推理小説読書日記(2025/05)
2025年05月02日
まぐさ桶の犬<若竹七海>
2025年の作品だ。ミステリ書店員でありさらに私立探偵の葉村晶のシリーズの1作だ。時代とともに年齢を重ねる葉村は50歳代になりあちこちが老いで悩まされる。だが不運さは 変わらず、トラブルに出会いすぎて、いつもの通りにまたしても命を狙われる。やや長めの作品でそれだけ多数の事件とトラブルに並行して関わり、命を狙われる心当たりはありすぎる。
2025年05月02日
ウィンダム図書館の奇妙な事件<ジル・ウォルシュ>
1993年の作品で2022年に翻訳されて日本で出版された。場所はケンブリッジのカレッジで、学寮付き保健師のイモージェン・クワイが主人公で探偵役だ。普通の図書館の他に、 ある異端の学説を信じた者が残した本だけを管理する図書館があり、奇妙な規約で運営されている。奇妙な規約のもとで起きた事件を、主人公が調べて行く。
2025年05月02日
英雄の悲鳴<堂場瞬一>
2025年の作品だ。老刑事・岩倉剛のシリーズの7作目で、所轄から本庁に戻った時に事件が起きる。身元不明死体の捜査は難航する。本庁が連続婦女暴行殺人事件の捜査中で、 さらには刑事の失踪事件が起きていた。死体の身元がわかるが、ストーカーの容疑が浮かんでくる。
2025年05月02日
レフトハンド・ブラザーフッド<知念実希人>
2019年の作品で、2021年に上下2冊で文庫化された。高校生・岳士は「他人の手症候群」を患い、左手に死亡した兄・海斗が宿った。殺人事件の容疑者として追われた岳士は ボクシングの能力と、海斗の助言でくり返しの危機を乗り越えて逃亡する。謎の女性の登場でその関係が乱れて行く。
2025年05月02日
伊根の龍神<島田荘司>
2025年の作品だ。主に石岡和己の1人称で描かれる。ネッシーを探す女学生から京都の伊根にいると言われる龍神探しに誘われた石岡は、電話でスゥーデンの御手洗から危険だと 警告される。無理やり伊根に連れられた石岡は、携帯電話を切って行くと、現地では様子が変で、さらには失踪事件が起きる。多数の奇妙な事件・現象に説明がつくのだろうか。
2025年05月02日
軽井沢の霧の中で<内田康夫>
1986年の作品を収録した短編集で、電子書籍で読んだ。「アリスの騎士」「乗せなかった乗客」「見知らぬ鍵」「埋もれ火」の4作を収録する。いずれもレギュラー・キャラクター の登場しない短編だ。ただ、テレビドラマ化された作品も含まれ、それは竹村警部シリーズだった。原作はノン・シリーズだと初めて知った。
2025年05月08日
フォーチュン氏説明する<ベイリー>
1930年の連作集で、2024年に翻訳されて日本で出版された。訳者あとがきによると、「フォーチュンが主人公の第6作品集であり、個別に訳されていない作品集を選び、さらには 本作品集の作品が平均的に出来が良かった」事が選んだ理由だとした。短編8作を収録している。
2025年05月08日
名古屋駅西喫茶ユトリロ 龍くんは河童と踊る<太田忠司>
2025年の作品で、喫茶ユトリロシリーズの5作目であり、シリーズ初の長編だ。主人公の龍(とおる)は、河童に関わる歴史を調べはじめる、さらには喫茶店主の祖父が病気に なり、龍が代わりに喫茶店を行うことになる。当面の作業をこなして、さらには店の将来を考えるが、どれも簡単ではなかった。
2025年05月08日
家政夫くんは名探偵!<楠谷佑>
2018年の作品で、シリーズの1作目となった。刑事・連城怜とその家事の代行サービスに来た家政夫の三上光弥が、ワトソン役と名探偵役の主人公だ。短編3作からなる連作集だ。 あとがきで「キャクター小説であり、ミステリ的な部分も手を抜かず、(中略)、自分なりの推理小説像に近づける努力をした」と言う。
2025年05月08日
スリー・カード・マーダー<ブラックハースト>
2023年の作品で、2024年に翻訳して日本で出版された、日本初紹介だ。若き女性警部補のテスと、その異母妹で詐欺師の父に育てられたセアラが主人公で、それぞれの視点 から描かれる。まじめな姉と、全く逆で奔放で変装の名手で詐欺師集団の中心の妹だ、姉は妹に手を焼くが推理の部分等では頼る。そして密室事件に関わる。
2025年05月08日
水の迷宮<石持浅海>
2007年の作品だ。舞台は羽田の水族館で、展示生物への攻撃メールが届き、館員らは自衛のために走りまわることになる。連続する攻撃に混沌とするなかで、ついには死者が 出る。館長や幾人かの館員の思惑で、警察に届けずに自分らで解決を目指すことになる。そして強引だが意外な展開がおに進んでゆく。
2025年05月08日
夜行列車の女<西村京太郎>
2002年の作品で、電子書籍で読んだ。カメラマンが夜行列車・サンライズで出会った女性、だが翌朝に列車内で死体で見つかり、容疑がかかり嵌められたと思った。だが後日に 東京で女性を見かけた。殺人事件が起きて、十津川と亀井は、関係者のカメラマンの証言を信じるかに悩む。罠にかける目的に何かを追うことになる。
2025年05月14日
ホロニック:ガール<高島雄哉>
2024年の作品だ。SFアニメ「ゼーガペインADP」のスピンオフ小説として「エンタングル:ガール」がかかれた。さらにSFアニメ「ゼーガペインSTA」が制作されて、それと 同時に、本作であるそのスピンオフ小説「ホロニック:ガール」が書かれた。前作は学園SFだったが、本作は宇宙規模の終わりを描くSFだ。
2025年05月14日
探偵さん、迷宮です!<辻真先>
1987年の作品で、1994年に文庫化された。女子大生のグルメレポーター神保亜子通称・味子とその彼氏・永坂進吾が主人公のシリーズの1作だ。味子とカメラマン・空閑は 取材先の能登へ行くとその列車で死体を発見する。さらには取材先で次々と死体が見つかり、旅情・グルメ・ミステリーが展開する。
2025年05月14日
罪の硬度<麻見和史>
2025年の作品だ。警視庁捜査1課第11係シリーズの1作で、如月塔子と鷹野警部補のコンビを中心に捜査が描かれる。シリーズの前の本で連続殺人の実行犯にアドバイスした GM(ゲームマスター)への捜査を行う中で、その疑いがある連続殺人事件が発生した。連続事件か、実行犯は誰か、さらには黒幕GMは誰で目的は何かを追う。
2025年05月14日
結婚の条件<森村誠一>
2004年の作品だ。沖藤刑事の婚約者がひき逃げで殺された。彩は失恋しての旅で出会ったサラリーマンの正橋と結婚した、だが正橋が死んだ父の後を継いだことで、市長夫人 となった。彩はその名声を利用して作家としても成功したが、高校時代のスキャンダルで脅迫を受けた。対応に追われるなかで脅迫者が殺害されて、沖藤ら警察の捜査が始まる。
2025年05月14日
海底散歩者<渡辺啓助>
1959年の作品で、国会デジタルコレクションで読んだ。長編「海底散歩者」と、短編「密室」「クムラン洞窟」からなる作品集だ。「海底散歩者」は2話からなる連作で 「ビーナスと宝石」「女体」からなる。大学教授・成井が主人公で、海底散歩者=潜水夫が関係する事件を描く。
2025年05月14日
不協和音2炎の刑事VS氷の検事<大門剛明>
2020年の作品で、電子書籍で読んだ。炎の刑事こと川上祐介刑事と、氷の検事こと唐沢真佐人検事の兄弟が主人公のシリーズで、祐介の視点から描かれており、主に真佐人 が名探偵役となる。本作は2作目で、4話からなる連作集となっている。2人の過去と父が関わる過去の事件が全体の背景に流れている。
2025年05月20日
放課後ミステリクラブ6 教室のとうめい人間事件<知念実希人>
2025年の作品だ。小学中学年向けの作品のシリーズの6作目で、テキスト的には中編だ。小学生でミステリクラブ部員の3人と顧問の先生らが、学校及びその近所で起きた 不思議な事件・謎を調べて解き明かす。工作室に置いてあるブロックで作った作品が、だれも居ないのに壊れる事件を解き明かす。
2025年05月20日
まっすぐ進め<石持浅海>
2009年の5作からなる連作集だ。川端は書店で見かけた女性に惹かれて、その事を会社同僚・黒岩とその彼女・太田千草に話した。すると2人からその女性・高野秋を紹介 されて交際が始まった。2人にはそれぞれ抱える過去があり、それが次第に明らかになってゆく。その過程を2つのカップルを通して描く。
2025年05月20日
遊戯と臨界<赤野工作>
2025年の作品集で、副題は「赤野工作ゲームSF傑作集だ。長すぐる題名が多い短編11作が収録されている。客とカスタマーセンター、ゲームプレーヤー、ゲームデザイナー、 eスポーツ、シュミレーションゲーム、ヤクザ抗争、呪いのゲーム、Vチューバー、コンピュータ研究員、ゲーム配信等が描かれている。
2025年05月20日
虹を待つ彼女<逸木裕>
2016年の作品で、横溝正史賞受賞作で、作者のデビュー作だ。人工知能研究者・工藤は、ある会社でゲームと囲碁AIを展開していた。死者をAIにするプロジェクトが始まり、 試作モデルに自殺したゲームクリエーター・水科晴が選ばれる。工藤は晴に惹かれて調べるが次々事件が起きる。協力を依頼する探偵がバイキャラクターとして登場するが、後に 主人公探偵となる榊原(森田)みどりだ。
2025年05月20日
地獄の罠<鷲尾三郎>
1958年の作品で、国会図書館デジタルサービスで読んだ。長編「地獄の罠」と短編「影をもつ女」「消えた屍」からなる作品集だ。長編「地獄の罠」は罠にかかり懲戒免職に なった元刑事・小島が主人公だ釈放後から描かれてゆく。「消えた屍」は作家・牟礼順吉が主人公の短編だ。
2025年05月20日
夕暮れ 夜明日出夫の事件簿<笹沢左保>
1991年の作品で、電子書籍で読んだ。元捜査1課刑事でタクシー運転手の夜明日出夫が主人公の探偵役のシリーズの1作だ。夜明は無賃乗車やタクシーでセックスする男女客らに次つぎ 出会い悩まされるツキのない日だった、さらに前妻の知りあいの女性を乗せた。後日に刑事時代に出会った組員と再会して、助けを求められて事件に関わってゆく。
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2025/05に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。