推理小説読書日記(2024/12)
2024年12月03日
無明<今野敏>
2022年の作品で、2024年に文庫化された。警視庁強行班係・樋口顕のシリーズの1冊だ。チームでの組織捜査と、樋口の家庭等が並行で描かれる事が多い。 今回は他の所轄で終わった事件の再捜査を二人だけで行う、妨害で挫折しかけるがチーム等の仲間のはげまし等で克服する。さらに娘の転職問題が起きる。
2024年12月03日
怪獣殺人捜査 殲滅特区の静寂<大倉崇裕>
2023年の連作集をもとに、再編集して2024年に文庫化された。怪獣が出没する日本で怪獣省が設置され、発見・予報・殲滅を行う。主人公は予報官であるが、 その過程で事件に遭遇すると、警察の捜査官と出会いその主導で事件を解決する。作者の怪獣への興味と愛が全面に溢れている。
2024年12月03日
吉原面番所手控<戸田義長>
2024年の連作長編だ。デビュー作の連作集の主人公の同心・戸田と同じ職場(遊郭の面番所同心)の同僚・木島が主人公だ。さらにその家族が絡み時間軸も長い、 謎を解くのが女性・花魁というのも似た設定だ。似ているというよりはシリーズだろう。事件も江戸の不可能設定事件であることも同じだ。
2024年12月03日
ピーター卿の事件簿2 顔のない男<セイヤーズ>
2001年に再編集で翻訳・日本で出版された連作品だ。主にピーター卿が探偵役のシリーズであり、そこに非シリーズの短編と評論が加わっている。シリーズは 7作が収録されるが、チェスをテーマにした作品が複数ある、一般の日本人読者には難しいとも思う。
2024年12月03日
横浜殺人事件<内田康夫>
1992年の作品で、電子書籍で読んだ。浅見光彦シリーズの1作だ。横浜が舞台で「赤い靴」や「青い目の人形」がテーマとして登場する。浅見の視点だけでなく、 多彩な視点、地の文が混在している。サブの主人公としてローカル局の紅子が登場してその視点でも描かれる。さらに奇妙な弁護士も登場する。
2024年12月03日
影を裁く日<高柳芳夫>
1984年の作品で、電子書籍で読んだ。主人公は外務省の事務官でその一人称視点で描かれる。パーティ中に局長が殺害され、警察捜査が始まり、外務省も主人公 も関わってゆく。その中で主人公の先輩の老事務官が失踪した。主人公はその行方を追う中で、先輩が関わる事件に気づいて行く。
2024年12月09日
シンデレラ城の殺人<紺野天龍>
2021年の作品で、2024年に文庫化された。「シンデレラ」の話と時代を背景にして、舞踏会で王子の死体が見つかり、シンデレラは殺人犯と疑われる。臨時 裁判でシンデレラは自ら無実の証明をおこなおうとする、行きあたりばったりの中で次々複雑化してゆく。
2024年12月09日
禁忌の子<山口未桜>
2024年の作品だ。鮎川哲也賞作で、作者のデビュー作だ。緊急病院の運ばれた患者は緊急医とそっくりだったが、死んだ。医師は友人の医師・城崎響介と調査を行う。 だが訪問した関係者が密室で死亡していた。医師は自分の関わる過去を辿り、2人は現在の犯罪とともに真相を探る。作品数の少ない作者が多い鮎川賞だが、続編の 予告があり期待してしまう。
2024年12月09日
楽員に弔花を<ナイオ・マーシュ>
1949年の作品で、2024年に翻訳されて日本で出版された。その時々にあることに熱中する資産家が、音楽に熱心になり、楽団員を集めて演奏会を開くが、知名な楽員らに は思惑があった。その中で行われた演奏会で、観客も見守るなかで演出?的に発砲事件が起きて死者が出た。観客のアレン警部らが捜査を始めた。
2024年12月09日
エフェクトラ<霞流一>
2023年の作品だ。副題が「紅門福助最厄の事件」であり、主人公の探偵役を示す。舞台はやはり映画であり、老俳優がセレモニーを計画した、だが奇妙な出来事が 起こり紅門にイベントを無事に行うための捜査を依頼する。だが、奇妙な関係の参加者らの中でさらに事件が起きて行く。
2024年12月09日
クロへの長い道<二階堂黎人>
1999年の作品で、電子書籍で読んだ。少年探偵というよりも幼稚園児探偵・渋柿信介が主人公の作品集であり、短編4作からなる。探偵の1人称だからハードボイルド スタイルであり、本格ミステリの構成であるが、大人探偵のパロディ的なスタイルでもある。
2024年12月09日
電気紙芝居殺人事件<辻真先>
1989年の作品で、電子書籍で読んだ。電気紙芝居とはテレビのことであり、テレビが始まった頃の時代を舞台に、当時にそこに関わった作者の想いをフィクションと して、さらにはミステリとして語る。2部構成で色々な変化球の叙述で進める。可能キリコと克郎と牧薩次がゲスト的に登場して、物語うぃ終らせる。
2024年12月15日
シンクロニシテイ<川瀬七緒>
2013年の作品で、2015年に文庫化された。法医昆虫学捜査官・赤堀涼子と刑事・岩楯とが事件を追うシリーズの2作目だ。東京で見つかった腐乱死体の捜査で、 虫の手がかりを追う赤堀は予想もしない殺害場所を突き止める。さらには動機や犯罪者にもたどり着く。
2024年12月15日
時限病棟<知念実希人>
2016年の作品だ。病院に監禁された5人は、謎のピエロから脱出ゲームを仕掛けられた。5人の関係は不明、ピエロの動機も不明のなかで、手術室で患者が見つかり さらに、死の謎が浮かんでくる。設定されたタイムリミットの中で、個人の過去や色々な真実がわかる。
2024年12月15日
警視庁地下割烹<田中啓文>
2024年の作品だ。警視庁に地下にあるという割烹に異動になった主人公は、職務として板前修行を始める。徐々にその部署の割烹「警視兆」の正体もわかり かけてくるが、さらには主人公に潜入捜査命令が降りる。刑事が特殊部署で料理人として捜査を行う。
2024年12月15日
桃源亭へようこそ<陳舜臣>
1962年から1984年の作品を再編集して、2024年に出版された、作品集だ。主に料理人・陶展文を探偵役にした作品を中心にした。長編4作があり、さらには 短編は本作品集に収録された6作がある。長い年月に少しずつ書かれており、主人公にもテーマ的にも変化がある。
2024年12月15日
フォックスの死劇<霞流一>
1995年の作品で、電子書籍で読んだ。元刑事・白亀が作った探偵事務所員・紅門福助が主人公で、さらにその1人称で語られる。舞台は映画の世界で、さらには 動物が登場して題名にもつくのが、この作者のスタイルだ。そこでは広義の見立て犯罪が展開する。語りやキャラからは、ユーモアミステリとも言える。
2024年12月15日
十津川警部 L特急しまんと殺人事件<西村京太郎>
2008年の作品で、電子書籍で読んだ。十津川警部の班の若手刑事・三田村が関わった事件が描かれる。三田村は親代わりの叔父夫婦の娘・あやかからの頼みで 行方不明の叔父夫婦を探しに四国の遍路にゆく。そこで事件が起きて、関わって行く。新興宗教の事件に十津川らも捜査を初めてゆく。
2024年12月21日
精選女性随筆集 倉橋由美子<倉橋由美子>
2012年の編集出版された随筆集で、2024年に文庫化された。「小説作法」「小説批評」「性と死」の3部構成で、ほぼ全活動を収録した。ただし、存命作家の作品 の作品批判、作家批判は除外されている。さらにエッセイ集「あたりまえのこと」も概ね除外されている。理由は「文芸評論集」として別に編まれるべきだとされている。
2024年12月21日
ガラスの殺意<秋吉理香子>
2018年の作品で、2024年に文庫化された。主人公・柏原麻由子は20年前に殺人したと通報したが記憶がない。現在も短時間で記憶が消える。現在に殺人を自供した、 警察に取り調べられるがすぐに記憶がなくして供述が変わって行く。メモや直前に知ったことを頼りに対応するが、それもすぐに忘れる。
2024年12月21日
その時鐘は鳴り響く<宇佐美まこと>
2024年の作品だ。松山の大学同窓会と20年前に起きた事件とが一方で描かれる。他方で東京の殺人事件の刑事らの捜査が描かれる、中心は女性刑事と謎の刑事のコンビだ。 双方が交互ではなく不規則に描かれる。刑事らの捜査は停滞するが細い手がかりを線の様に追うと、ある人物が浮かびさらに捜査が広がってゆく。
2024年12月21日
中山民俗学探偵譚<柳川一>
2024年の連作長編だ。戦後に新聞記者が民族学者・中山から話を聞き出す。そこでは、柳田国男からはじまり南方熊楠でおわる6話が次々と語られゆく。奇想、不思議な 話、ホラー談等の謎の話で、「明治文化探偵会」の参加者がそれらの謎を解き明かした、と語られてゆく。
2024年12月21日
謀略の大地<海渡英祐>
1987年の連作作品集で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。昭和初期を舞台にした歴史ミステリで、憲兵大尉・殿村義彦が主人公で6話が収録される。満州国 建国前夜から盧溝橋事件を経てノモンハン事件頃までを、満州、東京、北京、上海、南京、ハルビンを舞台にスパイの動きを描く。。
2024年12月21日
愛の飛鳥路殺人事件<山村美沙>
1991年の作品で、電子書籍で読んだ。主人公は女優・中川亜矢子だがその立ち位置は微妙だ。秘密の婚約者が死亡して、遺産相続で対立し、さらに死因が疑問で調べはじめた。たださい、思い込みで人を疑い不安定だ。それが原因で周囲には迷惑をかけまくるが、なぜか助けられてゆく。
2024年12月27日
鬼を纏う魔女<吉田恭教>
2017年の作品だ。警視庁刑事・東條有紀が探偵役で活躍する、私立探偵・槙野康平はゲスト的に顔を出している。残虐な事件が続発してそれは読むのが苦手だ。大きな謎が 実年齢よりもかなり若く見える人物であり、魔女とも呼ばれる。その謎が解かれると本当に魔女と判る。登場人物全体に謎が満ちている。
2024年12月27日
わんダフル・デイズ<横関大>
2021年の連作長編で、2024年に文庫化された。盲導犬訓練施設が舞台でそこの訓練士研修生・岸本歩美が主人公で、探偵役の訓練士・阿久津と色々な事件や謎を解決 してゆく。6話がそれぞれ異なる視点でも描かれて、さらには全体でも最終話につながる謎がある。
2024年12月27日
サイレンス<秋吉理香子>
2017年の作品で、2020年に文庫化された。アイドルになれずにマネージャーをしている新山深雪は婚約者・藤崎を無理に連れて孤島の実家に帰る。そこで同級生らに会うが、 雪に閉ざされてしまう。登場人物の異なる思惑は、孤島と雪と船の欠航で狂い、さらに東京でも仕事で事件が発生するが深雪は帰ることができない。
2024年12月27日
有栖川有栖に捧げる七つの謎<>
2024年のオリジナル・アンソロジーだ。火村と作家・有栖川登場作を、青崎有吾と一穂ミチと織守きょうやと白井智之と夕木春央が書く、完全コピーを目指した本格もあるが 怪談も含めて多彩だ。山伏地蔵坊を阿津川辰海が書き、江神次郎ら英都大ミステリクラブを今村昌弘が書いた。
2024年12月27日
仮面の死神<鷲尾三郎>
1959年の作品集で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。長編「仮面の死神」と短編「月蝕に消ゆ」「一対一」「盲獣」を掲載している。「仮面の死神」は元刑事・各務が主人公でその一人称(俺)の視点で描くハードボイルドミステリで、その行先に死体が現れる。「月蝕に消ゆ」には牟礼順吉が登場する。
2024年12月27日
メビウスの守護者<川瀬七緒>
2017年の作品で、電子書籍で読んだ。昆虫法医学者・赤堀涼子と刑事・岩楯とが活躍するシリーズの1作だ。僅かな虫の手がかりから赤堀が予想外の手がかりを見つけて行く。 本作はバラバラ死体のパーツを徐々に発見する。赤堀と岩楯は一緒に捜査する時も、個別に捜査することもあり、どちらかが危機にあうと他が助ける。
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2024/12に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。