推理小説読書日記(2025/04)
2025年04月02日
電気じかけのクジラは歌う<逸木裕>
2019年の作品だ。人工知能「ジング」が会員の好みに合わせて音楽を作るサービスを行い、それを展開する霜野鯨が一方の主人公だ。過去の音楽ユニット「心を彩るもの」 のメンバーらは解散して違う道を進んだが、岡部は作曲をやめて「ジング」で仕事をしていた。元メンバーの死から色々の謎が現れてくる。
2025年04月02日
四面の阿修羅<吉田恭教>
2022年の作品だ。捜査一課・東條有紀が主人公のシリーズの1作で、本作には協力者として新聞記者・工藤夏実が登場する。人は多面性を持つことに由来する題名だが、 残虐性が全面的に事件を覆っている。さらには東條が他の作品でも追っていた、姉の事件の真相が分かってくる。
2025年04月02日
黒石 新宿鮫12<大沢在昌>
2022年の作品で、2025年にノベルス化された。新宿署の鮫島の上司・桃井の死で10冊が終わり、新たな上司と仲間とでの2冊目だ。犯罪ネットワーク「金石」の存在とその メンバーの殺害が起きた。鮫島らは過去を含めた大量殺人と、謎の殺人者「黒石」の捜索を開始する。
2025年04月02日
こわされた少年<ディヴァイン>
1965年の作品で、1996年に翻訳されて日本で出版された、それが2025年に復刊された。高校生の少年が行方不明になった、複雑な家庭で家出とも考えられた。姉の依頼で 警部が調べ始めると色々な事情が分かってくるが、行方は不明のまだだった。警部と姉との、交互の視点から描かれて行く。
2025年04月02日
絵のない絵本<鮎川哲也>
1954から1965年の短編を再編集して2025年に出版された。短編15作が収録される。多数のペンネームを使っていた時期の作品であり、鮎川哲也名義を使用しはじめた時期の 作品でもある。発表先がバラバラで、少年向きもあり、内容も多岐に渡り、のちの鮎川作とは異なるイメージの作品も多い。
2025年04月02日
三毛猫ホームズの危険な火遊び<赤川次郎>
2006年の作品で、電子書籍で読んだ。三毛猫のホームズと片山刑事と妹らが主人公のシリーズのシリーズ52冊目で長編38冊目と書かれている。スリの老人とその娘と、国会議員 と娘、さらには容疑者と娘が登場する。偽装誘拐計画が、失敗から始まり意外な展開になってゆく、どたばたミステリが描かれる。
2025年04月08日
リアルフェイス<知念実希人>
2015年の作品で、改題して2018年に復刊された。芸術として顔を変える美容外科医・柊貴之のクリニックに、麻酔医・朝霧明日香は就職した。柊は高額で客のどんな要望でも 応じると言われている。明日香は柊が受けた色々な奇妙な依頼に巻き込まれてゆく。そこには柊自身の秘密が含まれていた。
2025年04月08日
星くずの殺人<桃野雑派>
2023年の作品で2025年に文庫化された。初の宇宙旅行ツアーが行われて、当選した6名と乗務員が宇宙ホテル「星くず」に到着しt。ところがすぐに機長が首吊り死体で見つかる。 その対応に添乗員・土師とホテルスタッフが対立して、スタッフが勝手に帰還する。残った者が宇宙の密室の謎を考え始める。
2025年04月08日
エラリー・クイーン完全ガイド<飯城勇三>
2021年の研究書であり、ガイド書だ。ほぼ全体を占める第2部は「全ガイド」であり、探偵エラリーが登場する作品を時代的に5章に分けて、それぞれの特徴と個別紹介を 展開する。そのあとで、ドルリー・レーン4部作を取り上げている。さらに年表と、翻訳リストをつけている。
2025年04月08日
濱地健三郎の呪える事件簿<有栖川有栖>
2022年の連作作品集だ。幽霊等が専門の探偵所所長・濱地健三郎が主人公の連作集の3冊目であり、6作を収録する。濱地と所員・志摩ユリエは新型コロナ・ウィルス感染の 中にいたが口コミでの依頼は続いていた。ただコロナで変化した日常の中での怪異現象に関わって行くことになる。
2025年04月08日
御子を抱く<石持浅海>
2014年の作品だ。会社部長・星川安弘はカリスマ的な力で多数の門下生から師と思われていたが病死した。門下生らは結束して集団を作っていたが、3つに分裂して後継者 争いが始まった。そこに御子と呼ばれる星川の植物状態の息子の存在があった。その中での連続の死が起きて行く。
2025年04月08日
空気男爵<渡辺啓助>
1957年の作品集で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。空気男爵と呼ばれる謎の宝石泥棒?が背景に存在する。主人公・香月鮎子が所長・蒼木とが依頼されたことに 対応する。鮎子は危機を助けられた空気男爵の正体が所長だと疑うが・・。9話からなる連作集だ。
2025年04月14日
願わくば海の底で<額賀澪>
2025年の作品で、長さは異なる6話で構成されている。第5話は同題の既発表の短編が元になっていて、それを元にして長編化されている。1-3話は、異なる視点・記述者が 探偵役の学生・菅原を描いている、そして4話を挟んで5話に繋ぐ構成となっている。
2025年04月14日
土屋隆夫の作品と生涯<二川透>
2024年の評論で、評伝のスタイルで書かれている。著者は脱サラで移住した所が土屋の住んでいた街であり、訪ねて子息から部屋や資料を見せてもらい、それらを元にして この本を書いた。序章から長編以前と、長編を1作ごとに辿る、後半はいくつかの長編をまとめて語る、さらには最終作を詳しく、全15節で語って行く。
2025年04月14日
飛鳥高探偵小説選5<飛鳥高>
2020年に編まれた再編集の作品集だ。飛鳥高の作品集のシリーズ5冊目で、飛鳥自身の書き下ろしの短いエッセイも収録されている。長編「ガラスの檻」と、短編が16作収録 されている。その中には度々に、作品集やアンソロジーに載った作品もあるが、逆に作品集に初収録の作品もある。
2025年04月14日
レゾンデートル<知念実希人>
2012年の作品で、2019年に文庫化された。医師・岬は末期がんの診断を受けた、恵美と沙那が出会いモデルの仕事を始めた、刑事・松田は「ジャック」と呼ばれる殺人鬼を 追っていた。岬は暴行されたが相手を復讐で殺すと、ジャックから連絡を受けて関係を持って行く。だが岬は一方では沙那と出会う。
2025年04月14日
魔法使いが多すぎる<紺野天龍>
2025年の作品だ。副題が「名探偵倶楽部の童心」で、過去の事件「神薙虚無最後の事件」を20年後に解決した「名探偵倶楽部」の2番目の事件になる。10年前に魔法使いが 殺害された「白ひげ殺人事件」の再調査を、「実は魔法で殺害された」と言うその弟子の魔法使いが倶楽部のメンバーに依頼する。
2025年04月14日
赤猫 -刑事・片倉康孝 只見線殺人事件-<柴田哲孝>
2019年の作品で、電子書籍で読んだ。平成8年の東京都練馬の放火事件から20年後に、刑事・片倉は定年前の休暇に、迷宮事件の調査を思い立ち現場の只見線を旅行した。そこは 災害で途中が代替バス運転になっていた。さらに東京で捜査を続ける中で、翌年に元妻と只見を旅行することになる。そして次第に真相に近づいて行く。
2025年04月20日
古書店アゼリアの死体<若竹七海>
2000年の作品で、2003年に文庫で復刊された。次々に不幸な出来事に出会った相澤真琴は葉崎市で死体を見つけた。紹介された宿で古書店店主・前田紅子に出会う。葉崎FMの 社長・前田満知子ら前田家には謎があった。街の色々な人物の視点からあちこちで起きたトラブルが描かれて行く。
2025年04月20日
松本美ヶ原殺意の旅<西村京太郎>
2002年の作品で、2005年に文庫化された。十津川警部は妻・直子から、紹介された笠原由紀から画家・笠原の死の真相の調査を依頼された。笠原の恋人が襲われたことから 、十津川は休暇をとって松本美ヶ原に行き調査を始めたが、次第に事件が広がってゆき、警視庁での捜査になってゆく。
2025年04月20日
同志少女よ、敵を撃て<逢坂冬馬>
2021年の作品で、2024年に文庫化された。1942年頃のソ連はナチス・ドイツの侵略を受けて戦っていた。元狙撃兵女性・イリーナは女性だけの狙撃隊を組織する。その訓練から 始まり、スターリングラードの攻防戦や、その後のクルクスの戦いとケーニヒベルクの戦いを描いて行く。
2025年04月20日
凶血<吉田恭教>
2020年の作品だ。連続殺人犯人が逮捕されたが、被害者の遺書から戦争中のウィルス兵器の開発がわかった。公安調査官・霧坂美紅はウィルスが廃棄処分されたかの確認の ために捜査を開始した。女刑事・中島千明は奇妙な遺体の捜査を行う。カルト教団の企みに対して、霧坂と中島らの戦いが始まって行く。
2025年04月20日
狂ったシナリオ<レオ・ブルース>
1961年の作品で、2024年に翻訳して日本で同人出版された。歴史教師のキャロラス・ディーンが探偵役のシリーズの1冊だ。いつもは事件関与を嫌う校長から事件捜査の依頼を うけた、国会議員の女性が家族を支配しようとしており、一家で起きた事件も支配を狙ったからだ。証拠のない事件の真相に気づいたディーンは策を練った。
2025年04月20日
明日香の皇子<内田康夫>
1984年の作品で、電子書籍で読んだ。ノン・キャラクターの長編で、ミステリーではあるが、全体には歴史の謎があり、伝奇小説の味が濃い。主人公・村久が失踪した彼女を 探すと謎の人物と出会う。その男が殺害されて「アスカノミコ」の手がかりが残った。過去の事件とともに調べると、彼女の秘密と事件の真相が判ってくる。
2025年04月26日
少しH短編集<辻真先>
2024年の作品集で、1963年から1975年を中心に、1990年頃までの短編、長さ的にはショートショートが集められている。作者は「コント集で、フリーになってからシナリオライター として定着するまでの時期にスポーツ新聞に書いた作品が中心だ」と言う。
2025年04月26日
決断の刻<堂場瞬一>
2019年にの作品だ。堂場作品では、警察小説とスポーツ小説からはじまっているが、本作ではそこに企業小説が加わっている。所轄の刑事課長・原は、ある会社社長・今川と は、学生時代のラグビーでの繋がりがあった。さらに後に社会人として、ある事件で捜査員と情報提供者として繋がった。刑事失踪を調べる原は再度今川と会うことになった。
2025年04月26日
僕がTSしてJKスパイになるなんて!?<芦辺拓>
2025年の作者自身の私家本出版作品だ。作者あとがきで「平凡な男子高校生が巨大な陰謀に巻き込まれて命を落としかたところ、正義の地下組織によって救われ、驚異の医学 技術によって女の子に性転換し、女子高校生として通学しながら悪と戦う痛快冒険物語(後略)」と紹介している。
2025年04月26日
能登・泣き砂の殺意<阿井渉介>
1985年の作品だ。営林職員・沢田は島田夏子との結婚がどの家族の都合で伸びていた。その中で福島の身元不明死体の事件に関り、さらに父が行方不明になり、夏子と探す。沢田は 父を探し、福島の事件にも係ると、夏子も行方不明になる。沢田が父と夏子を探し追うと、絡まった事実がわかって行く。
2025年04月26日
図書館の魔女 高い塔の童心<高田大介>
2024年の雑誌掲載作品で2025年に単行本化された、雑誌・メフィストで読んだ。「図書館の魔女」シリーズのファンタジーで普通の長さの長編だ。「高い塔」の図書館の新任で 最年少の司書・ハルカゼと主人公の童女・マツリカが中心でいくつかの出来事が描かれて行く。単行本では冒頭に地図が載るが、それの無い雑誌では地名等がかなり理解が難しかった。
2025年04月26日
千利休・謎の殺人事件<山村美沙>
1993年の作品で、電子書籍で読んだ。名探偵・キャサリンとワトソン役の浜口とのシリーズで、狩矢警部等も登場する。千利休の死を含む歴史の謎を背景に、それを題材にした 映画の制作・撮影での現代の連続殺人事件とを並行して描く。後半では狩矢警部等の捜査本部の捜査が詳しく描かれる。捜査としては普通だが、山村作品では少ない展開だ。
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2025/03に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。