推理小説読書日記(2025/12)
2025年12月04日
蝋燭は燃えているか<桃野雑派>
2024年の作品で、2025年に文庫化された。前作「星くずの殺人」で宇宙に行った、京都の女子高生・真田周が主人公だ。周はネット掲示板が炎上したが、理由があって削除していなく、 学校にも行けず、ボランティアからの接触もあった。掲示板に不審な書き込みがあり、それが犯行声明の様に、金閣寺や京都タワー等の京都の名所が放火されてゆく。
2025年12月04日
入舟長屋のおみわ 隣人の影<山本巧次>
2024年の作品で、入舟長屋のおみわシリーズの1作だ。父に代わり大家代行する長屋に職人が入った。様子が変で調べると、茶人らしい。商人が失踪し、その承認も失踪してしまう。 その中で職人に会いに男が長屋に来て、おみわは二人で職人の行方と失踪に絡む事件を調べ始める。
2025年12月04日
あなたに心はありますか?<一本木透>
2023年の作品で、2025年に文庫化された。主人公の私・胡桃沢宙太は大学の特任教授で「AIに心を持たせる」研究を助教授と助教らと行っている。シンポジウムで軍事利用に反対した 教授らが連続で死ぬ、さらには宙太は自分の周辺に陰謀の存在を感じ始めた。
2025年12月04日
Sの継承<堂場瞬一>
2013年の作品で、2016年に2分冊で文庫化された。1960年に国重は国を正しく導くための組織を作り活動した、その一人の松島は毒ガスの開発を行い、実力行使を国重らに求めた。 50年後に毒ガス発生事件が起こり、群馬県警と警視庁特殊班が始らべ始めると50年前のクーデターが浮かんだ。犯人Sは立てこもり首相と議員らの辞職を要求した。
2025年12月04日
浪人街外伝<>
2004年の作品集だ。霞流一「お新捕物控 幻夏逆蛇蔵」、鈴木哲也「『浪人街』とは?」、杉江松恋「SINDO 赤牛血風録」、マキノノゾミ「舞台『浪人街』から」を収録する。 順序としては、2番目の鈴木の紹介文から読んだ方が良いと思う。独立ぢた外伝が集まるが、紹介文からが無難だ。
2025年12月04日
京都花の艶殺人事件<山村美沙>
1992年の作品で、電子書籍で読んだ。京都府警の狩矢警部らも登場するが、京都のクラブのホステスの涼子は主人公のノンシリーズの作品だ。家庭の事情で東京の大学を中退して京都で ホステスになり、バーのライバルと、客と多数のパトロンらの間をやりくりしている。そこで殺人事件にも出会い、最後は真相を知る。
2025年12月10日
合作探偵小説コレクション4<>
1948-1955年の作品を再編集した、復刊作品集だ。合作探偵小説のシリーズで、本集は、山田風太郎が参加している作品を収録している。「白薔薇殺人事件」「怪盗七面相」「十三の階段」 「生きている影」「悪霊物語」「ノイローゼ」「寝台物語」「夜の皇太子」を収録している。
2025年12月10日
刹那の夏<七河迦南>
2025年の作品集だ。中編「刹那の夏」と、短編「魔法のエプロン」「千夜行」「わたしとわたしの妹」「地の涯て」を収録する。外観的には、青春小説や恋愛小説の形で進行するが、途中 または最後にミステリーへと変わる展開がある。ただし作品集だから、2作目からは読者は、展開を予期・予測する事になる。
2025年12月10日
もつれ星は最果ての夢を見る<市川憂人>
2025年の作品だ。架空設定のミステリになるだろうが、ガチガチのSFミステリと言うべきだろうか。不可能状況の犯罪が連続して起きて、それを謎ふくみの主人公と、出会った謎の女性と で解き明かしてゆく本格ミステリだ。だがSF設定が難解な難物で、不可能状況の理解自体が難しく、SFが苦手だと理解自体が不可能とも言える。
2025年12月10日
ミステリー・マイル<アリンガム>
1960年の作品で、2005年に翻訳されて日本で紹介された。そして、2025年に復刊された。後期の作品でも、謎含みで登場するアルバート・キャンピオンだが、2作目となる本作では、紹介 される過程が謎の青年となっている。キャンピオンは謎の組織に狙われる元判事を守るために、閉ざされた島のミステリー・マイルに匿うが、あっさりと事件は悪化する。
2025年12月10日
彼女が追ってくる<石持浅海>
2011年の作品で、2014年に文庫化された。碓氷優佳シリーズの1作で、本作では優佳は火山学者として登場する。本作は倒叙スタイルをとるが、犯人は完全犯罪を狙うが、予期しないことが 次々起きてそれを推理して対応が必要になる。犯人=探偵のスタイルの中で、優佳は犯人も気づかない事を含めて、真相を解き明かしてゆく。
2025年12月10日
犯罪街の狼<九鬼紫郎>
1959年の作品で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。東洋探偵社の白井青児が主人公のシリーズの1冊だ。最後には一応の推理が行われるが、依頼を調べたり、事件に巻き込まれたり 、さらには事件を起こしたりかき回したりする。ハードボイルドタッチのアクションが表に出るシリーズだ。
2025年12月16日
レモンと殺人鬼<くわがきあゆ>
2023年の作品だ。父の死と母の失踪により、姉妹は別れて育つことになった。だが、その後に妹が遺体で見つかり、さらにその妹に保険金目当ての殺人の容疑が生じた。姉は妹の容疑を晴らす ために調べはじめた。それぞれに秘密と思いをもって別々に育った姉妹は、調べると謎が次々と出てくる、その結末は?。
2025年12月16日
本読む者は人目を忍べ<山本巧次>
2025年の作品だ。大名家の奥方とその娘は、しばしば姉妹に間違われるその、二人の奥様と姫様が主人公の捕物帳的なシリーズ「奥様姫様捕物綴り」の1冊だ。姫様が読む戯作本作者が幕府に 目をつけられ本が出なくなり、さらにはいなくなった。姫様らが作者と版元らを調べ始めると事件が絡んできて、それも調べることになる。
2025年12月16日
バビロンの秘文字<堂場瞬一>
2016年の作品で、2019年に文庫化された。分厚目の文庫2分冊の長い作品だ。主人公のカメラマン・鷹見は消えた楔形文字研究家の恋人・里香の行方を探しにスウエーデンにゆく、だが里香には 機密文書持ち出し容疑がかかっていた。鷹見が追うと、ラガーン国再建を目指す急進派と反対の穏健派の双方が暗躍して狙い、さらには大国の手等のいくつかが絡んでした。
2025年12月16日
女人太平記<羽生飛鳥>
2025年の作品だ。南北朝と室町時代の時代・歴史小説であり、歴史ミステリだ。主人公・日野名子(なかこ)の43歳の現在と、23年前から始まる過去が描かれる。南朝と北朝側は、勢力争い の結果が度々に変わることでそれに連なる末端の一族・人々まで決定的な影響を受けた。日野家も嫁ぎ先の名家・西園寺家も同様で、さらには足利高氏の登場と裏切りでの後醍醐帝の勝利は 決定的な影響があった。その中で主人公はどのように生きていったのか。
2025年12月16日
十津川警部 修善寺のわが愛と死<西村京太郎>
2010年の作品で、電子書籍で読んだ。十津川警部シリーズの1冊だ。十津川は捜査中に友人の記者・田島と出会い、被害者が応募したが落選した小説「修善寺わが愛と死」のことを聞いた。 源氏三代を描いているが間違った記述が多数あった。小説に秘めた謎と現在の事件の謎とを、十津川は調べてゆくことになる。
2025年12月16日
神戸殺人レクイエム<山村美沙>
1998年の作品で、電子書籍で読んだ。探偵役のキャサリンとワトスン役の浜口のシリーズの1作だ。1/17の阪神大震災のテレビでの報道から始まる。キャサリンが神戸にボランティアで行くと 言うと浜口も仕方なく同行した。大きな被害の中で京都住人の死体が見つかり、事故か他殺か?。そしてそれが京都中心で連続事件に広がってゆく。
2025年12月22日
狼少年ABC<梓崎優>
2025年の作品集だ。連作でない個別の中編、「美しい雪の物語」「重力と飛翔」「狼少年ABC」「スプリング・ハズ・カム」を収録していて、春夏秋冬の4つの季節の物語だとしている。 主人公らは若者で青春小説としての外装の中に、不可能犯罪や不可解状況を埋め込んだミステリになっている。
2025年12月22日
救世主<水生大海>
2024年の作品だ。愛知県警察本部が舞台の警察小説で、そこに集められた刑事らが捜査する。その一人の嵐山暁(あき)は台風女の仇名があり、捜査で台風みたいな引きで情報を集める と言われている。捜査の中でベトナム人実習生と出会いそこから情報を得た、だが他の捜査担当と対立する。しかし、それが絡む次第に意外な展開に進んでゆく。
2025年12月22日
復讐は合法的に<三日市零>
2023年の作品だ。女性に変装する名人の弁護士・衿須鉄児(エリス)と助手・佐藤楓(メープル)が復讐の依頼をいかに対応するか。だが、ストーリーの制約からかメープルの登場が減り、警視庁刑事 ・富沢(ケン)が登場して次第にその比率が大きくなってゆく。同時に合法的という主題も薄くなってゆく。
2025年12月22日
賢者の贈り物<石持浅海>
2008年の作品で、2011年に文庫化された。独立した短めの短編10作が収録されている。主人公も視点も当然に異なるのだが、どの作品にも磯風という名の女性が登場する。異なる人物で 役割も異なるが多くは重要な登場人物となっている。さらに表題作を代表に、過去の多様な作品をもとにして、展開した作品が集まっている。
2025年12月22日
みんなで決めた真実<似鳥鶏>
2025年の作品で、雑誌に3回連載された。架空設定の世界では、名探偵がメディアを通じてもてはやされており、メディアが適した事件を見つけると、犯人と真相と法廷内容を台本に描いて、 その通りの法廷番組を放映した。勝手に犯人にされた者は知名度が上がり、刑が短くなるが、名探偵崇拝のなかで無罪を主張しても、相手にされなかった。その中で無罪は勝ち取れるのだろうか。
2025年12月22日
捜査本部 不完全指紋<長谷川公之>
1959年の連作集で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。捜査本部の刑事らを主人公にした連作集で、「不完全指紋」刑事の休日」「謎の惨劇」「追跡二十五時間」を収録している。 主人公は捜査1課・中川刑事で上司の黒田部長刑事と橋本警部らでの捜査と、加えて黒田の娘・久子との私生活も描かれる。
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2025/12に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。