推理小説読書日記(2024/11)
2024年11月03日
スワロウテイルの消失点<川瀬七緒>
2019年の作品で、2021年に文庫化された。法医昆虫学者・赤堀涼子と、刑事・岩楯らが殺人事件を捜査するシリーズの1冊だ。赤堀は死体に虫が関係する時に法医 昆虫学捜査官として参加する。虫関係から辿る赤堀らの捜査と、別途の刑事らの捜査は無関係に思えるが、同じところにそれぞれがたどりつく。
2024年11月03日
子宝船<宮部みゆき>
2022年の連作集で、2024年に文庫化された。岡っ引き見習い・北一が主人公で、その相棒・喜太次と、亡くなった親分の妻らと事件に関わる捕物帖で、シリーズの 2冊目だ。徐々に登場人物が増えてゆく。中編3作からなるが、かならずしも一話完結ではなく、順序に従って読む必要がありそうだ。
2024年11月03日
そして誰もいなくなるのか<小松立人>
2024年の作品で、2023年度の鮎川賞の優秀作で、架空設定ミステリだ。主人公・小松立人ら4人は学生時代に大金を盗み、埋めて隠した。十年後に掘り出しに 行くが災害で死んだ。だが死神から1週間前に全員が戻されて、猶予時間内に真相を調べる。だが他を殺せばその寿命を得れるので、殺しあいが始まる。登場人物が非常に少ない作だ。
2024年11月03日
うまたん<東川篤哉>
2022年の連作品だ。副題が「ウマ探偵ルイスの大穴推理」であり、主人公の牧場主の娘・牧陽子の一人称が主体で描かれる、探偵役は陽子だけと会話できる 引退した競走馬のルイスだ。短編5作からなり、架空設定でのユーモア本格ミステリーが展開される。
2024年11月03日
鄙の記憶<内田康夫>
1998年の作品で、電子書籍で読んだ。浅見光彦シリーズの1作だ。静岡県の寸又峡が舞台の第一部と、秋田県大曲が舞台の第二部からなる。第一部で事件を警察とは異なる見方で 調べていた新聞記者が秋田に調査に行くが殺害された。警察捜査に不信な人からの依頼で事件に浅見は関わり、双方の事件を解き明かしてゆく。
2024年11月03日
南九州殺人迷路<西村京太郎>
1999年の作品で、電子書籍で読んだ。十津川警部シリーズの1作だが、多くの部分が十津川班の西本刑事の視点から描かれている。舞台は宮崎と鹿児島であり、 休暇で見合いをした西本は相手の女性に振り回され、事件が起きて所轄署はその女性にも容疑をかける。さらに東京でも事件が起きる。
2024年11月09日
エステルハージ博士の事件簿<アブラム・デビッドソン>
1975年に出版され、2010年に日本で翻訳出版され、2024年に文庫化された。二十世紀初めのセルビア地方を舞台にした、8作からなる連作集だ。内容は色々な奇想小説で 幻想、怪奇、ミステリ、伝奇等の色々なジャンルにわたる。どれにも、なんでも関わるエステルハージ博士が登場する。
2024年11月09日
明治殺人法廷<芦辺拓>
2024年の作品だ。明治20年に政府は自由民権運動を取り締まった。大阪で質屋一家殺害事件が起きて、容疑者として少年が逮捕された。当時の弁護人・代言人と 新聞記者は、警察制度も裁判制度も整っていない中で、真相追求に乗り出す。警察捜査は行われず、裁判官はそのまま有罪にしようとする。唯一は、検事だけは まともだった。膨大な資料を駆使した時代法廷ミステリだ。
2024年11月09日
殺める女神の島<秋吉理香子>
2024年の作品だ。電子書籍で読んだ。ビューテイコンテストの最終審査がインド洋の孤島で行われ、候補者と主催者だけが集まった。多彩な候補者が集まった中で、 島が閉ざされて次々と事件が起きて行く。参加者の個人情報や裏の顔が次第に明らかになって行く。目的は何か、外部犯か内部犯なのか。
2024年11月09日
山手線が転生して加速器になりました。<松崎有理>
2024年の短編集だ。科学的な発想と素材を発想の起点とした、未来の文明を描くユーモアSFの短編集だ。6作と、やはり作者創作の「人類史」「年表」が付随する。 表題作は、ウイルスで人が都市から撤退する。廃墟になった東京の山手線を、そのリング形状を利用して加速器に転生する。。
2024年11月09日
ビーナス殺人ライン<石井敏弘>
1989年の作品で、電子書籍で読んだ。バイクでのツーリング小説で、そこにミステリーが組み込まれている。探偵役も、被害者も、容疑者も多くの登場人物も、 バイクのラーダーだ。中心の舞台は長野県のビーナスラインで、一部のそれ以外へもバイクで行って戻ってくる。
2024年11月09日
三毛猫ホームズの卒業論文<赤川次郎>
2003年の作品で、電子書籍で読んだ。共同で卒業論文を書いていた2人の片方が殺害された。一方で片山晴美の高校時代の知人の結婚式に片山刑事やホームズらが 出席するとそこで花婿がナイフで襲われる事件が起きる。さらに片山の上司・栗原警視が美人から肖像画を頼まれる。色々なことが一つにまとまって行く。
2024年11月15日
探花 隠蔽捜査9<今野敏>
2022年の作品で、2024年に文庫化された。警察キャリア・竜崎伸也が主人公のシリーズで、本作では神奈川県警の刑事部長だ。横須賀で事件が起きて、米軍の絡みの 捜査でその過程でそこの捜査官が参加することになる。竜崎の同期のキャリアが赴任したが前赴任地の悪い噂があった。
2024年11月15日
誘拐遊戯<知念実希人>
2016年の作品で、2019年に文庫化された。女子高生誘拐で犯人「ゲームマスター」が元刑事・上原を指名した。そこでは東京中をめぐるミッションとゲームが展開 されてゆく。上原は過去に「ゲームマスター」の誘拐事件捜査に失敗して、退職してその復讐を狙い捜査していた。
2024年11月15日
不自然な死<セイヤーズ>
1927年の作品で、1994年に日本で翻訳されて出版された。ピーター卿が探偵役のシリーズの1冊だ。がん患者が医者の考えられない早さで死亡した、医師は解剖を主張したが 殺人の証拠は見つからなかった。後日にそれを聞いたピーターらは独自に捜査を開始した。殺人の証拠が残らなく自然死に見える殺害方法はあるのか。
2024年11月15日
一方通行 夜明日出夫の事件簿<笹沢左保>
1992年の作品で、1995年に文庫化された、電子書籍で読んだ。タクシードライバーの夜明日出夫シリーズの1作だ。夜明は客に頼まれて、東京から雲仙まで客を 運んだ。翌日に雲仙で客はその妻が殺害されたと言って東京に戻った。刑事らの捜査で動機は夫が強いが、夜明といたアリバイが有った。
2024年11月15日
教室の亡霊<内田康夫>
2012年の作品で、電子書籍で読んだ。浅見光彦シリーズの1冊だ。高崎周辺を舞台にして、新人教師・梅原彩の視点で話が始まり以降も多くの部分を占める。 教育問題に関わる多様な事が登場して行く。過去の伊香保殺人事件の登場人物も重なる。現場の問題、教員採用の問題、モンスターペアレント問題、等多数だ。
2024年11月15日
越後湯沢殺人事件<西村京太郎>
1993年の作品で、電子書籍で読んだ。十津川の知人の沢木が湯沢で芸者殺人容疑で逮捕され、さらに依頼した弁護士が車で事故死?した。十津川は管轄外で休暇を とって現場に赴いた。その中で湯沢の有力者が東京で殺害された。十津川らは湯沢の警察と異なる考えで、双方の関連を睨み捜査した。さらには湯沢で心中?事件が起きた。
2024年11月21日
月世界旅行<石松夢人>
1917年の作品で、2024年に復刊された。少年向きのSFのフィクションであり、同時に宇宙や月世界を描いた科学啓蒙小説の一面もある。主人公らは航空艇を完成して、試験飛行 で月へ向かった。月で潜空服で探検して景色を巡り、廃墟を発見したりして行く。
2024年11月21日
八月からの手紙<堂場瞬一>
2011年の作品で、2013年に文庫化された。野球小説であり、登場するのは日本で第二次対戦後に短い期間生まれた「日本リーグ」であり、さらには大戦前からアメリカにあった 「二グロリーグ」だ。そこの選手・ギブソンが大リーグへの黒人加入を果たせず死ぬまでを、日本人選手・矢尾の視点を中心に描いた。
2024年11月21日
止まった時計<ロジャーズ>
1958年の作品で、2024年に翻訳されて日本で出版された。元映画女優は次々と色々な男と結婚して別れた、東南アジアの国の藩主と結婚するが戦争に巻き込まれて死亡の情報が 流れた。だが生きてアメリカに戻り公務員と結婚した。時間と視点が異なる場面が、はげしく切り替わり切れ切れに全貌が次々と語られて行く。
2024年11月21日
五つの季節に探偵は<逸木裕>
2022年の連作集で2024年に文庫化された、電子書籍で読んだ。主人公・榊原みどり、のちに結婚して森田みどりが高校生から職業探偵になり、結婚・出産するまでの17年を 5話の短編で描いた連作だ。題材も描き方も色々であり、さらに視点も色々だ。主人公以外はまちまちなミステリの連作であるのが特徴とも言える。
2024年11月21日
三重殺人事件<鷲尾三郎>
1960年の作品集で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。長編「三重殺人事件」と、短編「泥濘」「女臭」「死の仮面」が掲載されている。 表題作はハードボイルドとサスペンスが混ざったミステリであり、三重と言っても3連続殺人だ。短編は幻想・奇想小説の味が強い。
2024年11月21日
バタフライ・エフェクト<松島智左>
2022年の作品で、電子書籍で読んだ。ある県警本部警務部事件課と所属するメンバーらと事件を描く。そこに集められた女性らは様々な年代と経歴があった。その設立理由にも 訳があるようだが、当事者は退職していた。メンバー間でも、周囲の部署や上司らにも温度差があった、その中で事件に向き合う。
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2024/11に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。