推理小説読書日記(2025/10)
2025年10月05日
マル暴ディーヴァ<今野敏>
2022年の作品で、2025年に文庫化された。阿岐本組が主人区の任侠シリーズにも脇役で登場する気が弱いマル暴刑事・甘糟達男が主人公のシリーズの3作目だ。本作には、 阿岐本組も、2作目で登場した栄田警視総監も登場し、さらには警察庁キャリア・大河原和恵がなぜか歌手として登場する。
2025年10月05日
女王様と私<歌野晶午>
2005年の作品で、2009年に文庫化された。奇妙な架空設定で展開する異様なサスペンス?なのか、ジャンルは分類不可能だ。主人公の真藤和馬はオタクでその具体的さは 随時わかってくる。登場?する、妹も、女王様もすぐにも結果的にも謎ばかりでわかりにくい。あらすじも書きずらい。
2025年10月05日
午後のチャイムが鳴るまでは<阿津川辰海>
2023年の連作集で、5話からなる。九十九ヶ丘高校を舞台にそれぞれの、クラブや学級等で事件的なことが起こり、ある人物が謎を解く。次々と進んで行くとその人物が 一人に収斂してゆき、さらに同じ時間に並行して起きて展開していたことがわかるという、学園ミステリーだ。
2025年10月05日
横溝正史探偵小説選5<横溝正史>
2016年の再編集の作品集で、少年少女向き小説と、未刊で中絶した作品をを収録した。中絶作が単行本になるのは、最近の傾向だろう。中編「探偵小僧」と短編3作に、短編 1作を収録する。そして不死蝶(雑誌連載版)と、未刊作を4作収録する。
2025年10月05日
臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体<高野結史>
2021年の作品だ。長すぎる題名は最近の流行りの一つなのだろうか。法医学者・真壁天は死体と接する方が合うが、仕事の地位も不安定で、教授から児童虐待の鑑定の 臨床法医の仕事を命じられる。だはのちにそれに絡んだ人物の死体が発見されて、無視できなくなってゆく。
2025年10月05日
十津川警部 湯けむりの殺意<西村京太郎>
2016年の作品集で、電子書籍で読んだ。温泉地が題名か背景となっている、短編を5作収録した作品集だ。題名通りで十津川警部が共通の主人公だが、5作の中の3作は十津川班の 刑事である、三田村刑事、亀井刑事、日下刑事、が中心となっている。温泉地の舞台度は濃淡色々がある。
2025年10月11日
修道女フィデルマの慧眼<トレメイン>
2004年の作品で、2025年に翻訳されて日本で出版された。6世紀のアイルランドを舞台にした歴史ミステリの修道女フィデルマが主人公のシリーズの短編集だ。オーソドックな 本格ミステリのシリーズであり、本集では短編5作を収録する。本のページ数では長編の半分くらいで、5作合わせても短めだ。
2025年10月11日
合作探偵小説コレクション2<>
昭和30年前後の作品を中心に戦前・戦後の、合作探偵小説を集めて、再編集した復刊作品集だ。中編・短編合わせて11作を収録する。江戸川乱歩が全部の作品に参加しているが、 納期を守れない??乱歩はほとんどが最初の回に書いている。
2025年10月11日
妖伝・三国志<辻真先>
1995年の作品だ。中国の「三国志」を舞台にした、架空設定の剣術と妖術が乱れ飛ぶ活劇伝奇時代小説だ。登場人物には「三国志」本編の登場人物として知名度が高い人物が多い。 作者は、それの間を縫う「隙間・三国志」と言う。
2025年10月11日
呪い殺しの村<小島正樹>
2015年の作品で、2018年に文庫化された。風変わりな主人公・海老原浩一が探偵役のシリーズの1作だ。いつにも増して、事件と謎とトリックが盛り沢山な作品で、そのために 途中からは、少しずつ解決してゆく。一部を解決しても、一向に終わりが見えない、多すぎる謎のミステリだ。
2025年10月11日
豪華客船オリンピック号の殺人<ノイバウアー>
2022年の作品で、2024年に翻訳されて日本で出版された。若い未亡人のジェーンと、その謎多き友人・レドヴァースとのコンビが主人公のシリーズの3作目だ。舞台は北大西洋航路の 船の中で、二人は英国政府の依頼でドイツのスパイを探すが、失踪事件を皮切りに色々と事件が起きる。
2025年10月11日
暗黒街の令嬢<九鬼紫郎>
1959年の作品で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。探偵事務所の探偵・白井青児とその同僚らが主人公のハードボイルド風のアクション小説だ。暗黒街では警察に 知られたくない調査依頼があり、白井は費用が折り合えば引き受ける。依頼人自体も、秘密を隠し合う競争相手となる。
2025年10月17日
災厄の宿<山本巧次>
2024年の作品だで、ノンシリーズだ。元刑事の弁護士事務所の調査員は山奥の旅館を訪れた。そこで自然災害に見舞われ、さらには押し込み籠城事件が起きて人質になり、 警察が包囲した。その状況で旅館で殺人事件が起きて、立て籠もり犯は調査員の素性を知って、犯人を見つける捜査を調査員に要求した。
2025年10月17日
失われた貌<櫻田智也>
2025年の作品だ。所轄の捜査課係長・日野雪彦は部下の刑事・入江文乃とともに変死事件の捜査に関わる。その所轄の周囲の地域を含めて複数の事件が起きており、さらには 生活安全課が虐待事件の訴えの対応で非難を受けていた。さらには上司間の争いや所轄間の秘密主義や主導権争いがあった。
2025年10月17日
白魔の檻<山口未桜>
2025年の作品で、医師・城崎響介が探偵役のシリーズの2作目だ。本作では、研修医・春田芽衣が主人公で主にその一人称で語られる。春田は研修先として城崎は医療協力で 北海道の更冠病院に行くと、殺人事件が起きていた。濃霧が起き、湖から有毒ガスが発生して閉じ込められ、さらにガスが1階から徐々に上階に上がってきた。さらに閉じ込められた 病院で殺害事件が起きた。
2025年10月17日
路地裏の二・二六<伊吹亜門>
2025年の作品だ。昭和10年が舞台で、作者は史実を基にしたフィクションと言う。憲兵大尉・浪越破六は、教育総監・渡辺からの指示で陸軍での事件を調べた。その過程で 所属の憲兵司令部と上層部の絡みが浮かび、さらにはあちこちでの色々な動きが生じていた。二・二六事件の裏で起きていた事件の真相は何か?。
2025年10月17日
妖婦の宿<高木彬光>
2025年の再編集作品集だ。正式名は「妖婦の宿 名探偵・神津京介傑作選 探偵くらぶ」で、該当する短編が10作収録されている。「探偵くらぶ」シリーズは、戦前作家3人で4冊が 刊行されており、本書は戦後作家のシリーズの1冊目だとしている。
2025年10月17日
七色の行方不明<姉小路祐>
2023年の作品で、電子書籍で読んだ。「再雇用警察官」シリーズの1冊で、大阪府警消息対策室の安治川信繁、新月良美、芝隆之の3人が主人公だ、刑事ではなく捜査権もないが 結局は似た状況になる。本書は作品集で、「黄金の闇」「紫の秘密」「反転の白」からなる。「紫の秘密」は源氏物語を題材にしている。
2025年10月23日
鷹の城<山本巧次>
2021年の作品で、2023年に文庫化された。副題は「定廻り同心 新九郎、時を超える」で、架空SF設定の歴史時代小説だ。江戸の奉行所同心の瀬波新九郎が戦国時代にタイム スリップして事件を調べる事になる。戦国時代の播磨の青野城は羽柴秀吉の中国攻めで囲まれていた。その城で事件が起きる。
2025年10月23日
殺意の勲章<麻見和史>
2025年の作品だ。副題は「猟奇殺人捜査ファイル」で、警視庁深川署刑事課の尾崎隆文と広瀬佳純のコンビが中心のシリーズの1作だ。捜査本部の本部刑事らと所轄刑事らの、 多数の刑事らが捜査する警察小説だが、題名通りの猟奇殺人事件が描かれる。
2025年10月23日
船上にて<若竹七海>
1997年の作品集で、2001年に文庫化された。連作ではなく、ばらばらのテーマとスタイルで書かれた短編が8作収録される。作者自身が、「あとがき」で短編についてを 語り、さらに個々の作品について解説している。
2025年10月23日
危険な蒸気船オリエント号<ラーマー>
2021年の作品で、2022年に翻訳されて日本に紹介された。「マーダー・ミステリ・ブッククラブ」のメンバーが登場するシリーズの1作で、舞台は1900年代初頭のオーストラリアの シドニーからニュージーランドのオークランドに向かう船の中での事件であり、クリスティの「オリエント急行殺人事件」のネタバレ注意となっている。
2025年10月23日
ロング・ロード 探偵・須賀大河<堂場瞬一>
2023年の作品で、2025年に文庫化された。弁護士を辞めて私立探偵になった須賀大河が主人公で、協力者の真野由祐子と依頼された事件を調査する。須賀の1人称で書かれて いるので、いわゆるハードボイルドのスタイルだ。須賀は色々な拘りがあり、それが判断を狂わせて問題がややこしくなってゆく。
2025年10月23日
ミス振袖殺人事件<山村美沙>
19858年の作品集で、電子書籍で読んだ。キャサリンと浜口一郎のコンビのシリーズで、「京絵皿の秘密」「呪われた密室」「ミス振袖殺人事件」「針供養殺人事件」「割り込んだ 殺人」「京菓子殺人事件」の6作を収録して、京都府警の狩矢警部らも登場する。
2025年10月29日
新・黄色い部屋<>
2025年のアンソロジーだ。副題は「犯人当て小説傑作選」で、掌編や推理クイズを含む、短編10作からなる。高木彬光、坂口安吾、土屋隆夫、江戸川乱歩、飛鳥高、佐野洋、 菊村到、山村正夫、陳舜臣、笹沢左保の作品が収録される。
2025年10月29日
亡者は囁く<吉田恭教>
2016年の作品だ。元刑事の私立探偵・槙野康平と警視庁捜査1課・東條有紀が主人公のシリーズの1作だ。作品に応じてどちらの登場場面が多いかは異なる、さらにはそれ 以外の登場人物も変わる。本作では、前半は槙野が中心で話が進み、途中からは東條と捜査1課のメンバーが中心に進む。
2025年10月29日
21世紀失楽園<宮崎惇>
2016年に再編集された復刊の作品集で、「ミステリ珍本全集」の1冊として刊行された。「21世紀失楽園」と「金毛九尾秘譚」の2冊に、「単行本未収録作品集」として 11短編を追加した。2冊の本も、作品集なので、全体が短編集となっている。日本での初期のSF作品集だ。
2025年10月29日
我孫子武丸犯人当て全集<我孫子武丸>
2025年の作品集だ。「犯人当て」企画に書いた短編を集めて、加筆修正して、解決編と解説を加えた形式に統一した。「盗まれたフィギュア」「完全無欠のアリバイ」 「記憶のアリバイ」「漂流者」「幼すぎる目撃者」を収録する。
2025年10月29日
マーブル館殺人事件<ホロビッツ>
2025年の作品で、翻訳されて2025年に日本で出版された。編集者のスーザン・ライランドが主人公で、作家のアラン・コンウェイが書いたミステリ小説を二重構造で 含む作品だ。その作品では名探偵のアティカス・ビュントが活躍する。コンウェイは死んだが、別の作家でシリーズが書き継がれることになる。
2025年10月29日
JR周遊殺人事件<西村京太郎>
2001年の作品集で、電子書籍で読んだ。十津川警部が登場する作品集で、JR貨物を除くJR6社(北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州)の各地域が舞台の、 短編6作からなる。根室本線、仙台・岩沼、伊勢詣イベント列車、和田岬線、徳島線、高千穂線が舞台となっている。
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2025/10に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。