が書き換わる。次々と過去の事件を解決してゆくと、最後は5日前の事件に出会う。
2026年01月21日
0 ZERO<堂場瞬一>
2022年の作品で、2025年に文庫化された。作家・古谷と編集者・仲本は、死んだベストセラー作家・岩佐友の未発表原稿を探し始めた。岩佐の長男や、岩佐の愛人が著作権を争い、 さらに過去の編集者や交友関係を追うと、岩佐のデビュー前にまで遡ることになる。そこで、ある小説に出会う。
2026年01月21日
恐怖島<香山滋>
2025年に編まれた再編集作品集だ。副題が「人見十吉秘境小説集成1」で、秘境探検家・人見が主人公の作品を2冊に分けて収録する、1冊目だ。香山の中でも人気があるシリーズ なので、複数回復刊されており、個人的には長編「恐怖島」を含めて未読作がないのが難点だ、記憶から消えている作品をいくつか読む。
2026年01月21日
城崎にて、殺人<西村京太郎>
1998年の作品で、電子書籍で読んだ。十津川警部シリーズの1作で、前半は元刑事の岡田の視点で話が進む。途中からは徐々に話が変わり、そして一気に殺し屋とその依頼者との存在が 疑われてくる。そもそも「第一章 第二の殺人」から始まり、いくつもの殺人に進んでゆく。
2026年01月27日
怪物の木こり<倉井眉介>
2019年の作品で、2020年に文庫化された。殺人鬼の弁護士・二宮彰は襲われたが生き延びて、復讐のために犯人を追った。刑事・戸城嵐子ら警察は連続猟奇殺人犯を捜査していた。 この二人の視点で話が展開する。脳を開く殺人鬼の目的は何か、26年前の魔女事件との関連は何か。そして殺人鬼と殺人鬼の争いと、警察捜査が重なってゆく。
2026年01月27日
ときときチャンネル ない天気作ってみた<宮澤伊織>
2023年の連作長編だ。「ときときちゃんねる」シリーズの2冊目で5話を収録する。ネット配信者・十時さくらは同居人で天才科学者・多田羅未貴の発明を、ネット配信していた。 登録者が増えて収益化されてきたが、無料使用していた回線や装置が有料化になり、対策に追われる。ハードSF的マッドサイエンスのテーマを、配信とコメントで展開する。
2026年01月27日
北海道ミステリークロスマッチ<>
2019年から2022年にウエブ掲載された作品を2025年に紙媒体化した。北海道を中心にしたミステリーの創作・評論を小説・漫画を含め、さらにコンテスト方式で投票する。 根本尚の漫画と、柄刀一、新麻聡、松本寛大、既晴、櫻田智也、深津十一、和久井清水、千澤のり子の小説を収録する。冒頭の漫画が衝撃的に面白い。
2026年01月27日
無気力探偵 面倒な事件、お断り 完全版<楠谷佑>
2016年の作品集「無気力探偵 面倒な事件、お断り」に、作者曰く「大幅な加筆修正をしたうえ、新たに書き下ろした番外編を加えたものである」となっている。内容は、復刊加筆の 5章に、番外編として「答えのない日常の謎」と「単行本版のためのあとがき」を追加した。
2026年01月27日
怨嗟の回廊 ボーダース5<堂場瞬一>
2025年の長編だ。警視庁特殊事件対策班(SCU)シリーズの5作目だ。メンバー一人ずつを順番に中心に描かれるが、等々キャップの結城新次郎の過去と秘密が描かれる。朝比奈が異動し、 最上が兼任になり、麻田文が新人で加わった。刑事・篠沢を監視するとその関係者が殺されて、篠沢の部下刑事が襲われ。結城が失踪した。SCUはそれらに加えて、篠沢の追求も続けてゆく。
2026年01月27日
失われた貞操<三上紫郎>
1948年の作品集で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。中編「失われた貞操」と「真珠さん」を収録する。九鬼紫郎の別名義であり、初期作になる。ミステリ味はほとんどなく、 明朗小説、恋愛小説的な内容になっている。
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2026/01に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。