推理小説読書日記(2024/10)
2024年10月04日
本ボシ<曽根圭介>
2009年の作品で、改題して文庫化された。幼女殺害事件でベテラン刑事が容疑者を取り調べで自供させた。後に服役犯が無罪だと再審請求を行う。 その中で新たに幼女殺害事件が起きて、主人公の刑事は過去の事件との関連が気になり、さらに過去の冤罪も疑いはじめる。
2024年10月04日
神のダイスを見上げて<知念実希人>
2018年の作品だ。ダイスという星が地球にぶつかり人類が滅亡する可能性のニュースで世界が混乱する。主人公の高校生は姉を殺害した犯人を、 残り5日までに友人女性の協力で捜す。衝突の日を待つ色々な人々の姿と共に、捜査が描かれてゆく。
2024年10月04日
はえ霊の如きいのるもの<三津田信三>
2018年の作品で、2021年に文庫化された。山と海で閉ざされた4つの村には、4つの怪談があった。刀城言哉らがそれを調べに険しい山道を使い、辿りつくと 村では連続して事件が起きて行く。刀城は過去の事件と怪談と、現代の事件の真相を探って行く。
2024年10月04日
少女には向かない完全犯罪<方丈貴恵>
2024年の作品だ。完全犯罪請負人・黒羽が殺害されて幽霊になった。殺害された夫妻の娘・音葉が現れて、復讐の為に幽霊の黒羽に協力を求める。さらには 幽霊の苦手の女刑事・唐津が実は少女の叔母だった。黒羽と音葉は犯人に辿りついたと思われたが、・・・。多重解決かあるいは、多重どんでんかえしか・・。
2024年10月04日
聖母<秋吉理香子>
2015年の作品で、電子書籍で読んだ。幼稚園児殺害事件が起きる。不妊治療の末に生まれた子供を心配する母親を中心に話が展開してゆく。サスペンス風に 展開するが、関係者が入り交じり、人間関係や親子関係も揺れ動くかに思える。
2024年10月04日
由布院心中事件<西村京太郎>
2000年の作品で、電子書籍で読んだ。十津川夫妻の知人のアメリカ人の夫が日本人の妻を殺害した容疑で逮捕された。十津川は無罪と思うが、所轄は 送検から起訴、さらには裁判へと進んで行く。十津川の指示で妻・直子はアメリカに行き、容疑者の過去を調べてゆく。
2024年10月10日
入舟長屋のおみわ 春の炎<山本巧次>
2021年に出版された。副題は「江戸美人捕物帳」で「入舟長屋のおみわ」シリーズの1冊だ。江戸で火事が続き、入舟長屋でも小火が起きた。おみわは 火事を調べ始めて、大店の若旦那と知り合い、さらに二人で調べ始める。すると火事よけになると噂の仏像が絡んで行く。
2024年10月10日
花牧竜之介捕物帖 第三巻 二枚目浪人<北園孝吉>
1954-1959年の作品を、再編集した作品集だ。江戸の浪人探偵・花牧竜之介が主人公の捕物帖シリーズの1冊だ。中編「二枚目浪人」と短編8作を収録する。 ミステリ味の強い捕物帖で、ひらめきで真相を知る。中編「二枚目浪人」もその流れだが、伝奇時代小説の傾向もいくらかはある。
2024年10月10日
無人島ロワイヤル<秋吉理香子>
2023年の作品だ。バーの常連客8人が、「無人島に3アイテム持ってゆく」話題の後にマスターに誘われて、それを実行する。島でマスターが消えて、 仕掛けられた賞金を争うバトルロイヤルが始まる。アイテムの使い道、協力関係と疑心暗鬼が積み重なって、バトルが進む。
2024年10月10日
小泉八雲殺人風土記<辻真先>
1993年の作品で、電子書籍で読んだ。小泉八雲と妻・せつと、松江を舞台にしたトラベルミステリー+文芸ミステリだ。冒頭に亀の石碑が動くという 怪談の謎を設定してから、トラベルミステリーに展開して行く。後半になるほどに死体が増えて行く。
2024年10月10日
キャバレー殺人事件<朝山せい一>
1958年の作品で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。9話の連作集であり連作長編とも言える。キャバレーのマスターの私の視点で、ミュージシャン ・秋村ら店の関係者らと、キャバレーの客らが関わる事件をハードボイルド風に描く。
2024年10月10日
鼠、闇に跳ぶ<赤川次郎>
2010年の連作集の時代小説で、電子書籍で読んだ。鼠小僧・治郎吉とその妹・小袖を中心にした、捕物帖風のシリーズの1冊だ。小袖は小太刀の名手で 、治郎吉は頭があがらない風に描かれる。本集では小袖が活躍する比重が高い、その中には剣の腕が見せ場になったり、鼠小僧の相棒になったりもする。
2024年10月16日
昨日への誓い<堂場瞬一>
2024年の作品だ。警視庁総合支援課の柿谷らが活躍するシリーズの3冊目だ。総合支援課のOBが失踪した、表だっての捜査はないが、過去の担当 事件が柿谷は気になった。ある事件の加害者らしき者が逃亡し、それを追跡してを襲った容疑者が逮捕されて、自身はヒーローを装う。入れ組んだ 事件と関係者には家族がいる。その家族に事件が拡がる。堂場作品の主人公らが多数ゲスト登場する。
2024年10月16日
白銀の逃亡者<知念実希人>
2016年の作品だ。架空の病の生存者が隔離される世界を描く。それを隠して暮らす医師は、隔離からの脱走者の少女に誘われて、その何かの計画に 関わる事になる。隔離政策で政権を握った男と、逆に反対して政権を失った男がいた。少女の計画とは何か。
2024年10月16日
檜垣澤家の炎上<永嶋恵美>
2024年の作品だ。明治・大正の横浜が舞台だ。富豪一族・檜垣澤家は女性が代々支配していた。主人公のかな子は当主の妾の子だったが、引き 取られた。そこで次々起きる事件だが、支配する女帝は隠蔽して行く。かな子はその中で才覚だけで生き延びて行く。関東大震災までの期間が、多様な 歴史事件を背景に描かれて行く。
2024年10月16日
誘拐劇場<潮谷験>
2023年から2024年に雑誌連載された作品だ。小学生に拡がる麻薬事件の解決を目指した刑事と俳優だが、刑事が死に、俳優が解決して政治家に 転身した。しばらく後に刑事の娘が父の死を調べたが誘拐された。捜査側にゲームが仕掛けられ、それにネットの集団と、刑事らと、元俳優の政治家が 関わり展開する。
2024年10月16日
貴賓室の怪人 「飛鳥」編<内田康夫>
2001年の作品で、電子書籍で読んだ。世界を周遊する豪華客船「飛鳥」を舞台にして、そこで起きた事件を浅見光彦が調べると、容疑は豪華スイーツ室 の客に強くかかる。さらにはそこに内田康夫夫妻も乗船していて、内田の推理が浅見を悩ます事になる。
2024年10月16日
えちごトキめき鉄道殺人事件<西村京太郎>
2019年の作品で、電子書籍で読んだ。多視点で描かれる。元刑事の死から、過去の副総理殺人事件が浮かぶ。十津川警部は双方を調べるうちに、 権力者の関与を疑いはじめる。だが表だった捜査には、次第に圧力が掛かってゆく。
2024年10月22日
水底の棘<川瀬七緒>
2014年の作品で、2016年に文庫化された。「法医昆虫学捜査官」シリーズの1冊で、法医学者・赤堀涼子と刑事・岩盾らがそれぞれの捜査を 繰り広げる。人間関係を追う刑事ら、昆虫と生物を追う赤堀らが、辿リつく死因と真相は何か。最終にはどたばた的な展開がある。
2024年10月22日
牢獄学舎の殺人<市川憂人>
2024年の作品で、副題は「未完図書委員会の事件簿」だ。未完図書を残した故人の作家、その本は解決編がない推理小説だった。ミステリ好きの主人公は 謎の少女と出会って、本をなぞって行われる犯罪を防ごうとする。虚構と現実が混乱してくる。
2024年10月22日
大忙しの蜜月旅行<セイヤーズ>
1937年の作品で、2020年に新訳で翻訳出版された。ピーター卿が主人公のシリーズの最後の長編だ。ピーター卿は作家のハリエットと結婚して、 ハリエットの出身地近くの家を購入した。だが執事と3人で訪れると誰もいなかった。住み始めたが、色々な人が来るし、事件に遭遇する。
2024年10月22日
探偵少女アリサの事件簿 さらば南武線<東川篤哉>
2021年の連作集だ。探偵少女とワトソン役の便利屋が主人公の短編集で、シリーズの3冊目だ。南武線の武蔵新城で便利屋を行う主人公は探偵の少女・ アリサと事件を解決する。南武線のローカル地域ミステリに、アリサの両親の世界的な話題が奇妙に組み合わされる。
2024年10月22日
処女真珠<朝山虫青一>
1957年の作品集で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。長編「処女真珠」と、短編「僧服の人」「愛欲島」「海女の悲歌」が掲載されている。 真珠、真珠島、海女等がキーワード的に登場する。「処女真珠」では「第一の殺人」からはじまり「第4の犯行」へと展開する。
2024年10月22日
ヨコハマB級ラビリンス<山崎洋子>
2006年の蓮作集で、電子書籍で読んだ。短編9作を収録している。それぞれは、ヨコハマの異なる主人公の語りで進む。店や人物等に関する、思い出や 事件や身の上等が、話題になる。ミステリの手法の作品も多いが、ミステリ色は濃くはない。
2024年10月28日
入れ子細工の夜<阿津川辰海>
2022年の作品集だ。純粋の短編集で「危険な賭け」「2021年度入試という題の推理小説」「入れ子細工の夜」「六人の激昂するマスクマン」を収録する。 ミステリのジャンルも広くして、テーマ的に変わった舞台を使う、それは架空設定とも言えないがそれにも近い。
2024年10月28日
死はすぐそばに<ホロビッツ>
2024年の作品で、2024年に日本で翻訳出版された。作家・ホロビッツとワトソン役の名探偵・ホーソーンのシリーズの1冊だ。ホロビッツの1人称もあるが、 並行して、それ以外で過去の事件が描かれれた結末のない文章がある。その事件の謎とともに、その事件でホーソーンが失敗したのかの謎や、探偵の相棒の謎もある。
2024年10月28日
神酒クリニックで乾杯を<知念実希人>
2015年の作品だ。主人公は隠れた場所にあるクリニックに働くことになった。そこは優れた設備と人員がいたが、世間に知られず、密かに治療を行なっている。 さらにはクリニックでは、治療以外の仕事も請け負っていることがわかる。トラウマを抱えた医師らが医療と、色々な事件と謎に挑む。
2024年10月28日
シャルロットのアルバイト<近藤史恵>
2022年の作品で、2024年に文庫化された。主人公の夫婦は引退した警察犬・シャルロットと暮らしている、そのシリーズの2冊目だ。その穏やかな生活の中に トラブルが起きる。散歩で出会う犬らだったり、迷子犬だったり、預かった犬だったり、夫妻がともに忙しくなったりして、日常の謎が起きる。
2024年10月28日
私だけが知っている<>
1961年の連作集で、テレビドラマ「私だけが知っている」の原作だ、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。出題のドラマを見て、探偵局長の徳川夢声らが 問題を考えて解く。出題は、鮎川哲也(3作)・土屋隆夫・渡辺健二(3作)・藤村正太だ。
2024年10月28日
鼠、剣を磨く<赤川次郎>
2012年の作品集で、電子書籍で読んだ。鼠小僧次郎吉と妹・小袖が主人公の時代小説ミステリだ。小袖は剣術の達人であり、鼠小僧もかなり強い設定だ。そこでは、 町の事件よりも、大名や侍や浪人らが関わる事件も多い。そこでは小袖を中心に、剣の腕が発揮される。怪我人は、医師の千草がその医術でかなり助ける。
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2024/10に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。